読書録

シリアル番号 1193

書名

中国はもう終わっている

著者

黄文雄(こうぶんゆう) 石平(せきへい)

出版社

徳間書店

ジャンル

経済

発行日

2013/9/30第1刷
2013/10/15第3刷

購入日

2014/04/23

評価



鎌倉図書館蔵

亜細亜大学の飯島名誉教授は中国は2014年中に崩壊すると2013年暮れに断言された。長い目でみればそうなるだろうが、どういう根拠で今年中なのか疑問に思ってこの本を手にとった。

論者は日本に帰化した中国人と台湾人だからインサイダー情報満載である。

まず経済的にはエーモン・フィングルトンが「巨龍・中国がアメリカを喰らう  欧米を欺く「日本式繁栄システム」の再来」b1181で活写したように中国は貿易で成長した。しかし2008年の米国発のリーマンショックを乗り切るために温家宝首相は4兆元の財政出動をした。

中国のGDPが33.5兆元(16円=元)だから3割になる。そのために不動産バブルを生じている。この来るべきバブル崩壊から逃げるように外国企業が中国から手を引き始めた。

中国では食えなくなった農民が流民となって歴代政権を崩壊させてきた。

現在の政権は多党制も三権分立も認めないと公言。唐時代は三権分立で、皇帝は有力な貴族の代表にすぎなかった。門下、中書、尚書の3つの省が独立していた。しかし宗の時代に皇帝独裁となり、以後民主制も共和制も不可能となっている。

しかし社会が産業化し、市場経済が発達すれば人々が自分の権利を求めるというのが自然。これに加えてバブルがはじければ胡耀邦、習近平、李克強の権力闘争になるか?はたまた中国には果てしなき混乱と絶望しか残っていないのではないか?歴史的に 中国と仲良しだった国は不幸になる。朝鮮がそうだ。結局日中は衝突するという。安倍は中国封じ込めを上手くやっている。PTTは中国締め出しのために必須としている。

ただ安倍も温家宝がやった財政出動と同じことをしているのでこの負債をだれがどう返済するのかという問題はある。

望月氏は日本の歴代の首相は皆米国にヘイコラするのはなぜかと聞く。その理由は外交をコントロールしているのは首相ではなく、外務省だからだろう。私はた いして政府内部に情報源はもたないが、会社の顧問だった外務省の諜報担当だったの岡崎元大使は「日本がロシアに勝てたのは日英同盟のおかげ、米国が英国に とってかわったが、日本は一番強い国、すなわち米国にクリンチするしか生きる道はない。とうぜんそれは間違いだという人がでてくるが、その人が間違ってい る」と繰り返し繰り返しいったのが耳に残っている。だからだれが政権を摂ろうとこれが日本の外務官僚の本音。これを無視する首相は鳩山のように失脚する。 日本は官僚に乗っ取られた国。というかマックス・ウェーバーによれば近代民主主義国家はどこも同じようなもの。だが孫崎享(うける)氏の「戦後史の正体」創元社,2012をよむと岡崎大使は古いという感じを持つ。

目下日米交渉してるがどうなるか。安倍リーダーの本音はTPPで合意することと交換条件に米国に守ってもらいつつ中国を囲い込み中国の崩壊を待つというシ ナリオなんだろうが、2014/4のオバマ来日時にTPP合意はできず、日本のバブル破裂のほうが先にくるかもしれない。

一方2014/5/1には習近平のウルムチ訪問時、テロ事件があって中国もゆすぶられている。

Rev. May 1, 2014


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