読書録

シリアル番号 1366

書名

成長の限界 人類の選択

著者

ドネラ・H・メドウズ+デニス・L・メドウズ+ヨルゲン・ランダース

出版社

ダイヤモンド社

ジャンル

環境

発行日

2005/3/10第1刷
2010/3/18第3刷

購入日

2019/03/04

評価



原題:Limits to Grouth  The 30-Year Update by Donella Meadows, Jorgen Randers and Dennis Meadws 2004

加畑氏蔵書

1972年に出たローマクラブの報告「成長の限界」は本書の著者が書いたものである。それに刺激されて私も同じシステムダイナミックス手法を使って「炭酸ガス排出量削減策のパラドックス」という論説を書いたことがある。

本書も基本的には同じシステム論で新たにわかったデータを入れ込んで精度を上げた意味がある。でもどこまでが地球の限界なのかはあいまいである。

1750年から2000年までの大気中のニ酸化炭素濃度の上昇曲線は幾何級数的にきれいに増加している。しかし地球の平均気温上昇は1850年から 1910年まではフラットで1910年から1940年までに急に増加し、その後1980年までフラットで、その後2000年まで急激にあがるという階段状 の変化を示していて必ずしも因果関係は明らかではない。二酸化炭素以外の要素がかかわっていることを示しているがそれが何かはこの本は解答を与えていない。ただIPCCの説を第一近似として受け入れようと言っているに過ぎない。

人間の経済活動は物質の循環を増やしている。原子力は核燃料の廃棄物は反生命原理を持っており、環境負荷をあげるので再生可能エネルギーと比較すれば採用すべきでないと断言している。たしかに太陽電池などの再生可能エネルギーはガラ スとシリコンから出来ており、その素材は浜の真砂であるから環境負荷は低い。原子力のような集中発電は送電網を構成する銅金属の循環を増やすが、バッテ リーを使う分散発電は銅金属の使用を減らし、リチウムはナトリウムで代替でき、炭素電極は資源的に問題なく、コバルトなどの重金属だけが問題となるがリサイクルで解決できそう。原子力のように処理できない廃棄物は排出されない。


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