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1229

農業自給率の定義

2009/01/06

日本の農業の自給率が40%と報道されて気になっていたが、雑誌「農業経営者」の副編集長淺川芳裕氏によれば、これはカロリーベースでの自給率で生産額ベースでは66%とのこと。

1968年から農水省は生産額ベースの自給率統計を出し始めたが、1983年からはカロリーベースでの自給率も公表しはじめた。ところが1995年にガットで米の関税を認めてもらってから、カロリーベースの自給率を正式に国家目標とするようになった。

カロリーベースでの自給率の分子は1016kcal、分母は2551kcalとしている。厚生省はメタボリックシンドローム防止のための望ましい一日の摂取量は1805kcalとしている、農水省はこの厚生省の値に746kcalを外食産業などで無駄に捨てられている食料だとして上乗せしているのだ。

人はカロリーによってのみ生きるのではなく、野菜などのセルロースやビタミンなどもなくてはならず、やはり生産額ベースが正しい指標であろう。世界でもカロリーベースでの自給率は日本だけのようだ。

ではなぜ農水省がカロリーベースに固執するかというと、国家予算分捕り合戦が目的らしい。旧陸海軍が予算分捕り合戦しているうちに太平洋戦争にのめりこんでいったのと同じ構造だ。

この統計のために300人の職員が専任で働いているとのこと。一省益のための無駄使いではないか?

新聞などのマスコミも農水省の発表だけを鸚鵡返しに伝えるのではなく、頭を使ってほしい。

企業の組織も官僚組織と同じだ。トップが間違えば、会社は業績がおちてトップが交代せざるを得なくなる。そうするとトップが任命した管理職も一新される。こうして企業は新たな一歩を踏み出せるのだ。しかし、日本の政治家は能力が低く、官僚の人事権すら発動しない。榊原英資も同様なことを言っている。これでは農水省のような省益だけが目標の官庁になってしまい、官僚内閣制と言われるような事態になる。

省益だけが目標のような官庁である農水省のキャリアであったY氏は5回も「わたり」をしたつわものだが「国会討論は討論ではなく、実質は質疑だ」という指摘 をした。たぶん「議員が質問するだけで提案できていない」と言わんとしたと理解している。このように官僚OBから議員側の非力をあげつらわれる程なめられているのだ。

二世、三世の世襲議員で固めた無能な麻生内閣を見くびって内閣法制局長官宮崎礼壹らが官僚の「わたり」などを禁止する法を骨抜きにする政令をださせた。昔の軍部が政治をこけにして戦争に向かってひた走ったことに酷似している。宮崎礼壹を民主党議員仙谷由人は法匪と呼んでいる。

以上、文芸春秋2009年1月号


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