PRO/II による

集光型スターリング・エンジン

グリーンウッド

4気筒副動クランク・エンジン

集光型太陽熱発電(CSP発電)に使われているスウェーデンのKockums社のU4-95エンジン(作動ガス:水素)の4気筒副動クランク・エンジン (Four-cycle double-acting configuration, FCDA)はヒータ管壁に集熱し、 管壁を810℃に直接加熱する。集光面とエンジンシリンダーは最短距離にして高温材料を最小限にしている。 発電端効率27%である。

4気筒副動スターリング・エンジン

25kWディッシュを標準モジュールとして多量生産によるコストダウンというコンセプトである。コンクリート基礎も使わず鋼管をバイブレータで押し込んで支柱を建てるというローコスト建設法。

サザン・カルフォルニア・エヂソン社ならびにSandia National Laboratoriesによればその設置面積1m2当たりの1日の出力は

Type of CSP

kWh/m2

%

unit cost (yen/W)

Tracking  Stirling Solar Dish 629 31.25 320
Central Receiver (Tower Type) 327   500
Parabolic Trough 260 33.0 316
Tracking Photovoltanic 217 23 500

すでに2プロジェクトの受注実績があるがサンディアゴ・エレクトリック社はカルフォルニア州インペリアル・バレーで3万台のサンキャッチャー・パワー・システムを設置し750MWの発電をする。サザン・カルフォルニ・エヂソン社がサン・ベルナルディオ郡に3.4万台のサンキャッチャー・パワー・システムを設置し850MW発電する。

建設費は公表されていない。仮に多量生産で25kWが10,000,000円で建設可能とすれば建設単価は400円/Wとなる。

追尾型であるから キャパシティー・ファクター=0.417、ウエザー・ファクター=0.4、利用率=0.9として、1kW相当出力で年間発電量は1,314kWh/yとなる。40年運転で均等化経費率=11.26%/yとすれば発電単価は34.28円/kWhとなる。

PRO/IIでリバースエンジニアリングしてみる。

スターリングサイクルと等価の外熱式再生型ガスタービンサイクル

圧縮比2、最低圧2atm、集光面温度810oC、冷却水温度60oC、再生器の回収熱ゼロとすると軸出力効率は29.0%となる。発電機効率93%とすれば発電端効率27%となる。冷却水は60-63.3oC(平均61.65oC)でシリンダージャケットとラジエーターを循環しているようだ。 詳しくは

圧縮機断熱効率90%、吸入温度140oC、吸入圧力2atm、吸入量10kgmol/h、吐出圧力4atm、吐出温度259oC、消費動力8.27kW

膨張機断熱効率95%、入口温度770oC、排気温度573oC、消費動力13.93kW

正味出力5.66kW

集光面熱負荷19.5kW、集光面積0.063m2、集光器入口温度493oC、集光器入口温度770oC

再生器熱負荷16.3kW、伝熱面積0.176m2

シリンダージャケット冷却負荷13.8kW、伝熱面積0.756m2、シリンダージャケット入口温度339oC

集光面温度810oCと冷却水60-63.3oCからカルノー・サイクルを計算すると。

h=1-TL/TH=1-(273+61.65)/(273+810)=0.691%

実サイクル効率27%はカルノー効率の

27/69.1=39.1%

このようにランキンサイクルの55%に比較し低いのは集光面やシリンダージャケット冷却面積に制約があるためである。

スペインのアルメニアに設置されているドイツSchlaich Bergermann und Partnerの10kW級発電システムもある。その集光部の直径はφ8.5m,使用しているエンジンはドイツSOLOのV161エンジンです。2気筒単動クランク・エンジンであり,作動ガスには15MPaのヘリウムを用い,高温温度650℃において,発電出力9.5kWe(発電端効率24%)が得られるという。

 

400Wのフリーピストン・スターリング・エンジン集光発電

パナソニックからヘリウムガス封入の400Wのフリーピストン・スターリング・エンジンが市販されている。リニアジェネレーターなど組み込んだすぐれものだ。構造上水冷却のようだ。 仮りに温度条件がおなじなら、27%の効率で400W出力が得られるとしてみよう。そうすると集光面積は1.5m2で良いということになる。直径1.4mのバラポラ鏡と太陽の位置センサーとパソコンとサーボモーターまたは車用のワイパーモーターを組み合わせた太陽追尾装置があればよいことになる。

光学アクリル材を使って特殊成形し、鏡面を蒸着するバラポラ鏡、アルミ板を精密研磨する製品など多数入手可能。

潟vロマテリアルというベンチャーは封入ガス圧10atmのヘリウムガスを作動流体にし、500oCの加熱源、30oCの冷却水で300W出力(DC24V)スターリング・エンジンを15万円で2011年販売予定という。 エンジンだけの建設単価は500円/Wである。フレスネル集光レンズと組み合わせて発電できる。パソコンを使うフィードバック式の 太陽追尾装置メーカーも沢山あるのでdo it your self で組み立てることができる。建設単価は1,000円/Wも可能か。キャパソティー・ファクター=0.417、 ウエザー・ファクター=0.4、利用率=0.9として、1kW相当出力の年間発電量は1,314kWh/yとなる。均等化経費率=11.26%/yとすれば発電単価は85円/kWhとなる。 結晶型ソーラーセルと同じコストパーフォーマンスが期待できる。

February 11, 2010

Rev. October 2, 2010


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