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シリアル番号 表題 日付

1155

燃料電池の燃料

2007/09/20

燃料電池は主として水素で稼動します。 天然ガス、LPG、灯油、メタノール燃料の場合は併設する改質反応器で直前に水素に転換して燃料にしている。メタノール、アンモニア、ヒドラジン、グルコース等を直接供給する分解と電池一体型もあるが燃料電池内部では水素になっている。

燃料 タイプ 運転温度(oC) 効率(%) 特徴

水素

固体高分子型(Polymer Electrolyte Fuel Cell)

50-100 40-47

陽子交換膜型燃料電池とも呼ばれる。自動車向け、希少金属の白金を使うためコスト高、固体高分子膜型の耐久性に問題あり

リン酸型(Phosphoric Acid Fuel Cell)

150-220

<35

希少金属の白金を使うためコスト高、定置型

溶融炭酸塩型(Molten Carbonate Fuel Cell)

600-700

<55

Ni触媒、定置型

固体酸化物型(Solid Oxide Fuel Cell)

650-1000

45-50

ペブロスカイト構造のセラミック膜を使う。定置型

メタノール ダイレクト・メタノール燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell)

50-120

25-40 化石燃料から製造したメタノールを分解して水素を取り出して使うため、well to wheel効率は低い。
アンモニア ダイレクト・アンモニア燃料電池(Direct Ammonia Fuel Cell)

900

- LPGと同じく加圧下で液体のためボンベを積めば良い。化石燃料から製造したアンモニアを分解して取り出した水素を使うため、well to wheel効率は低い。
加水ヒドラジン(N2H4 ダイレクト・ヒドラジン燃料電池(Direct Hydrazine Fuel Cell)

常温

- ロケット燃料の加水ヒドラジン(N2H4)は常温・常圧で水溶液であるため、自動車燃料としては水素やアンモニアより優れている。白金触媒が不要というメリットがあるが、化石燃料から製造したアンモニアを酸化させてヒドラジンをつくるため、エネルギー転換効率はアンモニアよりも更に低い。
グルコース ダイレクト・グルコース燃料電池(Direct Glucose Fuel Cell)

常温

- グルコースヒドロゲナーゼとかグルコース酸化銀触媒を使う。グルコースは農業によって製造するので地球環境上まったく意味がない。

いずれの燃料電池も耐久性に問題あり、コストも希少金属の白金を使うものは現時点ではソーラーセルと同レベル。世界の白金の年産高は200トン、累積生産高は4,000トン強。自動車1台分の燃料電池の白金価格は40-60万円。

効率はいずれも45-60%。化石燃料から水素製造する場合はwell to wheel効率は低い。水素燃料はガスであり、燃料供給に難がある。車載高圧ガスボンベに詰めるか、液体水素を魔法瓶につめるかしなければならない。水素を化石燃料から作るには二酸化炭素を副産するので地球環境上燃料電池を使う意味がない。太陽光から直接製造する水素の時代にはじめて存在意義がでる位であろう。それに白金という高価な貴金属を必要とし高価である。水素を燃料とする内燃機関という安価な競合相手がいる。

熱分解過程でCOが発生して触媒被毒問題が残る。メタノールを化石燃料から作るのは水素を化石燃料からつくるのととおなじく、二酸化炭素を副産するので地球環境上意味がない。 メタノールを燃料とする内燃機関という安価な競合相手がいる。

 アンモニアはただアンモニアを化石燃料から作るのは 水素を化石燃料からつくるのとおなじく、二酸化炭素を副産するので地球環境上意味がない。

マグネシウム、亜鉛、鉄などの金属を水素キャリアとする

亜鉛を水素供給源とする燃料電池。米国のベンチャーeVionyx社が開発。亜鉛1kg当たり、500W時の出力。

マグネシウムを水素供給源とする燃料電池:東京工業大学の矢部孝・吉田国雄教授らが開発中。マグネシウム1kg当たり、1,500W時の出力。

廃棄物の酸化マグネシウムはマグネシウムに還元リサイクルする。フレネルレンズで集光した6,000度の太陽光をクロム添加のセラミック製ネオジムYAGレーザー素子に照射すると赤外線レーザー光を発する。この赤外レーザー光をレンズで集光すると2万度の高温が得られる。アルゴンなどの不活性ガスと酸化マグネシウム蒸気を一緒に反応器に送り込み、ここに太陽光励起レーザーを照射すると金属マグネシウムが得られる。(日経サイエンス2007/11)

この技術も水素を燃料とする内燃機関という安価な競合相手がいる。

Rev. May 4, 2008


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