第14回

自由人のエネルギー勉強会

2015年11月29日

神田学士会館 302号室

会費:3,000円

森永晴彦 ミュンヘン工科大正教授:   ご挨拶と転機について      13:00
青木一三 元千代田加工: エネルギー問題の動向   14:00
        ついに人類 は原発と化石燃料から解放されるのか?
小沼通二 素粒子学者: 無理と道理の対立      14:30
井上忠雄 元陸将: 現代危機の対処策        15:00
加来至誠 外務省: 外交の課題          15:15
        コヒーブレイク         15:30
自由討論  この会の今後をどうするか?

武田 暁 素粒子学者: 「哲学の必要」の後日談
井上忠雄 元陸将 : 「戦争に巻き込まれないために」の後日談

二次会(1Fのコヒールームで)

会の後、東大の木下氏から

ヨーロッパでは、多国籍で1つのことをするノーハウを蓄積しています。わたくしがデンマークのプロジェクトリーダから学んだことですが、多国籍で行うに は、議長は1人勝ちできるような強い力を持たない方が良い。小さな力の国の方がグループ化した場合は全体をまとめる力を発揮できる。事実、スカンジナビア の、デンマークやノルウェーがそのいい例です。

日本はすでに、潜在的核保有国だと言われています。大量の使用済み燃料から出るプルトニウムを保有している事は事実です。それを核兵器材料だと言うことも 全くの嘘ではない。そういう見方に立つこともできます(広島型の20%程度の破壊力とされています)。

これを前提に、日本のとるべき方向を考えました。

日本はその技術力をもって、核兵器を作れないようにする技術、すなわち核兵器材料不拡散技術の開発と普及の、指導的な国になることができると考えます。 (具体的な方法は、国内や米国の核物質管理専門家と議論しています)そしてその技術を共有する多国籍連合体を作ることもできると考えます。その中には韓国や 国として原子力発電計画を持つ国全て(ベトナム、インドネシア、モンゴル、フィリッピンなどなど)を含めることができます。(民生用の原子力プラントにつ いては、インドもその中に含まれるしパキスタンもその中に含まれると考えます。)多国籍連合体での、核兵器に関してですが、「東アジア核テロ防衛ネットワーク」、とい う構想をそだてて提唱してはいかがでしょうか?

というメールが来た。

私は

「東アジア核テロ防衛ネットワーク」は大変興味ある構想です。しかし同じような規模の国が並立するヨーロッパと違ってアジアでは中国一国だけがとびぬけて大きく、 歴史的にも国のレベルが均一ではありません。いずれその方向になるのが理想と思いますが、当面はどういう風にしたらよいかも思い浮かばない状態とおもいま す。米国との関係をどうするかが最大のハードルでしょう。でもそういう方向でディスカッションするのは意味のあることと思います。

と応じた。

そもそも核兵器を作れないようにする技術なんてマッチポンプ技術ではないか。使用済み核燃料を再処理してプルトニウムなど生成するからプルトニウ ムをハイジャックするというインセンティブを発生させるのだ。核分裂物質が混ざったままの未処理の状態で保管すれば盗人が核兵器製造に成功する前に死んでしまう。

森永先生は「九条は守りたい」という。小沼先生によればデカルトは常備軍は、時と共に全廃すべきと言ったそうだが、二コロ・マキャベェッリは自分 の失敗から国の根源は傭兵に拠らない軍事力にあると確信し、国民軍の創設を計画している。生物だって免疫機構なしに生き残るのは不可能だ。しかし私は憲法 9条を変えず、米国無しで、かつ核武装なしに、東アジア核テロ防衛ネットワークもなしに井上忠雄氏のいう核攻撃やテロのような非対称脅威に対処できると思う。非対称脅威とはFair Fightingでない手段を使う奇襲的脅威のことだ。したがって外交的方法も使えない。

このような状況下で、万一どこかの独裁者のいる国から核攻撃を受けたとき、それを決めた攻撃側の独裁的指導者を特定できる情報網を整備し、その特 定個人または組織の複数人の生命を狙い撃ち可能なクルーズミサイルあるいは無線操縦無人攻撃機や自律型攻撃ロボットなどの報復機械を開発所有して常に訓練 しておくだけで核 抑止力を維持できると考える。もし民主主義の国が核攻撃してきて、かつその国に原発があるなら原発を狙えばよい。その有効性は福島が証明したし、またフラ ンスが証明してくれるだろう。ISがテロの対象をフランスの原発に定めるのは時間の問題ではないか。自爆犯が原発に入り込むのはそう困難なことではないだ ろう。原発1か所のテロ対策には通常兵器で武装した兵士100名が必要とされるという。要するに非対称脅威には非対称手段で対応するということだ。

以上は物理的暴力に基づくテロだが実は世界のすべての工場はインターネットで連結されている。2020年までに家電や車、産業機械など計 500億台がネットにつながるとの見通しだという。あらゆるモノがネットにつながる「インターネット・オブ・シングス(IoT)」の時代には遠隔テロの脅 威があるのだ。例えばイランの核施設が米国からとみられるサイバー攻撃を受け運転停止した。14年にはドイツの製鉄所の溶解炉がサイバー攻撃で爆発した。「将来 は飛行機のなかから人工衛星を乗っ取れる」と米国の著名ハッカー、コルビー・ムーア氏は言う。必要な攻撃装置 は市販部品の組み合わせで簡単に作れる。費用はわずか1,000ドル(約12万5000円)。攻撃装置の通信能力さえ向上できれば、人工衛星を特定の建 物に向けて墜落させることも可能という。日本はこれから原発再稼働するがフランスは丸裸である。い ずれ明らかになろう。

核攻撃に対する抑止力として国家として兵士に自爆を命ずることはできないが、自動運転装甲車ないし飛行体を原発に飛び込ませることは非常に簡単なこと だ。クルーズ・ ミサイルまたは 無線操縦無人攻撃 機の移動型発射プラットフォームはやはり常時潜航している潜水艦となろう。カモフラージュした自動操縦攻撃車や自律型攻撃ロボットは無線操縦ヘリで目的地 周辺に着陸させるという手段をとる。

核攻撃への 報復としてこの行為は国際戦争法に反しないか問題だが、すでに米国はオサマ・ビン・ラーデンの暗殺やIS空爆のように、現実に採用しているし、核に核で報 復するより 人道的であることは間違いない。このように時代が変わってしまっている。16万人の陸上自衛隊の維持など時代錯誤だろう。これを縮小して浮いた 国費で核抑止力を維持できる。そのためには憲法9条改定に無駄な政治力を浪費せず,国費を優秀な技術者を育て、維持することいに力を注ぐほうが合理的だ。 加えてこの 技術は民生への波及効果も期待できる。

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May 7, 2015

Rev. December 6, 2015


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