読書録

シリアル番号 1132

書名

アウシュウィッツ「ガス室」の真実 本当の悲劇はなんだったのか?

著者

西岡昌紀

出版社

日新報道

ジャンル

歴史

発行日

1997/6/10

購入日

2013/2/13

評価



自由人のエネルギー勉強会で お会いした東芝林間病院神経内科の医師である西岡氏から「こ こが変だよ ホルミシス論争」という一文が掲載された花田紀凱編集のWill 2012/11月号を送ってきた。このWillという月刊誌はかなり右寄りの論者をそろえているが西岡氏の論点は非常に科学的で原発推進論者をそろえた Willのなかでまったく異質なもので不思議に思った。拙著「原発敗戦」を贈呈したら、お返しに氏の「ムラヴィンスキー 楽屋の素顔」 という著書をいただいた。これで西岡氏は「新芸術家協会」を設立し海外のクラシック音楽家招聘をしていた父を持ち、音楽には深い造詣をもっているとわかっ た。そうこうしているうちに、上杉春雄のピアノ演奏会に招待され、そこで大勢のマスコミ関係者に紹介された。花田編集長も参加予定だったらしい。一緒にまねかれた森永先 生になぜと聞くと、西岡氏は医者であるが、著作家として有名な人なんだそうである。氏の書いた記事が原因で文芸春秋社、花田編集長の雑誌、マルコポーロは 廃刊に追い込まれたという意味で編集者仲間では超有名だという。そして先生はこの本を貸してくださった。

手に取るや数時間で読破してしまった。欧米では「ホロコースト・リヴィジョニズム(Holocaust revisionism)」と呼ばれる人々がホロコースト神話に疑惑を投げかけている。西岡氏はホロコーストは否定していないが、医者なのでガス室に疑問を持ちその疑問を書いたのだ。ウーム、タブーとされる情報はそのま ま拡散はせず、捻じ曲げられた情報が流布するという一つの例で感無量だった。私 の人為的温暖化懐疑論も似たようなタブーに取り巻かれている。アマゾンの書評を読むと2手に分かれて、本書をそのまま受け入れる人と、トンデモ本と拒否す る 人に分かれているのは面白い。

無論、私は受け入れ派だ。さもありなんと思う。この差は脳の構造にあり、私はリベラルだからだろう。リベラルの人間は前帯状皮質の灰白質の 容積が大きく、保守派であるほ ど右へんとう体の容積が大きい傾向がある。前帯状皮質は複雑性の理解に関連しており、不確実性や対立をチェックする機能を持 つ。そのため、前帯状皮質が大 きい人ほど不確実性や対立への認容性が高く、リベラルな物の見方を許容しやすくなる。一方、へんとう体は恐怖心の処理に関連しており、 これが大きい人ほど、反感や脅すような表情に敏感で、危機的状況に際してはリベラル派以上に攻撃的に反応する傾向があるという。この本を読むとケシカラ ン、ネオナチだと怒り出す人がそうだ。

前置きはこのくらいにして私にとって説得力があったところはガス室で使われた毒ガスはディーゼルエンジン排ガスの一酸化炭素か青酸が使われたという。ガソリンエンジンならいざ知 らずディーゼルエンジン排ガスで一酸化炭素を発生させるのはかなり難しい。

青酸ガスはチフス対策の防疫用衛生害虫駆除剤につかわれたチクロンB(Zyklon B、サイクロンB)の缶の蓋を缶きりであけてガス室の天井から投げ込んだというストーリーは吸着されたガスがでてきて致死量に達するのに温度により6-32時間かかる。(ヘスが言うようにとても20分ではない)そして換気に10-20時間かけてようやく、死体 搬出できる。時間がかかり、とても400万人(実際には150万人)も殺せない、強制収容の劣悪下でチフスなどで死んだとするのがまっとう。そもそもガス室とされ、 現存するものはガラス窓があったり、換気も難しい地下室だったり、比重の軽い青酸ガスを浮力を利用して排出する換気用のスタックが無かったり、チクロン投入口とされたものはコンクリート天井に戦後穴 をあけ、木製の木枠をはめ込んだもので戦後展示用に安普請したものでとても気密性はない。

そもそもソ連が押収した設計図にはガス室なるものはない。ポーラン ド共産政府発表の「ヘス告白遺録」は技術的に矛盾だらけ。ポーランドの共産政権の捏造とみてよい。ソ連はカチンの森でポーランド軍将校を大勢虐殺ドイツが やったと白を切り通した前歴がある。そのソ連のポーランド傀儡政権がアウシュヴィッツのガス室をでっち上げたことは容易に推察できる。すべてヘスの自白と いうものしかなく物的証拠は戦後の証拠作りの結果であり、科学的に不可能なことなのだ。ちなみに米国の青酸ガス死刑室はシアン酸カリウムやシ アン酸ナトリウムを希硫酸と反応させる方式で青酸ガスを発生させている。この方が速やかに発生する。ガス室は鋼鉄製で出入り口はゴムで機密性を高めてい る。化学反応方式を採用したとは記録されていない。仮に採用しても執行側に犠牲者を出さないために、緻密な準備 がいる。こうしてガス室のホロコースト伝説は日本では守られたのである。NHKもポーランド共産政府の造った話とそれらしく加工した、テーマパークもどき のガス 室の映像(NHKなどがいつも使っている映像は、権威あるドイツの国立資料館(Bundesarchiv)やアメリカのNational Archiveのものだがでっち上げられた記録も検証なしにそのまま入っているのだ)を垂れ流し続けている。

アメリカのシオニスト団体サイモン・ウィーゼンソール・センター(SWC)が西岡氏が書いた記事を見て文芸春秋ボイコット運動を展開し、欧米の企業は SWCのなんたるかを知っているのでほとんど無視したが、日本企業が驚いて一斉に広告を止める動きに出たので、文芸春秋社はマルコポーロ廃刊をき めた。中央官庁からも圧力をかけられたという。これは言論の自由を保障した憲法違反。

ドイツでは1994年から「ホロコースト否定」が刑法130条第3項で禁じられている。2004年にはイスラエルで、外国に対して「ホロコースト否定論者」の身柄引渡しを要求できる「ホロコースト否定禁止法」が制定された。

世間の目をホロコーストに向けて真の問題をカバーアップする目的はイスラエルが中東に建国され土地付きの地元のパレスチナ人の土地を奪ったことの不当さを覆い隠すためであったといことが語られている。

先ごろ、アルジェリアで日揮の関係者38名がアルカイダ系のテロに殺されたが、なぜ日本ねらわれたかというと、日本がイラクに進攻したアメリカに加担した ためオサマ・ビンラデンが日本も攻撃目標と指令を出して死んだからとも考えられる。これから、米国が手を引くため、先進国の収奪に怒りをもつ地元民のテロ はますます激しくなるだろう。

最後に西岡氏は上智大学のロッケンドルフ教授のことば「問題は、報道のひどさではない。民衆がそれを信じるか、信じないか、 だ」で締めている。ロッケンドルフ教授は「いかにナチといえども命令で戦争のための憎悪を人民にうえつけることはできなかった。むしろ民主主義国のほうが報道や宣伝でそのような憎悪 を民衆にうえつけることに長けている」といっているのだ。

西岡氏はあとがきで類書の木村愛二著「アウシュヴィッツの争点」の一読を薦めている。


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