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シリアル番号 表題 日付

822

色素増感型太陽電池

2004/06/16

Dye-Sensitized Solar Cell(DSC)または“グレッツェル電池(Grätzel cells)”、“湿式太陽電池”と呼ばれる。

1991年にスイス連邦工科大学(EPFL、 École Polytechnique Fédérale de Lausanne)のグレッツェル教授(Michael Grätzel and Brian O'Regan)らが提案し、特許を取得した色素増感型太陽電池。

透明な導電性ガラス板に半導体である二酸化チタン、酸化亜鉛粉末を焼付け、この粒子に色素を吸着させた太陽電池。ヨウ素溶液を介して透明な導電性ガラス板を対極にする電気化学的なセル構造を持つのが特徴。電解質溶液の酸化還元反応を伴うことから“光合成”に例えられる。

色素が光エネルギーを吸収して電子を放出し、半導体のチタニア(TiO2)がその電子を受けて電極へと引き渡す。色素に残ったホール(h+)はヨウ素イオンを酸化し、I- を I3- へと変える。この酸化されたヨウ素イオンは対極で再び電子を受けて還元され、両極間をサイクルすることによって電池となる。

理論最高効率は33% と言われているが、これは単一の光吸収材(色素)を用いた場合の話で、複数の色素をうまく組み合わせれば更なる性能向上が見込まれる。長期安定性に関しては液漏れの観点から従来のシリコン太陽電池にはまだ及ばないため、今後の課題となっている。

変換効率は2004年当時最高2%
2007年にはルテニウム系色素を使うと変換効率10%。
クマリン系色素も使える。
朝日新聞


大日本印刷は2007年に7.1%を達成。
日経新聞2007/3/30


出願機関130以上、出願数1,000以上。

10%以上を達成した研究機関名:EPFL、産業総研、シャープ、東京理科大、住友大阪セメント

発電単価7yen/kWhも可能性あり。

化学工学 vol.71, No.7 2007


実用化されている光合成の転換効率が1%以下であるため、コストさえ低下させることができれば、色素増感型太陽電池 は人類の将来を保証する技術となる可能性を秘めている。

Rev. July 8, 2007


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