PRO/II による

ペンタン・ランキン・サイクル

温水加熱、冷水塔冷却

グリーンウッド

ビジョン

屋根に設置するハイブリッド・コレクター(Hybrid Collector)で温水を作れば、大気をヒートシンクにするボトミング・サイクルを構築できる。

アンモニアー水の作動流体は圧力が高いのでペンタンのランキンサイクルを検討する。気化、凝縮曲線はフラットのため温水循環量を増し、ヒートシンクも冷水塔にした。

PVは多量生産によってコストダウンを図る技術体系である。そこで多量生産する熱サイクルのサイズもPVにあわせるべく一般家屋の屋根に設置可能の集熱器の面積として40m2とした。

 

フロー

動力回収は小型で安い容積型の膨張機を採用するものとする。たとえば家庭用空調機の斜板式、スクロール式、ベーン式などの圧縮機を逆用できるが市販されている商品はない。神戸製鋼のMSEGスクリュー・エキスパンダーは 少し大きいが市販されている。安価に製造できそうなものに摩擦を使うマルチディスクのテスラ・タービンもあるが、効率が低い。熱交換機は完全向流方式となる。

合成潤滑油を作動流体に混入し20年の耐用年数を確保する。ペンタンは伝熱係数が高くはないが、フェライト、銅系の素材がつかえるため作りやすい。

 

設計諸元と出力、熱効率

集熱器の面積として40m2とし、26.78kWの熱の供給を受けるとした。

外部から供給される熱源としての温水温度:90-86.6oC(平均88.3oC)、気化温度:99-85.5-36.4oC

ヒートシンクとなる冷却水温度:32-34.5oC(平均33.25oC) 、凝縮温度:61.25-36.18oC

冷水塔設計条件:乾球温度30oC、湿球温度27oC(飽和温度10.9oC)

CW冷却のペンタン・サイクルのTH線図

温水循環量:382kgmol/h、 (6,881kg/h)

冷却水循環量:450kgmol/h、 (8,107kg/h)

補充冷却水:1.9kgmol/h、    (34.2kg/h)

作動流体:2.99kgmol/h、 (215.7kg/h)、 nペンタン

最高圧力:4.2atm

膨張比:4.193/1.002=4.18

気化器熱負荷:26.78kW、面積:3.24m2、平均温度差:3.56oC、熱交換器総括伝熱係数:2,000kcal/h/ C、圧力損失:0.007atm

コンデンサー熱負荷:24.28kW、面積:3.27m2、平均温度差:3.18oC、熱交換器総括伝熱係数:2,000kcal/h/ C、圧力損失:0.002atm

タービン出力:2.551kW、断熱効率:80%

冷水塔ファン消費電力:0.092kW、断熱効率:80%

冷水塔ポンプ消費電力:0.016kW、断熱効率:70%

作動流体ポンプ消費電力:0.045kW、断熱効率:70%

温水循環ポンプ消費動力:0.148kW、断熱効率:70%

正味出力:2.25W

システム熱効率:2.25/26.78=8.4%

 

カルノー効率

本サイクルのカルノー効率は

h=1-TL/TH=1-(273+33.25)/(273+88.3)=15.23%

実サイクル効率8.19%はカルノー効率の

8.4/15.23=55.2%

 

建設単価

正午の最大出力2.25kWの出力となるため、別勘定の集熱器を除き1式100万円以下で製造できれば建設単価は約444円/kWとなる。実際はどうかというと熱交換器の伝熱面積合計が5.6m2である。化学装置誌2010/1号掲載の通常の化学プラント向けTEMA型ステンレス製熱交換器は124万円程度となる。市販されている膨張機といえば神戸製鋼のスクリュウ膨張機しかないのでこれをつかい、ポンプ 、冷水塔などの費用を入れれば250万円位になりそう。建設単価は約1,389円/Wとなる。

キャパシティー・ファクター=0.3162、ウエザー・ファクター=0.4、利用率=0.9として、1kW相当出力の年間発電量は997kWhとなる。均等化経費率=11.98%/yとすれば発電単価は166円/kWhとなる。

 

モデル化のポイント

冷水塔設計のための大気の水分含量計算モデル、冷水塔設計モデルも組み込んだ。

熱交換器は全て向流。相変化のあるところはゾーン分割する。

気化、凝縮は全て一定温度であるから温水、冷水の循環量を多くした。

気化器はピンチポイントがあるので注意が必要である。

クローズドループはオープンサイクルとして扱う。

エネルギー単位系は便宜上kW表示とした。

February 6, 2010

Rev. February 13, 2010


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