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1433

scientific misconduct
2014/07/27

scientific misconductとは研究を行う際に守るべき倫理基準に対し、違反する行為のこと。

日本語では「科学における不正行為」という。

wikiによれば不正行為とは 実験のデータの改竄(かいざん)や捏造(ねつぞう)、他人の論文の剽窃(ひょうせつ)、他の科学者のアイディアの盗用、実験データの窃盗およびコピー、ギフトオーサーシップなどがある。典型的な不正行為の例ではベル研のシェーンによるフラーレンにおける高温超伝導研究がある。

科学の研究結果は、論文として発表される前にその分野の専門家による査読が行われ、研究の妥当性が問われるが、査読は「各研究者が倫理的行動 をとること」を前提としているため、実験結果の捏造やデータの改竄、他人の研究の盗用などを発見する機能は果たしていない。

自然科学の世界では、不正行為の防止の機能も大いに期待しつつ実験ノートがとられてきた歴史がある。不正行為がしにくいようにと、実験ノートは書く作法が きめられていて、世界的に見て今でも原則的に手書きで、誰が書いたか筆跡で分かるように書くのが標準的な方法である。原則的にノートに空白は開けず、やむ を得ずページを飛ばす場合は大きく斜線などを引き、飛ばしたページに後から書きこむことはできない形にわざわざする。いつ書かれた記述なのか細かく日付、 時刻を書き込む。そしてノートの最も下の段に本人の署名をし、本人以外に記述内容を確認してもらったうえでその人の署名まで残す。これ だけIT化が進み便利なPCがある世の中であるにもかかわらず、今でも科学者らが実験ノートを原則的に手書きで書いているのは、手書きは改ざんがしにく い、つまり不正防止の効果があると認められているためであり、さらに、科学者から見ると、正しい書き方を守った手書きの実験ノートを残していれば、何かの 時に研究の不正を疑われた時に、自分が潔白であることを証明するための有力な証拠、身を守るための道具となるからである。つまり、手書きの実験ノートは、 不正行為を防止する機能と、不正行為をやっていないことを証明する機能、それら二つの機能を同時に果たす、非常に重要なアイテムなのである。科学者から見 ると実験ノートは、不正行為に関して自分の身の潔白を証明するための重要なアイテムであり、言ってみれば職業生命や人生がかかっているともいえる重要なア イテムなのである。論文内容などをきっかけにして不正行為の嫌疑が科学者にかけられ、いよいよ調査が始まると、多くの場合その科学者は実験ノートの提出を 求められることになる。

法治国家では法に違反すれば罰がついて回る。捏造した結果や改竄を元に公的な助成金などを申請し受けていた場合は、補助金適正化法違反に該当し、 研究者本人や所属する大学は研究費の不正使用として返還・罰則の対象となる。また国の補助金以外の場合には詐欺(刑法246条)に問われる可能性がある。 法に違反すれば罰がついて回るのは何も人間社会が協力で成立しているからで、なにも人間固有の行動形態ではない。進化の過程で魚類・昆虫・植物・細菌類ま でさまざまな罰と協力の行動を発達させて種を維持している。とはいえ理研が当初、実験ノートがなく、トレーサビリティーがないからいきなり不正と断定したのは理不尽だといまでも思っている。

2014/7/27のNHKの特番「STAB細胞 不正の真相」という題名を新聞で見たとき、理研の恣意的な委員会が断定した「不正」ということばを使って いるのは勇み足ではないか。これから不正があったかどうかを1年かけて解明しようというときに、過誤か故意か悪意かの判定もせず「不正の真相」とするのは時期尚早ではないかと思った。wikiにあるよう にscientific misconductがあったのか確定もしていないのになぜ不正という言葉を断定的につかうのだろうか?「STAB細胞 不正疑惑の真相」とか「STAB細胞事件の真相」となぜ言わないのか。

当初、学者、文部省系の日本学士院などは実験ノートがないからいきなり不正だと弾劾するのは不可解だったが、故意に実験ノートを作成しなかったベ ル研の常温超伝導の不正研究のように、小保方氏が故意に不正するつもりでノートを あえて残さななかったという可能性はありうる。そういう意味では世界3大不正事件かもしれない。精神病理学者の領域にぞくするのかもしれない。しかし故意 だったと証明するものもない。番組は真相解明にはほど遠いものであった。結局ソクラテスが信じてていた通り「正と不正を区別する力は理性にあって社会には ない」のだ。

学者、文部省系の日本学士院が研究費を理研にもってゆかれるのを苦々しく思っていたから不正予算搾取といってさわいでいるのもおかしい。 かっての陸軍と海軍の国家予算争奪戦の様相をおびているように見える。予算くれなければ陸軍大臣は辞任するとおどかして内閣を瓦解させるなどのシーンが走 馬灯のように見える。いやな世相だ。

NHKの取材クルーが小保方氏をおっかけて怪我させたなど、まさにフライデイ的なゴシップ認識しか持ってないのではと心配し、 NHKは意識せずに国家予算争奪戦に油を注いでいるということにもなる。こんなことしている国の科学に将来はあるのかという意味で、2014/7/27のNHKの特番を興味く観た。

実際に番組をみてみると、NHKは独自に専門家を集めて、原資料に当たって検討しているのでかなり良心的に制作しているようにみえた。だがNHKに選ばれ た学者は皆ソフィスト面して不快であった。発言内容からして彼らはサイエンスに何ら貢献していない面々だろう。理研が彼女の研究室からES 細胞が見つかったという情報をリークしているが、これを映像化するとき、理研の撮影許可は出ないから、30個くらいのビンがある別の類似の保管庫を撮影し て いるように私には見えた。しかし後で実際には理研が提供したという。とするとNHKは理研の当該画像を提供した一派に取り込まれていたことになる。こうい う映像は視聴者の感情を操作するために映像制作者がよくやる手法で、私もプロの映画製作者といっしょに企業宣伝映画を作っ た経験からすぐわかり、不快になった。目的はSTAB細胞は実はES細胞ではなかったのか との疑惑を醸す目的だろう、NHKも断定せずにおわせているだけだ。理研から動画の提供をいけたとも言っていない。留学生がかかわっていることにちょっと 言及したが、よくわからない。

小保方氏の居ないときに理研のだれかが後から運び込んだことも否定できない。そもそもこのES細胞が実験で使われたという証拠(たとえばDNA鑑定)もないわけというより山梨大に転出した教授が否定している。このNHKの行為ははほとんど視聴者をミスリードしている。

NHK が集めた学者の見解を紹介している。理研に国家予算を取り上げられた学者の恨み節にも聞こえる。笹井氏が小保方の不正に気が付かなかったのはおかしいとい う見方だ。かてて加えて笹井氏への厳しい追及も不快感をダメ押ししたものであった。笹井氏のラブレターのような「小保方さん 本日なのですが、東京は雪で、寒々しております」、とか「小保方さんとこうして論文準備が出来るのを、とても嬉しく楽しく思っており、感謝しています」と いうメールの部分をあえてひろって読み上げたのはどこかのタクシー運転手と同程度の感性だ。文系の文学的演出。このメールをNHKに渡した理研も問題 だ。プライバシー権の侵害ではないか。笹井氏はES細胞の世界的権威だが、iPS細胞にノーベル賞が授与されると政治はES細胞の予算を削ってそちらに大 きな予算を配分する。そうすると笹井氏は予算確保にかなり無理して、小保方氏の不正にはまったとも考えられる。学者としての将来を失いつかれはててしまった のだろうか。7/27の放映9日後の8/5に自殺した。

論文の不正は学会内で決着つけるべきところを一般大衆 の目にさらしてはしゃいだだけのことだ。shame on you「恥を知れ」だ。STAB細胞が本当に存在せず、ということが確定するまで私はこの番組の評価を判断を保留する。

この番組を観たYH氏は「有識者と言われる少数者の密議によって決定する制度が国家の腐敗と衰亡を招く事は、歴史的経験則上、誰でも知っている。論文も形 式や見栄えに流れてはならないのである」といっているが、今回の事件は理研の予算獲得に凄腕を発揮してきた見栄えの良い論文が書ける笹井芳樹副センター長 を投入したことに端を発する。彼は論文の化粧役で中身を把握していなかったのだ。

番組放映の翌日、プロボノの精神でジャズ喫茶の運営をしている山口氏に会いに野毛にでかけていろいろ話しをした。彼もNHKの番組をみていて、「ウソを 言って人をだます詐欺師より、言っていることが正しいと信じている詐欺師は強い」といっていた。小保方博士はこれに該当しているかもしれない。「彼女は未だに 自分が正しいと信じているし、そう公言している。それを不正といったところで意味がない」と面白いことをいっていた。私も同感。小保方博士が自ら納得しな いかぎり、法的係争は続くだろう。

私が問題にしているのはそういう下世話なことはどうでもよく。もうかれこれ10年以上前のことだが、東大の本郷の医学部の窓が割れても予算が不足して床が 雨風で朽ちて抜けそうになっているのを目撃して心を痛めたことがある。それが国会で取り上げられ、当時、日本の産業は落ち目だったので、(今はますますひ どくなっているが)「そうだ!技術立国のためにはもっと研究費を増額しよう」という動きが国会議員の中に醸し出され、研究費が増額された。大学の腐敗はそ れから始まったと私は感じている。先日、埼玉大の松尾名誉教授から、理研の野依理事長は年収1億円で理事長に迎えられたと聞いた。今は減額されて 3,000万円だそうだ。小保方博士は1,000万円だとか。したがって他の理事や高級研究者の年収は3,000−1,000万円の間にあるということに なる。STAB細胞事件はこういう環境で生じた。

問題はこれほど金をばらまいても次の産業の芽は見えて来ていないこと。何かが間違っている。原因はタガメ女/カエル男が 研究費のばらまきをしているからだ。私も会社の研究費のばらまき担当をさせられて、こういう方式はまちがいだと実感している。最高責任者と現場の間に階層 が多い中央研究所方式は時代遅れ と欧米では見切りをつけて、研究の目的も予算も現場に近い事業部かベンチャーでと相場が決まっている。だからカルフォルニアからイノベーションがでている のだ。DODですらベンチャーが作る芽を見つけてそれに水と肥料をあたえることに徹している。たとえばインターネットがその成果だ。原爆開発は中央が指揮をとった例外だ が、これが成功したのは戦時だからだ。日本がテーマ選びと予算配分を中央集 権的に続ける限り、日本は沈没する。中国からもイノベーションは出ないだろう。単なる多量生産の下請け作業で食いつなぐ運命が待っている。

安倍内閣が成長戦略として特許は現行の社員のものから会社のものにすることを検討している。日本はますますイノベーションはでにくくなるだろう。成長阻害 戦略としかいいようがない。ドイツでは発明は社員のものとなっているし、会社のものとする英国も大きな利益を生んだ発明については社員が裁判所に補償をも とめることができるときていされているのだ。この差はいずれ顕在化しよう。

NHKへの私の不満はそういう根本的なことを指摘もせず、タガメ女/カエル男のなれのはての大学教授や理研理事の予算分捕り合戦や権力闘争のための 見解を垂れ流すそのメクラ加減だ。

理研は不正研究でなくとも国家予算を無駄に使っているが原子力関係は全て無駄な研究だろう。その最たるものは「もんじゅ」だ。本当に増殖できるというデー タは未だ公表されていない。昔は放射線漏れで動かなかった「むつ」がそうだ。でもだれもマスコミを含め、これを不正とはいわない。どうしてか、それは中央 官庁の官僚が不正をカモフラージュしているか故意に見ないようにしてからだ。マスコミもそれを不正として取り上げることを避けている。ネズミのシッポの未 熟で無防備の小保方氏だから不正となり、それを擁護した笹井氏が追いつめられて自殺したのだ。

私が現役だったころ、バイオブームが到来して、おまえはLNGで成功したのだからこれからは新規分野のバイオを立ち上げろと命令された。経営トップの軽薄 な判断を軽蔑しながら取り組んだことがある。そのとき感じた、それまで差別されていた農学系の学者が張り切っているのを苦々しく思ったことがある。私の理 研にたいする反発もそのころ形成されたのだ。このころ、この分野に流れ込んだ水ぶくれの研究者が今淘汰されているのかもしれない。

でも時代遅れの政府機関が予算を増やして気まぐれに金をバラマキ、この水ぶくれした大して能力のいない人々が互いになぐり合う現象を生じさせ、マスコミは そこに痴情の味付けをして大衆の興味をひいて儲けているという構図だ。まー!それで経済が一時的に回って花見酒に酔いしれるということなのかもしれない が。

慶応義塾大学ビジネス・スクールの小幡績准教授は「日本では、アイドルも政治や経営のリーダーでもトップダウンアプローチは受け入れられない。では、日本 のアイドルに必要なことはなにか?それは愛されるということだ。日本では「愛」がすべてなのです」と言っている。このロジックでいうと科学技術の振興が国 是と国家予算を積み上げてトップダウンで理研にかねをつぎ込んでも何も生じない。なぜならそこに愛が無いからということになる。愛とは研究過程を愛すると いうこと。ところが国家の政治家と官僚機構その下部機関たる理研のトップは自己愛しかない。ソクラテスなら「愛」は「理性」と言っただろう。

日本の家電メーカー、シャープ、パナソニック、ソニーの問題について考えると。パナソニックのプラズマでの敗因は「技術への愛」、シャープのつまずきの原 因は液晶を愛し過ぎたこと、ソニーはナルシズム(自己愛)しかなかった。本来のソニーらしさとは、ただ面白いものを作るだけのことなのに、ソニーという名 前に何かが宿っていると勘違いし、ソニーの社員であることに自己陶酔している。ファンもIt's a SONYという言葉が特別なものと勘違いしている。対するサムスンは「すべきギャンブル」だけをしている。つまりは勝てる時だけギャンブルする、あるいは ギャンブルする価値があるギャンブルだけしている。スマートフォンが例。伸び盛りで、勝てば極めて高い利益率が見込める製品だったからこそ投資した。テレ ビのようなコモディティー化した製品は、勝っても利益率はたかが知れている。

笹井氏が追いつめられて自殺したのち、世界変動展望に掲載された関西学院大学 理工学部・生命科学科 関由行教授の長時間の講演を見た。数時間に及ぶ長いものだが、わけのわからないマスコミが間にはいっていないので透明感がある。これをみて今回のSTAB細胞騒動の全貌が少しよめてきた。

結論からいうと原因は文部省の悪名高いポスドク1万人計画にあるようだ。粗製乱造の博士たちが、働き口がないままヒマ持て余していたとき、理研の論文を知 り、査読者が見落とした論文の欠陥をネット上で議論はじめた。これをみた指導教官らはあわてて、身を守るために遅ればせながら研究の仕方の作法をひっさげ て、この論争に参入し、そこに職にあぶれた冷や飯組の研究者が入り乱れて炎上したということのようだ。

その背景に文部省が大学院生の数に比例で補助金を出す制度をつくり、ドクターを粗製乱造させたつけが回ったということのようだ。文部省は小保方氏 を救出しないと自分達に批判の矢が来るとあわてているという。小保方氏を救出すればモラルハザードが生ずる。筆者の現役時代のむかしから、優秀な奴は修士 で企業に就職し、できの悪いのが博士課程にのこるというものだったが、いあまでも変わっていないのだと分かる。

それから現行の査読制度では今回のようなことは防げない。そこで論文は全て公開して大勢の目で検証してもらうという方向になるだろうということのようだ。質の悪いドクターや質の悪い論文があふれる時代が来たのだ。

思い出せば私の学んだ応用化学科は生物XXなどという怪しげな学科になって沢山の博士を乱造したのかなと思う。

それにしても子供の教育費で定年ころに貯金ゼロになる家庭続出となるようで、怖い時代に突入。

Rev. August 21, 2014

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