読書録

シリアル番号 1108

書名

時のかけらたち

著者

須賀敦子(あつこ)

出版社

青土社

ジャンル

随筆

発行日

1998/6/30第1刷
2010/3/15第14刷

購入日

2012/04/22

評価



妻の蔵書。須賀敦子の作品が気に入って読んだ4冊目。

パンテオンとハドリアヌス帝の関係を読んで1971年のロンドン滞在後、休暇をとって パンテオンを訪問したことを思い出す。



1708年にヴェネツィアのムラーノ側の潟が氷結した銅版画がでてきてうれしくなった。マウンダー極小期にはテームズ河が凍り、フランドルの画家ピー ター・ブリューゲルの絵画に影響を与え、天明の飢饉が発生したことは知っていたが、これも大切な記録だ。グローバルヒーティングの黙示禄に追加する。

ローマの休日にでてくるスペイン広場のスカリナータ(大階段)はSantAngelo城の東、テレべ川を渡った丘にある。ルイ14世がPiazza della Trinita dei Montiの前の坂に建設することを発案してその孫ルイ14世が建設したと意外なことを書いている。

スペイン広場の南のカピトリーの丘にある悪名高いイタリア統一記念碑(ヴィットリオエマニュエル2世記念堂)の裏手にあるミケランジェロが設計したという マルクス・アウレリウムの騎馬像のある広場に通ずるアリチェリの大階段がでてくる。1971年のローマ訪問時はここにはゆかなかったが、カピトリーの丘の 下にあるフォロロマーノは小雨に濡れながら、風邪気味で微熱のある娘を抱いて散策した。

カピトリーの丘というと英語ではキャピタルヒルである。ローマその ものということ。『プルターク英雄伝』ロムルス伝 17に「カンピドリオの丘」といううものがでてくるがこれである。ローマでも最も要害な城砦があったところだ。

須賀さんは言及していないがタルペイヤの岩(rupes Tarpeiaがいまでもカピトリーノの丘の南側にある。ちょうどカンピドリオの丘の南側のフォロロマーノを見下ろす崖がそれ である。崖の下は駐車場になっている。丘の上にのぼる道路Via di Monte Tarpennoのヘアピンカーブのあるところだ。

裁判中はサン・ジュゼッペ・ディ・ファレニャーミ教会地下のマメルティヌスの地下牢にいれられ、
死 刑が確定するととこの崖から突き落とされた。サン・ジュゼッペ・ディ・ファレニャーミ教会は市庁舎 を正面にみて左側の坂道Via di San Pietro in Carcereを下ったところにある。ちょうどフォロロマーと同じレベルでSanta Maria AntiquaとBasillica Aemiliaの筋向いにある。

この地下牢には使徒聖ペトロと聖パウロがつながれていたとされ、
カエサルによって捕虜となったヴェルサンジェ トリックスはこのマメルティヌスの地下牢で獄死した。


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Rev. May 9, 2012


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