読書録
  
    
      | シリアル番号 | 1296 | 
    
      | 書名 | 言ってはいけない 惨酷すぎる真実 
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      | 著者 | 橘 玲(あきら) 
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      | 出版社 | 新潮社 
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      | ジャンル | 社会学 
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      | 発行日 | 2016/4/20 2016/10/15第14刷
 
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      | 購入日 | 2016/11/18 
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      | 評価 | 優 
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新潮新書
店頭でみて衝動買い。帯に「この本の内容を気安く口外しないでください」とある。
頭の良さも容貌も親からもらった遺伝子が決めるという、人間の努力を否定するようなお話し。
容貌に関しては誰でも合意する。しかし頭の良さは、環境の影響もあり、複雑である。ただ努力するという資質も遺伝子が決めるとすれば、やはり遺伝
子ということになる。いずれにせよ、巻末に膨大な専門書の引用文献リストがあり、いわゆる俗説ではない。著者が本書を書いた理由は日本を代表するリベラル
な新聞社がシャルリー・エブド事件にかんし「ひとがいやがることをする表現の自由はない」と宣言したからであるという。リベラルの限界だろう。著者は「不
快なものこそ語るべき価値がある」と考えている。なぜならきれいごとをいう人はいくらでもいるのだから。同じ考えの人はトランプ、石原慎太郎、橋本らだ。
貧富の差は知能格差と容貌格差から生じる。
著名な科学者のなかでユダヤ人の占める割合は高い。特にアシュケナージ系ユダヤ人のIQは高い。アシュケナージとはドイツのという意味でライン川を発祥と
して東欧からロシアに移り住んだ人々だ。かれらはヨーロッパでは差別されていたため、数学的知能が秀でていたことを生かして金融で生計を立てた。宗教上の教義もあり、同族同志で
婚姻をかさねたため、品種改良圧力がかかって、IQが高くなった。ただ近親結婚の代償としてティー・サックス病、ゴーシェ病、家族性自律神経症、乳がんなどの
遺伝病が多い。
アメリカでは製造業をアジアに移転して、技術開発やビジネスデザインなどの知的産業で生き残る戦略をとったが、残念ながら知的産業に携わることができない
IQの高くない人々が困ってトランプ氏を支持するという現象が生じている。民主主義ではやむを得ない。この事実は全ての国に適用される運命ということがわかる。
ヒトのペニスがチンパンジーやボノボより長く、先端に亀頭があるのは人が長い進化の過程(狩猟採取時代)で乱婚であった記憶をとどめている。乱婚ではオス
が自分の子を残すチャンスは膣にはいっている他のオスの精子をポンプ作用で掻き出しに成功した場合のみである。乱婚が禁止されたのは農耕社会になってから
で、初めて強いオスがメスを独占するようになった。乱婚説を補強する事実はメスはエクスタシーで叫ぶことにある。これによって他のオスを誘い、大勢のオス
をひきつけ、保護者の数を増やす効果により、より多くの自分の子孫を残せたのである。