メモ
シリアル番号 |
表題 |
日付 |
1458
|
カオス理論で脳のメカニズム解明
|
2015/03/05
|
津田一郎北大教授
エネルギー散逸がある系では全ての運動がその領域へと吸引されるアトラクターが存在する。カオスアトラクターの中には可算無限個の不安定な周期軌道と非可
算無限個の非周期軌道が存在する。カオス軌道の分布が偏りのない「一様カオス」では初期条件にふくまれていた情報は時間経過とともに失われる。しかしカオ
ス軌道の分布が非常に偏った「非一様カオス」は初期条件に含まれた情報は時間経過に比例して失われず、かつマクロ情報とミクロ情報の混合が生じる。これ
は「情報の重ね合わせ」という現象である。
これは脳の作業記憶のような短期記憶の保存、感覚情報のような外部情報、エピソード記憶のような時系列情報のダイナミックな保持するメカニズムのモデルとなる。
海馬のCA3の錐体細胞がカオス的応答を示す。
ー学士会会報No.911 2015-II
そういえばオリバー・サックスが
幾何学模様の幻視をともなう偏頭痛は現在ではカオス理論で説明できる。すなわち大脳皮質の第一視野領の100万余の神経細胞が相互の影響し合う
時、高次なレベルでのパターンとして認識される現象である。動的な非線形システムの自己組織化の結果として幾何学模様が出現するのだと説明したのを思い出
す。このオリバーサックスは81才で肝臓へのガンの転移がみつかったとNY
Timesに寄稿して、デビッド・ヒュームが65才で死は避けられないと悟ったとき1日で短い自伝「私の生涯」を書き上げたと紹介。