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1148

人工光合成

2007/08/31

人工光合成とは太陽エネルギーを用いて水と炭酸ガスから酸素と有機物を合成したり、水を水素と酸素に分解する一種の植物ミミックの夢の技術である。

水の完全分解用の光合成模倣型の可視光応答型光触媒システムの開発はこれまで困難だった。植物が行う光合成プロセスに見られる可視光照射下での水の分解プロセスは、エネルギー蓄積型の反応であり、太陽エネルギーの利用方法として、その機構を模倣した研究が種々検討されてきたがこれまで実現されていなかった。

独立行政法人産業技術総合研究所は可視光応答性光触媒プロセスの研究開発をいくつかのアプローチで行ってきた。光反応制御研究センターでは天然の光合成に学ぶ、2段階光触媒の水分解プロセスについて検討を重ねてきた。そして人工光合成システムによる水の可視光分解に世界で初めて成功した。その方法はクロムをドーピングした白金担持のチタン酸ストロンチウム(SrTiO3 )と、白金を担持した酸化タングステン(WO3 )を、ヨウ素レドックスで連結する事により、世界で初めて達成したものである。いまのところ変換効率0.03%程度。

植物の光合成の変換効率は稲などで1-2%、藍藻類で4%とのことだが、私が裏の雑木林で2年かけて測定した雑木林の光合成のエネルギー転換効率は0.18%である。

現時点では色素増感型太陽電池は10%の変換効率を達成しているのでこちらの方が今の所有望。この技術は有機色素、光触媒である酸化チタン、ヨウ素を使うものだ。

ただ太陽電池は電力変換型であり電力会社にとっては昼間の潮流コントロールを難しくする。消費パターンに追従するにはもう一段、水の電気分解が必要になる。そういう意味で人工光合成のようなエネルギー蓄積型がのぞましい。

椿氏の友人、高城眞氏によれば日本の平均的な日射積算量は年間 1,200,000kcal/u。日本の総面積 37,800,000haのうち耕地、樹園地、牧場・牧草地、森林を除いた住宅、商店、オフィス、工場、道路、鉄道等の用地の土地の面積は 7,200,000ha。この10%相当の土地を太陽光変換に使えれば化石とウラニウムによる発電を100%太陽光で代替できるという試算となる。

先日NHKの柏崎原発の今後についての討論のとき、資源エネルギー長官が太陽光変換では化石エネルギー代替は不可能と従来の原発擁護のためのプロパガンダを繰り返していたが、官僚とは自分で計算もせず、先輩の申し送りを繰り返すどうしようもない連中だと再認識した次第。強力な中央集権主義政府によって全てが支配、決定される国家統制主義は20世紀の大いなる政治的な病であると認識すべき。

神戸地震の教訓も無視して2006年の甘い改訂地震設計基準を制定した近藤駿介原子力委員長も原発以外の発電は敵であると公言して いて東大の原子力工学科教授殿の頭の中が垣間見えた瞬間であった。自分のテリトリー以外は敵と認識する人に国家の運営を任すことは是正しなければならない。


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