読書録

シリアル番号 1075

書名

南の思想 地中海的思考への誘い

著者

フランコ・カッサーノ

出版社

講談社

ジャンル

哲学

発行日

2006/7/10第1刷

購入日

2010/12/8

評価

札幌大教授ファビオ・ランベッリ訳

藤沢市総合市民図書館蔵

朝日新聞の書評を見て借りる。

ここで南とは南イタリアという遅れた地方というイメージではなく、地中海、そして地中海の特徴である古代ギリシアのイメージである。北とは現代の速さと効率を追ってめまぐるしく変転する文明をいう。ギリシアのイメージとしてはニーチェブルックハルトドゥルーズーガタリヘルムート・ベルヴェ、トインビー、ポッパー、ハヴェロックの言葉を引用して定義する。

北は目下「緊急性の専制」に陥っている。こうして安定性や信頼性を生み出す諸制度の破壊が進行している。人間全員が熟練したサーファーになることを要求する。ターボ資本主義はより速く走るためにバラストを捨て去るがそのバラストは社会の基礎構造であったりする。

東西という対立軸はアジア的価値観、つまり人権対社会団結を含め、誰が世界的支配権を持つかの議論でしかない。

南北の対立軸は権力の追及ではなく正義の回復の問題である。


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