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1171

ダイポールモード現象

2007/12/07

気候のダイポールモード現象は次の6つが知られております。

海洋のダイポールモード現象 ダイポール周期 経済サイクル 経済サイクル周期
エルニーニョ・南方振動 (ENSO El Nino - Southern Oscillation) 黒点周期の1/2 キチン・サイクル 40ヶ月
インド洋ダイポールモード現象 (IOD Indian Ocean Dipole)

ENSOに類似

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北大西洋振動 (NAO North Atlantic Oscillation)

数10年

コンドラチェフ・サイクル 55年
北極振動 (AO Arctic Oscillation) 南極振動(AAO Antarctic Oscillation)

数10年

コンドラチェフ・サイクル 55年
成層圏準2年周期振動(QBO Quasi-Biennial Oscillation)

26ヶ月

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太平洋十年規模振動(PDO Pacific Decadal Oscillation)

11年

ジュグラー・サイクル 11年

ENSO赤道周辺の太平洋の東西方向の振動で黒点周期の1/2周期を持っています。黒点サイクルとは関係なく一定のリズムで振動しております。

IODは 温暖化により温まった海水が貿易風でアフリカ沿岸に吹き寄せられ、ケニアなどに大雨を降らせ、乾燥した空気がインドネシアやオーストラリア北部に吹き降りて渇水を引き遅し、農業と牧畜業を破壊し、小麦価格の上昇をまねく サイクルです。これは偏西風を経て日本にも影響をもたらしております。黒点サイクルとは関係なく一定のリズムで振動しております。

NAOは、ENSOに次ぐ大規模な気候変動の卓越モードの1つです。冬季を中心に北大西洋上のアイスランド低気圧とアゾレス高気圧がともに強まったり弱まったりする大気の東西方向のダイポールモード現象です。「NAOが強(弱)まる」とは、アイスランド低気圧とアゾレス高気圧の双方が強(弱)まり、偏西風が平年より強(弱)まることを意味します。基本的メカニズムについては謎の部分が多く、あまり黒点との関連もなさそうです。NAOが1950年後半〜1970年代後半まではNAOの負のときが多かったのの1970-2000年の30年間においてプラス傾向になってまた減少しています。ということは人為的な二酸化炭素の増加とも関係なさそうです。コンドラチェフ・サイクルに影響を与えているのかもしれません。

北大西洋振動 原図はNOAAウェブページ:http://www.cpc.ncep.noaa.gov/

AOとは北極と北半球中緯度地域の気圧が相反して変動する現象のことです。NAOと似た挙動をしております。テレコネクション(大気振動)の一種で、気温や上空のジェット気流流路に影響します。冬季にこの振動の幅が大きくなると、北半球の高緯度・中緯度地域で寒波や異常高温が起きます。北極振動が変化する要因の1つとして太陽活動との関連が知られております。また、太陽活動は成層圏準2年周期振動(QBO:quasi-biennial oscillation)との関連も指摘されております。これら太陽活動と気候変動の関係を調べる研究は徐々に認知されてきております。

QBOは赤道成層圏で赤道を中心とする南北対称な東風と西風が交互に現れる現象です。その周期は2年から2年半程度、平均的には26ヶ月というものです。変動は成層圏界面付近の高度40-50kmで起こります。原因としては、対流圏から上空に伝播する重力波の運ぶ運動量との関連が知られております。

PDOは太平洋の南北方向のダイポール現象です。黒点周期だけでなく振幅の一致が見られます。すなわち黒点周期の振幅が大きいとクールフェーズに振れます。プラスの時をPDOのウオーム・フェーズといいます。地球儀の海洋の色はウオーム・フェーズの冬季の海洋表面の温度を示し ます。ウオーム・フェーズでは北太平洋は冷たくなります。等高線は海面の気圧、矢印は風によるストレスです。

クールフェーズではウオーム・フェーズと逆相となり、北太平洋の温度が高くなります。ウオーム・フェーズの図はhttp://jisao.washington.edu/pdo/を参照してください。

PDOとENSOサイクル 

PDOがなぜ発生するのかまだ不明とされております。黒点サイクルに伴う日射量は0.1%しかありませんので黒点サイクル→日射量変化→二酸化炭素増→気候変動の因果関係は少ないでしょう。一方黒点が減少すると太陽の磁場が弱まります。このとき、紫外線と軟X線量が劇的に増えます。その線量は15%増えるとされています。そうすると大気上層が加熱されます。

Rev. March 26, 2010


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