読書録

シリアル番号 1043

書名

千年前の人類を襲った大温暖化 文明を崩壊させた気候大変動

著者

ブライアン・フェイガン

出版社

河出書房新社

ジャンル

サイエンス

発行日

2008/9/30初版

購入日

2010/3/21

評価

鎌倉図書館蔵

散歩のついでに借りる。

過去2,000年間の気候変動を樹木年輪、雪氷コア、産後などの代替指標から推定した気温は下図のように10世紀ころ暖かく、17世紀には小氷期といわれるように寒い。そして黒線で示した過去150年間の観測記録と一致している。 因みに悪名高いホッケースティック曲線はこの図のMann et alのデータである。

紀元2,000年前後の中世温暖期の気温上昇は0.4oC程度であった。乾燥地帯では降雨量の減少によりかなりの影響が でている。その代表的なものはモンゴルの北京やヨーロッパへの進出、インカ・マヤ文明の崩壊、アメリカ南西部の大旱魃、アンコールワットの崩壊、ポリネシアヘの進出、ペスト、コロンブスの航海などである。

西暦 主たる歴史上の出来事
600 マヤ文明最盛期
618 唐朝
711 イスラムのスペイン侵攻
750 バクダーッドでアッバース朝、イスラムの黄金時代
802 アンコール朝の開始
874 スカンジナビア人アイスランドに殖民
900 マヤ文明崩壊
907 唐滅亡、モンゴルの登場
990 スカンジナビア人が北米発見
1066 ノルマン・コンクエスト
1100 チャコ・キャニオン放棄
1113 アンコール・ワットの建設
1181 アンコール・トムの建設
1200 ポリネシア人のイースター島への殖民
1206 ジンギスカンの選出
1215 ジンギスカンの北京占領
1258 モンゴル軍バクダード占領
1276 アメリカ南西部の大旱魃
1315 ヨーロッパの飢饉
1348 ヨーロッパのペスト
1431 アンコール崩壊
1492 イベリア半島のイスラム一掃、コロンブスの航海
1519 コルテスのアステカ上陸
1532 ピサロのインか進軍

古代ギリシアの北方に住んでいたのはスキタイ人。かれらはバルバロイとよばれた。彼らが馬を温帯ヨーロッパにもたらした。

紀元前4世紀にスキタイを破ったのはサマルティア人で鉄の鐙の発明者である。ブリテン島に伝わる、アーサー王伝説は、この地に派遣されたサルマタイ人の伝 説が起源だという説がある。なぜなら、帝政ローマ時代のブリテン島には多くのサルマタイ人が駐屯していて、彼らは自分たちの伝説や神話を持ちこんだとされ る。事実、アーサー王伝説のストーリーの一部はサルマタイ神話と奇妙なほど酷似している。

馬は機動力にすぐれるが消化吸収能力が低く、新鮮な草が不足するとすぐ死ぬ。

馬のこぶ胃は後腸にあるため細菌による植物タンパクの分解は吸収されないで糞になる。

牛のこぶ胃は消化器官の前にあるため細菌による分解が先行し消化吸収力は優れている。

太平洋十年規模振動(PDO Pacific Decadal Oscillation)とENSOサイクルをこの本で知る。http://jisao.washington.edu/pdo/


PDO 


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