読書録

シリアル番号 491

書名

ダーウィンの危険な思想 生命の意味と進化

著者

ダニエル・C・デネット

出版社

青土社

ジャンル

サイエンス

発行日

2001/1/10
2001/5/1

購入日

2001/08/20

評価

原題:Darwin's Dangerous Idea Evolution and Meaning of Life by Daniel C. Dennett 1996

兎に角、大著。少しずつ読破中。

著者は米国の科学哲学者でタフツ大教授である。いままで読んで感銘を受けたドーキンス、ダグ・ホッフスタッターの著作が頻繁に引用されているので訝っていたところ著者はこの2人の影響のおかげでこの本を書くことになってと告白している。

8ヶ月も放っておいた本であるが、少しづつ読み進むうちに面白くなり、1/3程読み進んだところでエンジニアリング哲学の可能性に触れたところで、止まらなくなりあとは一気に読む。長年エンジニアリング会社でプロセス設計に携わった経験から納得できる点が多々あるためであろう。

ダーウィンのいう進化とは「機械的なアルゴリズムによるプロセスである」というテーゼを厚さ4センチの分厚い本でゲーデル、アランチューリング、フォンノイマン、ダイアモンド、リチャード・ファインンマン、ジョン・メイナード・スミス、ミンスキー、カウフマン、ロバート・アクセルロッド、ホッブス、ニーチェなどグリーンウッド氏好みのお歴々の著作を縦横に駆使して説明している。チョムスキー、スチーブン ・グールド、ロジャー・ペンローズの犯した間違いには手厳しい。

すなわち、ロジャー・ペンローズは進化とはアルゴリズの積み重ねにすぎない。しかしアルゴリズで組み立てられたAIはゲーデルの不完全性定理を楯にして不可能と談じ、即ち進化論を否定してまだ存在しない量子重力論に人間の心の元となるものを求めた。

チョムスキーも人工知能に対し断固たる反対をしたがその理由は彼の生成文法理論(generative grammer)にあり、人間は「普遍文法」(universal grammer)を生まれながらにしてもっているという理論にもとづいている。しかし更に発展してダーウィンの進化論を否定したのは行き過ぎであった。隠れ創造論者に見えたという。

スチーブン ・グールドも反適応主義を支持してチョムスキーやロジャー・ペンローズの仲間となって進化論を信じなかった。

Rev. August 3, 2007


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