読書録

原題：Il Nome della Rosa Umberto Eco

鎌倉図書館蔵

K・イッケルト、U・シックの「バラの名前」百科」を読んで原著を読まないと始まらないと悟って借りる。

ウンベルト・エーコは北イタリアのアレッサンドリア生まれ。トリノ大で文哲学部に学び、ボローニャ大の記号論の教授となった。したがって薔薇の名前は教授小説とも言われる。

中世僧院で生じる奇怪な連続殺人事件を目撃した老修道僧の回顧という形をとるが、中世のキリスト教に関して脱線につぐ脱線である意味でエンタテインメント小説 のようにも見える。しかし中世に時を移して1980年に実際にイタリアで発生した極左テロによるモーロ事件を描いているのだという。 そしてダンテの「神曲」やボッカッチョの「デカメロン」が重層的に織り込まれている。1981年に賞を受賞し、ヨーロッパでベストセラーになり、全世界で1,000万部売れたという。

1986年の ジャン＝ジャック・アノー監督、ショーン・コネリー主演で同名の映画となっている。

これを読んでいるとダン・ブラウンがダビンチコードを書くに当たってかなり影響を受けたと感ずる。