「熱電プラザ2014」

セミナー・展示会

2014 年11月19 日 東京ビッグ・ササイト 東1ホール

 


主催:東京ガス

東京ガスの元専務殿からご招待状をいただき「熱電プラザ2014」に一日遊んだ。

展示会

数年前にPVの展示会にでかけたことがあるが、今回は原発事故以後の電力の自由化の時代にむけ、ガス事業から発電・電力事業にも手を伸ばそうとしている時機の展示会で、かなり活気がでていた。

小型バイナリー発電機が多数開発された。2010年に隠居の徒然なるままに試設計したスクロール型膨張機をつかう温水発電機ULVAC-RIKO, Inc.と言う会社が実機販売しているのをみてうれしく思った。

トヨタなど自動車会社がLPG燃料車を製造ラインに乗せるのを嫌がると聞く。ならばとトヨタハイブリッド車をCNG車ないしLPG車に改造する会社FKmechanicが 改造車を展示していて興味をもった。LPG車不足でLPGが売れなくて困るという声を聴くが、このような会社と提携したらいいのではないか。またガス事業 の自由化でCNGが安くなればCNGに改装することも考えられる。ただ1台の改装費がLPGが60万円、CNGが80万円とちと高い。

経産省がはしゃいでいる水素エネルギーに ついては展示会ではなにも展示していない。専らガスエンジンやマイクロガスタービンによる分散熱併給発電が中心だ。ガス・エンジン駆動のヒートポンプが多 数市販されている。ガス業界は石油業界と同じく資源ではない水素に興味を持っていないらしい。健全な態度だ。水素を化石燃料から製造すると却って資源を早 く枯渇させて、サステナブルではなくなる。再生可能エネルギーが競争力をもつまでは大規模に展開すべきではないだろう。しかも再生可能エネルギー時代に本 格的に参入することはアンモニア燃料化のほうがローコストであることが認識されるのではないか?

東ガスが出資する天然ガス燃焼IPP発電は4つある。日鉱日石エネルギーと東ガス共同出資の川崎天然ガス発電会社は410MWx2コンバインドサイクル、東ガスと昭和 シェル共同出資の扇島パワーは400MWx2コンバインドサイクル、東京ガスベイパワー袖ヶ浦発電所一軸式115MWコンバインドサイクル、東京ガス横須賀パワーの横須賀パワース テーションは240MW排熱回収式コンバインドサイクル。袖ヶ浦には2MWの風力発電を持っている。

会場にはCNGで動くLNGローリー車が展示されていた。トヨタの水素ボンベは700気圧OKなのにCNGは古い規制の200気圧までというのも、不公平であると感じた。これは規制緩和が必要な分野だろう。

どうも都市ガス業界は水素には関心を持っていない。そういえば石油業界も同じ。




CNGで動くLNGローリー車


セミナー

<東京工業大学の柏木孝夫特命教授>

もっぱら分散発電への流れを賞賛するスピーチをした。電力自由化でようやく可能になるのだから感慨もひとしおだったのだろう。総務省が排熱パイプラインというインフラに投資するそうなので期待したい。箱物よりよほど有効。

<東ガスの救仁郷(くにごう)豊副社長>

米国産LNGの価格は中東の国営石油会社との相対交渉による原油スライド、原油パリティー、アジアプレミアム価格、そして仕向地条項 (destination clause)と は全く別世界で、天然ガスはパイプラインから自由マーケット価格で購入し、自ら建設する液化基地ないし、液化サービス会社に液化を委託してLNGを製造す る。これを自前のLNG船で輸送することができる。そうするとアジアプレミアムより2-3割安くなる。契約締結済はCameron, Sabine Pass, Free Port, Cove Piontで1,700万トン年が2017年から始まる。シェール・オイルのピークは2020年だが、シェール・ガスはまだまだ出るようだ。こうして LNG価格低下のためには共同調達も行ってコモディティー・マーケット化させる。

電力自由化になれば東ガスもガスとパッケージにして電 力小売に参入するそうだ。日本のアメリカ産ガスへの依存度があがればホルムズ海峡が戦争で閉鎖されても米国産や豪州産に依存できるのでLNGも準国産に なって、原発を事故のリスクを冒して稼働させる大義名分が失われるのではないか。

東ガスが完成させた熱併給地区は新宿副都心、六本木ヒルズ、千住スマエネ、東京イースト21、幕張地域冷暖房、磯子スマートハウス、埼玉県立がんセンター 病院、パナソニック工場跡地の再開発Fujisawaサステナブル・スマートタウンなどである。目下開発中の熱併給地区は田町東口北地区、日本橋スマート シティ、豊洲埠頭地区である。

<資源エネルギー庁長官の上田隆之>

「エネルギー基本計画」に関する解説を聞いた。原発事故後国産エネルギー比率は6%。原発を継続しなければならぬ理由としてホルムズ海峡閉鎖にそなえ、国産 エネルギーを一定比率確保する必要があるというのには驚いた。ホルムズ海峡閉鎖と原発事故とどちらのリスクの確立が高いかという問題で説明してもらう必要 がある。どちらもべき分布でテールリスクが結構高い。

なぜ原発が準国産かというとウラン燃料棒は備蓄できるからというわけだ。それなら再生可能エネルギーも国産エネルギーではないかとヤジを飛ばそうかとお もったが国会ではないから黙っていた。ただ殺気を感じたのか、無論、再生可能エネルギーも国産だからしっかり開発をしていくと電力が聞いたらビックリする ようなことをいっていた。そのためには送電線への投資をしっかりするという。

電力自由化では東電は原発は本社で担当し、火力は中部電力などと合同でおこなうことになるだろう。LNG発電のリプレースは1兆円規模。

ふしぎなことに水素エネルギーには触れなかった。水素は資源ではないからか?

<TBSの福澤克雄監督>

 「半沢直樹」をヒットさせたの講演がとても面白かった。福沢諭吉の孫の孫という巨漢で慶応幼稚舎舎から慶応大学卒業までラグ ビー漬けだったが、スターウォーズをみて映画監督になりたいと決めて、ついに監督になり成功するまでの苦労話が面白かった。人の育ってゆく課程をうまく表 現できていた。小学校は人生でやりたい職業を選ぶ場所。監督業の秘訣はテンポを早くするため早口の役者を選ぶのがよい。シナリオの書き方は橋本忍先生に教わった。秘訣は複数人で書くべし。

November 24, 2014


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