メモ

シリアル番号 表題 日付

1242

ファム・ファタル

2009/07/05

Femme Fatale

運命の女

男をその性的魅力で惹きつけ、破滅させるような女

例としてはカルメン、サロメ、女スパイマタ・ハリ

グスタフ・クリムトのダナエ

同名の映画あり

意味は少し違うが1972年に発生した「沖縄密約事件」での外務省の女性事務官が外務省記者クラブ所属する新聞記者を破滅させたという意味でファム・ファタルであったのだろうか。山崎豊子がこれをモデルにした小説「運命の人」を書いた。

この事件はファム・ファタルのようなものではなく、沖縄返還交渉で本来米側が負担すべき基地の現状回復補償費を日本側が肩代わりするという密約を米側と交わしていたこと を示す機密文書を女性事務官が肉体関係のあった妻子ある記者に渡した。記者がうかつにもその女性事務官を特定できる書類を野党議員に渡してしまったため、その女性事務官が機密漏洩の国家公務員法違反で逮捕された。国家権力が国民にウソをついたと怒っていた国民が目の前に出されたファム・ファタル事件に惑わされているうちに国家のウソはうやむやになってしまった事件である。国民の品性を見抜いてファム・ファタル事件に歪曲してしまう権力の巧妙さをみせつけた事件であった。


外交 密約(unpublished agreements)といえば4件が明らかになっている。すなわち@核持ち込みに関する60年安保密約、A朝鮮有事の60年安保密約、B核持ち込みに関する沖縄密約、C現状復帰費に関する沖縄密約である。ファム・ファタルはCに関するものである。

@に関しては 60年安保改定時に取り交わした「核持ち込み密約」は米国の艦船は原爆をつんだまま寄港してよいという ものである。 本件、ライシャワー氏がオープンにし、密約文書は米国ですでに情報公開されているのに、日本政府はそのような文書は存在しないとシラをきっている。 麻生首相で最後になるかもしれない自民党政権は国民を未だに愚民扱いしているわけだ。この密約書を前任者から引き継いだと最近村田良平という元外務事務次官が告白した。勇気ある行為だと思う。しかしこれも自民党政権が崩壊するかもしれないと考え、自らを安全な場所へシフトしたとも考えられる。

外務省の役人から最高裁判所の判事になった福田博氏も“一票の格差”に対し違憲判決を出し続けた立派な方であるとS.K.から指摘された。

ところが2001年の情報公開法施行直前に@核持ち込みに関する60年安保密約は外務省高官の指示により破棄されたという。90年代に米国は戦略核搭載潜水艦を除き艦船に搭載された核兵器は米本土に撤去したので密約は存在しないからだという理屈である。しかし 密約ゆえ注目を集める歴史的な公文書を破棄するのは歴史に対する背信行為だろう。このような役人の行動は政府の信頼性を著しく傷つける。他の役所も大同小異だとの印象を持たざるを得ない。 その高官はいずれ自民党政権がつぶれ、自分の悪行が暴かれると考えなかったのだろうか。浅はかな智恵しかなかったのだろう。高級官僚の質の劣化が生じていたのだろうか。 はたまた高度成長期に役所に入った役人の資質が低下していたのかもしれない。

政権交代がないと、 政治家は知らされないか、知っても目をつむり、結果として役人に緊張感が薄れ、こういうぶざまなことになるのだ。国家としての基本がだらけ切っている。 こうなったのもよく考えもせず、自民党政権を選び続けた国民が悪い。政権交代して一切の膿を出す必要があろう。

Rev. July 12, 2009


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