福島の放射能汚染

 

2011年03月11日午後3:46、マグニチュード9(世界で4回目)の超巨大地震で福島第一原発はメルトダウンし、レベル7に相当する放射性物質が大気と海に放出された。以下はその結果である。

放射性物質は放射線をだす。放射線にはアルファ、ベータ、ガンマ線、中性子線の総称である。 アルファ線はヘリウムの原子核、ベーター線は核から放出される電子線同時にニュートリノも放出される。ガンマ線は電磁波だ。中性子線は中性子という素粒 子。

ベータ崩壊では核の質量数は不変だが質量は変わる。中性子の重さは1.67492716×10-27 kg、陽子の重さは1.67262158 ×10-27、その差は0.00230558×10-27=23.0558×10-31kg、 電子の重さ9.1093897×10-31kgで中性子と陽子の質量差の半分。ニュートリノの重さの有無はいまだ論争中。

ほとんど全てのセシウムは、中性子/陽子比の高いヨウ素とキセノンのベータ崩壊を通じて生成する。ヨウ素やキセノンは揮発性であるため、空気を通じて拡散 し、放射性セシウムは放出された場所から離れたところで生成する。こうして生成したセシウム-137に汚染された空気や飲食物を摂取することで、体内に取 り込まれる。セシウム-137は体内に入ると血液の流れに乗って腸や肝臓にベータ線とガンマ線を放射し、カリウムと置き換わって筋肉に蓄積したのち、腎臓 を経て体外に排出される。セシウム-137は、体内に取り込まれてから体外に排出されるまでの100日から200日(半減期30-70日)にわたってベー タ線を出して短命なバリウム137に壊変し、更にガンマ線を放射して非放射性のバリウムになる。こうして ベータ線による体内被曝の原因となるため、非常に危険である。

通常の化学結合のエネルギーは数10eV程度だからセシウム-137が崩壊して出す512keVのベータ線や662keVのガンマ線は化学結合の数万倍のエネル ギーで分子を壊し、2次電子 を放出して玉突きにする。アルファ線はもっと強く4,200keVである。そして飛距離は40μm 程度で全てのエネルギーを使い果たす。

ちなみに万物の質量を決めるヒグス粒子の質量m=124GeV/c2だから素粒子のもつエネル ギーはもっと強力。

radiation spectrum

 

大気中に放出された放射性物質の総量

広島型の原爆は800gの235ウランが分裂しただけだから、多数の人が中性子線で焼け死んだが残された核分裂生成物はほぼ800gだけ。しかるに1GW の原発には約100tonの燃料が装荷されている。核分裂物質の235ウランは4%であるからこれを4年間燃すと4tonの分裂生成物が生成する。1年当 たり1トンだから毎年広島型原爆1,000発分生成していることになる。一日当たり4x1000/(4x365)=2.7kg/d。(総FP量は 640,000,000tBq=640exaBq=640/4=160exaBq/ton)

福島第一にはプール保管分含め、核燃料は2,000トンがあった。ちなみにチェルノブイリには180トンがあった。Cs137は化学的にはカリウムとおな じなので チェルノブイリの場合、気化するか、水に溶けて67%が炉外にでてしまうという。

原子力安全委員会は3月25日になり、ようやく大気中に放出した放射性物質の総放出量を30,000-110,000tBqと公表した。

原子力安全委員会の4月12日の発表によれば原子炉停止時の炉内の放射性核種のうち、ヨウ素131は6,100,000tBq、セシウム137は 710,000tBq、合計6,810,000tBqである。大気放出量はヨウ素131は150,000tBq、セシウム137は12,000tBq(ヨ ウ素換算のために40倍すると480,000tBq)、合計630,000tBqと公表。 炉心にあったヨウ素とセシウムの2%がもれたことになる。これには希ガスのキセノン133は110,000tBq、廃液の海洋放出は含まない。(IAEA への6月政府報告書(Report of Japanese Government to the IAEA Ministerial Conference on Nuclear Safety, "The Accident at TEPCO's Fukushima Nuclear Power Stations")では放出量はヨウ素 131は160,000tBq、セシウム137は15,000tBq、広島原爆のセシウム137は89tBqで168倍)

2011/10ノルウェーなど欧米の研究チームが北米や欧州の核実験探知測定器のセシウムやキセノンのデータをもとに分 析した結果、キセノン133の量は170,000tBq、セシウムの放出量は35,800tBq、このうち19%は日本列島に、2%はその他の大陸に残り は海洋に落ちたと大気物理化学の専門誌に発表 した。(Stohl, A. et al. Atmos. Chem. Phys. Discuss. 11, 28319-28394 (2011)キセノン放出は地震直後から始まり、4号機のプールに注水直後から激減しているため、プール内の核燃料棒が地震で損傷した可能性ありとしてい る。

2012/2/28気象庁気象研究所の青山道夫主任研究員は昨年4−5月に北太平洋79地点の海水の実測値かセシウムの 総量は30,000-40,000tBqであったと発表。

total released iodine131 and caesium137 into atmosphere by Atomic Safety Commission of Japan April 12

その後、総放出量は630,000tBq(17,000,000Ci)と修正。国際評価尺度(INES International Nuclear Event Scale)レベル7の事故と認定。

6月6日に総放出量はチェルノブイリの14.8%の770,000tBq(20,800,000Ci )と修正。ちなみに東電は建屋内に溜まっている汚染水105,100トンの放射線 総量は720,000tBq(19,500,000Ci)と試算。 この約半分は海上に雨となって降り注いだと考えられる。

2012/2/2保安院は総放出量を下方修正し480,000tBqとした。

チェルノブイリのヨウ素131放出量は1,800,000tBqだ。セシウム137のヨウ素換算値 3,400,000tBqを加えれ ば5,200,000tBq (140,500,000Ci)となる。 チェルノブイリでは炉心にあったセシウムの30%、ヨウ素の50%が放出されたとされる。

オーストリア気象当局は事故後3-4日間に放出された放射性物質の量はチェルノブイリ原発事故後10日間の放出量の20-50%に相当するとの試算を発 表。フランスの研究機関はチェルノブイリ原発事故の10%と試算。

チェルノブイリの汚染マップを日本地図にオーバーラップさせると下図のようになる。


Chornobyl overlapped over Japan

color

Ci/km2

min. Bq/m2

min. Bq/cm2

min. mSv/y

light purple

1 to 5

37,000

3.7

3.4

red purple

5 to 15

185,000

18.5

16.9

dark pirple

>15

555,000

55.5

50.6

ここで汚染土壌から人体への吸収量は経口被曝係数を1Bq=0.000013mSv @ 1mm とし、8m2 の地面から1m 離れた人体が1年間被曝する量とした。

大気と水に漏れ出た総放射能量


unit

Chornobyl

vented to atmosphere

contained quantity

water spilled to sea

spilled % to Chornobyl

radiation contained in 3 reactors @ 3/11

tBq

-

-

640,000,000

-

-

radiation contained in 3 reactors @ 4/11

tBq

-

-

72,000,000

-

-

radiation contained in pool 1-3 @ 4/11

tBq

-

-

14,000,000

-

-

radiation contained in pool 4 @ 4/11

tBq

-

-

21,000,000

-

-

iodine

tBq

1,800,000

150,000

6,100,000

-

-

caesium

tBq

3,400,000

480,000

710,000

-

-

caesium+iodine release to atmosphere

tBq

5,200,000

630,000

247,437

27,468

12.6

total radiation released to atmospher

tBq

11,000,000

?

-

-

-

soil radiation evacuation limit

Bq/sq.m

555,000 (15Ci/sq.km)

?

-

-

-

soil radiation of Iidate Village

Bq/sq.m

-

3,260,000

-

-

-

Namie village radiation @ March 22

microSv/h

-

90

-

-

-

Namie village radiation @ March 22

microSv/h

-

45

-

-

-

Time to evacuation limit of 50mSv/y

days

-

31

-

-

-

total radiation to environment

6月7日には汚染水総量は105,100ton。

漏出水の総放射能

2号機の トーラスのべローズが破損したとすれば原子炉建屋の地下は水没しているはずである。この水がケーブルダクト経由タービン室地下に流れ込み、更に配管ピット から 海水スクリーン向け電源ケーブルピットに流れたと推定すると注入量と見つかった溜り水の量と一致する。 タービン建屋の溜り水とケーブルピットに溜まっている総放射能は4月には246,437tBqだったが、6月中旬の回収プラントが動き出す直前には 720,000tBq(チェルノブイリの13.8%)となった。

このうち、ケーブルピット経由海に流れ出た量は3月27日の2号機のタービン建屋の溜り水発見以来10日間で27,468tBqになる。

4/21の東電発表はかなり過少評価で流出量は520ton、放射能は4,700tBq(兆ベクレル) 、低濃度汚染水の放出量は13,930tonとしている。放射能は150GBqとしている。

2012年になり最終的に海に流出した量は10京ベクレル(100,000tBq)とされている。

Unit No.

unit

1

2

3

4

5 & 6

waste treating

contained radiation

discharged radiation

Chornobyl

iodine in reactor from NRC data @3/11

tBq

1,344,000

2,378,000

2,378,000

0

0

-

6,100,000

-

-

caesium in reactor from NRC data @3/11

tBq

162,000

274,000

274,000

0

0

-

710,000

-

-

iodine+caesium in reactor @3/11

tBq

1,506,000

2,652,000

2,652,000

0

0

-

6,810,000

-

-

contained water in reactor basement

ton

3,806

4,503

4,503

4,503

-

-

-

-

-

contained water in turbine room

ton

4,000

4,000

4,000

0

-

-

-

-

-

contained water in pit

ton

3,100

6,000

4,200

-

-

-

-

-

-

contained water

ton

10,906

14,503

12,703

-

-

-

-

-

-

radiation concentration

MBq/cc

0.41

16.35

0.46

-

-

-

-

-

-

total contained radiation

tBq

4,472

237,123

5,843

-

-

-

247,437

-

-

leakage rate

ton/h

-

7

-

-

-

-

-

-

-

leakage duration from March 27

days

-

10

-

-

-

-

-

-

-

total radiation of leakage

tBq

-

27,468

-

-

-

-

-

-

-

planned discharge to sea

ton

-

-

-

-

1,323

9,070

-

-

-

radiation concentration

Bq/cc

-

-

-

-

1.5to20

13.0

-

-

-

total radiation discharged to sea

tBq

0

27,468

0

0

0.03

0.12

0

27,468

5,200,000

fouled water

2011/12/6に至り、東電は廃水蒸発システムからストロンチウムを含む廃水150リットル(0.026tBq)海に流出したという。

汚染水の海洋拡散

文部科学省と海洋研究開発機構は、福島第一原発の汚染水の周辺海域への拡散予測速報を公表した。しかしこのシミュレーションの前提が問題を秘匿するのが目 的であったらしく、何の意味も無く、実測にも一致しないものでかえって疑惑を生む結果となっている。保安院と同じ穴の狢である。海洋研究開発機構が二酸化 炭素温暖化犯人説の中心的研究機関だからそういうことになるのかどうか?

原研の実験では6tBqの海水を東海村沖100kmで海中に放出したばあい、北米大陸に達するまで5-6年かかるという結果がでたという。無誤謬神話が瀰 漫し原発推進を国是としている国の国立研究所ではこの程度の実験しかできないということだ。安全保安院の某審議官が口先でいった拡散してなくなってしまう というのは全く根拠がない。

冷却水放水口では規制値の4,000倍以上の濃度のヨウ素とセシウムが検出されている。

海洋にでた放射能は10京ベクレル(100,000tBq)とされる。福島第一の海水取り入れ口の海底には 4,720Bq/kgのセシウムが沈殿している。この汚染物質は沿岸流にそって南下し2011年暮れに常陸中市沖、銚子沖でホットスポットを作っている。 福島第一沖のヒラメからも4,500Bq/kgのセシウムを検出。これは海底のヘドロに304Bq/kgあるとゴカイに130Bq/kg蓄積し、ヒラメに 濃縮して316Bq/kgとなる。群馬県の赤城大沼の湖底は950Bq/kgでワカサギは380Bq/kgでワカサギ釣りは不可能となった。チェルノブイ リの実績では閉鎖水域では循環するため10年経過しても減らないという。問題は東京湾で関東平野の放射能を集めて流れる江戸川の河口のヘドロに 873Bq/kg蓄積している。河口から8km上流では1,623Bq/kgとなってピークを示す。塩分の電解質で凝集沈殿するためと考えられる。今後2 年で東京湾全域に拡散するだろうという。したがって東京湾の魚も次第に汚染されるようになる。

地下水汚染

地下水中の汚染は増えつつある。2012年4月14日の1号機のヨウ素400Bq/cc、2号機のヨウ素610Bq/ccである。

地下水に漏れ出てしまったものが汚染排水と同量、即ちチェルノブイリの5%相当と考えたほうがよい。これを閉じ込めのための地下遮蔽壁の構築と汚染物質の 水巡回による除染も10年くらいかけておこなわなければいけない。

2013年6月19日、東電は福島第一の2号機海側の海から27mの井戸水からストロンチウム1000Bq/liter (放流基準の30倍)、トリチウム500,000Bq/liter(8倍)が検出されたと公表。

2013年7月28日、東電は福島第一の2号機海側坑道にたまった水からトリチウム 8,600,000Bq/liter、セシウム2.35tBq/liter検出されたと公表。

2014年10月25日、2号機脇のサブドレンから汲み上げた地下水から400,000Bq/literが検出されたと 公表。

この汚染水の海洋への流出防止については福島原発メルトダ ウンに記載している。

トリチウムの害

ロングアイランドのBNLすなわちブルクウヘヴン・ナショナル・ラボの南西に隣接するシャーリー(Shirley)という住宅地で22名の子供に悪性の筋 肉のガン(横紋筋肉腫)Rhabdomyosarvomaが集団発生した。このガンはふつう400万人に1人しかか からない珍しい病気。ところが、シャーリーでは1つの街区に2人の割合で発生した。住んでいる世帯のすべてにガンその他の病人がいるので「死刑 囚監房」とあだ名が付いているという。これは古い実験用原子炉3基(1969年運転停止した黒鉛炉、1965-1999稼働しリボゾームを発見した高ラッ クス実験炉、1959-2000稼働の医療用実験炉)から漏れたトリチウムを含む廃水が地下水を汚染し、井戸水をつかっていた家庭でトリチウムが子供にと りこまれて発症したものだと疑われている。原子炉は廃炉にされた。トリチウムはβ崩壊で放射線の透過力はガンマ線ほどではないが体内でDNAに もとりこまれ、がん発症にいたるようだ。セシウムは筋肉に蓄積するとは知っていたがトリチウムの害が初めて聞いた。これは福島トリチウムを放流してよいか どうかにも影響を与えるのではないか?

ケリー・マクマスターズが自分の街で起こっていることを『ようこそシャーリーへ:原子力の町の思い出』(Welcome to Shirley: A Memoir from an Atomic Town 2008)に書いて一般に知られるようになった。BNLの申し開きはFacts Regarding Claims in 'Shirley' Memoir and 'Atomic States' Film

発電所内高濃度汚染表土、瓦礫

Csはイオンとして解離する状態ではなく、固溶体として珪酸質や岩石質の表面に吸着している。

台風がくると敷地内地表や建物を汚染している物質が周辺に拡散するため、クリーンアップしなければならない。なにもしな いと居住不能の面積が増える。政府は補償額の上限は5兆円だとしているが、もし長期間居住できない面積が増えれば8兆円くらい更に必要にな る。そして放射性物質は化学反応で無害化できない元素だから多量にでる吸着剤、汚染瓦礫、残土をどこに収容するかも政治問題化するだろう。解決法は炉内燃 料も含め、すべて福島原発内ということしかないと思うが。どうだろうか?

各地の放射線強度

30km圏の外にある飯館村の土壌からは136セシウム163,000Bq/kgが検出されている。これは3,260,000Bq/m2相 当。チェルノブイリでは550,000Bq/m2の地域は強制移住対象となったと朝日が報道。文献によればチェルノブイリでは 15Ci/km2が強制移住対象であった。1Ci=3.7x1010Bqだからこれは15x3.7x1010/106=555,000Bq/m2(55.5Bq/m2) となり一致する。政府は知らぬ顔を決め込んでいたが、31日になり、IAEAが飯館村は避難地域に該当と発表。補償費用の増加を止めたい役人根性丸出しで ある。いつもの パターン。結局負けるのが明らかなのに抵抗したがる。

朝日新聞によれば福島市でもこの数日高い数値を記録していて6.38-5.9μSv/h(年間被 曝量は365x24x5.9/1,000=52mSv)、飯館村は15.1-13.6μSv/h である。もっと原発に近い浪江村では90-45μSv/hである。このままなら1月で退避規準に 達する。

飯館も福島市も屋内退避指令である30km圏外だ。これで米国が出した80km圏内退避の意味がわかった。

放射線強度マップ

日本の気象庁と原子力安全委員会は長らく公表を拒んできたが4月5日にIAEAに提出していた風向拡散図を発表した。ウィーンにあるオーストリア気象学・地学中央研究所(1851年創立)もよく似た拡散情報を提供している。

http://www.zamg.ac.at/pict/aktuell/20110326_fuku_I-131.gif

フランス放射線防護原子力安全研究所の放射能拡散Simulationが 累積効果が一番良く出来ている。

米軍基地から飛びたった無人偵察機グローバル・ホークが高度18kmからコンプトンカメラ?で放射線量を計り作図した汚 染地図をDOEが公表し ている。黄色の地域内に1年居住すると15Ci/km2(555,000Bq/m2)の汚染、または50mSv以上の被曝をする 地域で面積は800km2。これは地表の測定と一致する。日本政府は20kmの半円を描いて内部だけ強制疎開させたが、外は検討中 として方針を出さなかった。以上のデータをみると20km圏外で最初の数週間に強 い放射性ヨウ素を体内に取り込んだ若年層に甲状腺ガンなどのリスクを残した可能性がある。この分布は3月15日6:10の2号機のサプレッションチャン バー付近での爆発音と3月15日9:39、4号機4階のプール 室で第1回の火災と3月16日5:45、4号 機4階のプール室での2回目の火災のとき放出された多量の放射性物質が南東の風に吹かれて福島市方向に流れているときに降雨があって大気中の放射性物質が 地表に下りたためと理解できる。46.3km地点まで11.9μSv/hとなっている。降雨時のプ リュームの形が地表に焼き付けられた形で残ったのだ。

DOEより遅れて3月23日、4月5日、原子力安全委員会より発表されたSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)によ る放射性物質放出予測。 これは初期のころ公表されず、もっとも大切な時期に住民避難の役立つことはなかった。150億円の開発費は全く無駄であった。これを公表しなかった政権の 責任は重大である。事故後3ヶ月経過するも汚染マップも作成せず。政府の怠慢は目に余った。

福島大の放射線測定チームが3月25日-31日にかけて車で370地点の地表1m地点の測定を行い分布図を作成した。し かし一番よくできていたのは群馬大の火山学者早川由紀夫教授作成の汚染マップである。それ ぞれのプルームが何日の風に乗って移動したかが詳細に考察されている。ぜひ教授のブログをみていただきたい。

10月6日になりようやく文部省が航空機モニタリングの結果を公表した。下は最新図だ。気流が日本アルプスなどの山脈にさえぎられて降雨となり、山岳地帯 を汚染させたことがわかる。黄色と赤色はチェルノブイリの 強制疎開地域に相当する汚染度555kBq/m2だ。面積にして福島県の8%。最高濃度は大熊町の30,000kBq/m2。最新のマップ



文部科学省放射線量等分布マップ拡大サイト/電子国土より


トモダチ作戦参加のドナルド・レーガン乗り組み員の被ばく

東日本大震災当時、米国海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」に乗船していた兵士は約5000人。韓国に向けて走行していたが、震災が 起きたため、東北地方沿岸10マイルの海域で被災者の捜索や救援物資の輸送などのために、「ロナルド・レーガン」が1月12日に三陸沖に到着。当時の拡散 動画をみればわかるように冬特有の大陸から吹き出す風の川下に停泊して救助ヘリの基地として使われた。事故で放出された放射能プルームの直下で、約5時 間、通常の軍服のまま線量計もつけず除染のための甲板作業をしたほか、半年間換気口近傍にあったベッドに寝ていたヘリ整備士ら2名はすでに死亡している。 飲料水は海水を処理していたため内部被ばくも考えられる。妊娠していた女性からは多発性遺伝子異変を持った子供が生まれている。代表的な病は骨肉腫、白血 病、甲状腺障害によるバセドウ氏病、脳腫瘍、精巣腫瘍、潰瘍などである。

これが夏の事故だったら風向は陸に向かって吹くため再稼働なんて話題にもならない事故となったことは明白。浜岡で事故が発生すれば偏西風にのって最大人口 を擁する関東地区が汚染される。

皮肉にも「ロナルド・レーガン」が横須賀母校で事故を起こせば、鎌倉は廃墟となるということは明白。資産価値はゼロとなる。

アメリカ海軍の兵士ら239人が東京電力福島第一原子力発電所事故による被ばくが原因で、健康被害を受けているとして、東京電力、GE、エバスコを訴えて いる裁判で、カリフォルニア州サンディエゴの連邦地裁は2014年10月28日、訴えを退けるよう求めた東電の主張を認めず、米国での訴訟を継続する判断 を示した。

 私はGEのBWRは脆弱性があり欠陥商品だと指摘する本「原発敗戦」 まで書いたわけで、米兵がGEとエバスコを訴えてくれたのはようやく正義が行われると内心拍手している。エバスコはGEが米国の電力事業の覇権を握るため の持ち株会社だったがが、その後はエンジニアリング会社となり、福島も無論エバスコが設計したものだ。我々が発電向けLPG気化器を東電に納入する場合も エバスコの仕様に統一しなければならなかった思い出がある企業だ。その後、米国防産業のレイセオンに買収され、いまはその子会United Engineers and Constructorsの一部門になっている

帰還困難区域の帰還困難者総数

2012/4の年間積算放射線量50mSv以上の地域は帰還困難区域に指定された該当者は総数は22,000人。1年前の警戒区域の住民総数は 78,000人。

各地の放射線強度の経緯

福島原発正門での3月15日8:31の放射線強度は8.217mSv/hであった。これは8:40には2.4mSv/hに下がった。この日の正門の最高値 は11.9mSv/h。

3月15日、3号機の水素爆発後のプラント敷地内への落下物の放射線は10:22の2-3号の間では30mSv/h、3号の山側では400mSv/h(白 血球減少させる強度)、4号の山側では100mSv/hが測定された。

3月15日、東京都日野市南平2丁目石川宏氏宅、木造2Fの窓辺に設置した 米国のBlack Cat Systems社のGM-10a, b, g線測定ガイガーカウンターである。(設置場所:北緯:35°39' 28.08", 東経:139°24'05.40"(世界測地系), 標高:101m)瞬間だが、12:30頃、90CPMのピークを示している。120CPM=1μSv/h であるから、これは0.75μSv/h に相当する。このレベルが年間ずっと継続すれば6.6mSvとなる。法的には年間5mSVは報告義務がある。東海村では年間5mSV以上と報告があったよ うだ。これはセシウムや131ヨウ素が見つかっているというのでこれにトリチウム、85クリプトンなどの放射性ガスが混ざったものが風に乗って運ばれてき たものだろう。2号 機のサプレッションチャンバー爆発音時に放出されたガスとすれば日野に到達するまでに6.3時間かかっている。距離は280kmであるから。移動速度は 12.3m/sとなる。当時北風だった。風速としてはちと早いが2号のサプレッションチャンバー破損に伴うガスが原因といっても良いのではないか?

16日の10:40に正門で10mSv/hを記録した。これは2号機格納容器サプレッションチャンバーからの漏れによるものと東電は考えている。16日、 日野市では2:41-11:43にかけてゆるやかなピークが記録された。最高は55CPM(0.55μSV/h)。 4号 機4階のプール室での2回目の火災によるものと思われる。

16日、福島県内北西25kmの飯館村で80μSv/hが瞬間記録された。このレベルに 12.5hさらされれば、一般人の許容値1mSvとなる。

16日8:00、福島市水道水からヨウ素177Bq/kg、セリウム58 Bq/kgが検出されるが午後2:00にはゼロになった。飲食物摂取制限値はヨウ素300Bq/kg、セリウム200Bq/kg。17日、18日もヨウ素 170Bq/kgが時々検出されている。

16日、2号建屋から出始めた湯気は格納容器からのベントか、燃料プールからの湯気かが気になる。

17日、福島県内北西30kmの地点で0.17mSv/hが瞬間記録された。このレベルに5.9hさらされれば、一般人の一年の許容値1mSvとなる。実 際には1時間程度だから良いがこれが何度も来るようでは問題だ。18日13:30には北西30kmで0.15mSv/hが記録された。

4月4日、茨城沖からこうなごから4,000Bq/kgのヨウ素が検出された。厚生省の安全規準なし。 検査もなし。従って茨城の漁船は千葉の銚子港で水揚げを拒否された。これも政府が無誤謬ドグマで準備していなかった結果である。風評被害は政府が作り出し たものである。

放射線量データ秘匿または不在

朝日新聞によれば福島市でもこの数日高い数値を記録していて6.38-5.9μSv/h(年間被 曝量は365x24x5.9/1,000=52mSv)、飯館村は15.1-13.6μSv/h である。10μSv/hに下がるとしてもコンクリート屋内退避または避難基準である 50mSn/yには208日で達する数値である。文部省が全国の 放射能濃度一覧を公開したが、肝心の福島市や飯館村の記録は表示されていない。無論福島県庁のHPには数表が掲載されてい る。政府もNHKもパニックを恐れてなのか、飯館村の数値を消したものをニュースにつかっている。朝日新聞はさすが立派でそのうような作為はしていない。

原発周辺には電源を使わない放射線測定器を設置することが義務つけられており、事故後からの積算放射線量が分かるはずだが公表されていない。また緊急停止 まえの燃焼度データも公表されていない。

しかし政府は小田原評定を繰り返し自主的避難とした。不都合情報秘匿体質国のため市民の不審は拡大し、カオス的自主避難となっている。もう原子力新設は日 本では終わったと思わざるをえない。無論 、既設原発は代替電源が用意できるまで使い切るしかない。ようやく斑目(でたらめ)原子力委員長が秘匿して きた39km圏外を含む12日から24日までの累積被曝予想をしぶしぶ公表した。原子力委員会はほとんど機能していない。

原発周辺には電源を使わない放射線測定器を設置することが義務つけられており、事故後からの積算放射線量が分かるはずだが公表されていない。また緊急停止 まえの燃焼度データも公表されていない。

飲料水や野菜の放射線量が全ての食品に対して行われてはいないのは秘匿していると思っていたが存在しないのだと分かった。いままで無誤謬ドグマできたため なんらの準備ができていなかったからだ。

福島市出身の友人家族が市を脱出するという30km圏外だから自主退避だが、これは天災ではなく人災だから後日、集団損害賠償訴訟の対象にできるのではな いか?

4月に入って保安院は東電にストロンチウムの分析値は公表するなと指示したと報道されている。これはストロンチウムは化学的に分離してからベータ線を計測 するなど分析に1週間もかかる。半導体検出器やシンチレーション・カウンターなどスペクトル測定ができるものでないとむすかしい。簡単なガンマ線測定器で は検出できないことをいいことに、頬かむりする作戦と見受けた。このような態度では風評被害は収まらないだろう。

水戸の空間線量計だけ数値が高いことが不思議であったが、これは測定器が地上3.5mのところに設置されているのに対し、他の都市の線量計の多くは地上 20mの屋上に設置されているためという。水戸が最も頼りになり他の都市のデータは過少表示ということになる。

鎌倉でも5月に入った広町緑地は沼地の地表10cmで0.2μSv/h(1.8mSv/y)であ る。

横須賀の空間線量率の推移

鎌倉に近い横 須賀市西逸見局の空間線量率(ナノ・グレイ/時)は4月12日現在下図のとおりである。 次第に0.05μSv/hに漸近している。半減期8日のヨードが31日経て6%まで減少したとい うわけ残るはセシウムということだ。これが半分になるのにこれから30年かかるということであろう。 ヨードやセシウムはガンマ線を出すから、放射線荷重係数=1で1Gy=1Svである。n=μ/1000 である。

Radiation in Yokosuka Naval base

3月15日のピークはの2号機のベントと引き継いで起こったサプレッションチャンバー付近での爆発ならびに損傷部からの漏れにより放出されたものが風で飛 んできたものと考えられる。この日の午前中、風は南西、午後は北西に吹いた。

3月21-22日のピークは北風が吹いた時期に運ばれ、雨が放射性物質を地上にもたらしたものであろう。雨が止んでも高止まりしているのは雨で地表にはこ ぼれた放射能が地表や建物に付着してそこからガンマ線を放出しつづけていると解釈できる。18日間の平均が75nGy/h=0.075μSv/hである。どのくらいで減衰が止まるのだろうか?137セシウムの半減期は30年だから 50nGy/hくらいか。年間被曝量は0.05x24x365/1,000=0.4mSvとなり、許容量の範囲内である。

国立国立環境研のサイトでビデオが見ら れる。

3月30日の小さなピークは北風によるものと思われる。全体の減少傾向にあるのはヨウ素の半減期によるものであろう。

4月9日の小さなステップ状の揺らぎは雨でヨウ素が洗い流されたためと考えられる。

各地の放射線強度と風向を同時表示してくれるRmpViewと いう便利なソフトがある。Windowsの方はダウンロードして使ってみてください。

しかし女性のシステムエンジニアHaiyan Zhangが作成したJapan Geigermapはグーグル地図上に表示してくれるので最も優れている。グーグル航空写真は事故後の空撮にアップデートされている。

鎌倉における汚染

鎌倉市内で通常の100倍の放射線がでるところがある。森永先生に問い合わせると、ヨードはイオンのため水に可溶だから大谷石から漏れ出る雨水が乾けば 100倍濃縮するので間違いではない。でもそのホットスポットに体を押し付けて一生暮らすわけではないので問題ないだろう。ただ子供達がそこにキスした り、なめたりするようならヤバイということであった。

我が家の裏にある広大な広町緑地のセリ田んぼや湿地帯で放射線強度が10倍濃縮されていた。もうヨウ素は消えて、セシウムのは ず。これも子供達がそこで泥んこ遊びをせず、セリやクレッソンの採取を我慢すればOKだが、これは何十年と継続するわけなので死ぬまで食に適さなくなるの かと愕然。鎌倉市議に相談受けたが、この汚染土壌を東電に引き取らせるのは大事だし、結局、電力料金に跳ね返る。それより、鎌倉の汚染マップをつくっ て住民や学校に配布すること、食品の定期的検査、とくに今後1年いないは魚介類のストロンチウム検査を金がかかってもしたらよいとアドバイスした。それか ら原子力空母対策として自治会毎に1台の線量計を配布し、横須賀や浜岡の事故時に自発的に逃げる指針にすることだ。

7 月末の鎌倉市のセシウム137は水道水10Bq/kg以下、焼却灰は400-900Bq/kg程度、下水汚泥200Bq/kg、公園の30Bq/kg、海 水3Bq/kg、庭木剪定材のコンポストの放射能汚染度は10Bq/kg以下。Cs137が確認されれば、Sr90も必ず存在するはずであるがデータな し。

森永先生は80万円もするガンマ線スペクトルを計測する機器を自腹で買って、一時は自衛隊に貸していたが、東大時代の助手でいま茨城の大学の先生をしてい る人に貸与し、学生にハザードマップを作らせたらとアドバイスしてからドイツにでかけた。

線量計の設置位置

水戸だけいつも線量が多かったが、これは地表近くに設置してあり他の地点はビル屋上などの線量は低いところに設置してあるためと判明。過少データを見せら れていた可能性がある。

下水処理設備の汚泥焼却灰・生ゴミ焼却灰への濃縮

全国の地方自治体が運用する下水道微生物処理設備の活性汚泥の焼却灰に放射性物質が濃縮し440,000 -13,200Bq/kgとなる。殆どはセシウムと考えられる。その総量は220万トン、総放射能は968tBqとなり安全委員会公表の大気への放出量770,000tBq の0.13%に達する。

政府方針:

>100,000Bq/kg:コンクリート製保管容器

100,000Bq/kg>8,000Bq/kg:管理埋め立て

8,000Bq/kg>:一般埋め立て

6月に入り、生ゴミ焼却灰に28,000Bq/kg濃縮されているのがみつかった。どうするか未定。


12月に入り環境省は管理埋め立て法としてコンクリートで固めて東京湾の埋め立て地にダンプしてよいという見解を示した。コンクリートは多孔性で海 水に洗われてセシウムが流出する。これが魚に吸収され食物連鎖で内部被ばくを起こさないという保証はない。東京湾の漁業は風評被害で壊滅的打撃をうけるだ ろう。

神奈川県知事が汚染灰の受け入れを表明したが横須賀市の住民が住民に相談なく持ち込みことに反対し黒岩知事は立ち往生。

八木沢ダムの放流

マスコミは報道していないが、セシウムホットスポットの山々に囲まれた八木沢ダムの底にはセシウムがたまっており、季節の変わり目の4月中旬には “サーモクライン(水温跳層)”と呼ばれる壁のような層が消えると表層と深層の水の循環交流が生じ、湖水のロールオーバーが生じて、汚染水が表層にでてく る。これを利根川に放流すると 汚染が拡大する。例年なら雪解けでダムが満水になれば多量放水するのに2012年5月には定量放水している。満水率が104%になってもこらえている。こ れは利根川の水が飲料に適さないようになるのを避けるためと推定される。たまたま、2012年5月15日に春日部でホルムアルデヒドが検出されたのち、取 水制限が始まり、25日にDOWAハイテックがヘキサメチレンテトラミンを含む廃液処理を産廃業者に依頼、それが烏川に流出したことが判明。この時がチャ ンスと汚染水を19-21日にかけて多量 に放流したという。公式にはホルムアルデヒド希釈のためとされているが本音はセシウムを東京湾に流しさるため。これは好意的な解釈で、金属加工メーカー DOWAハイテック会長Yは内閣参与で経団連理事、東電の経営・財務調査委員だという。

腐葉土の汚染

東北地方産の腐葉土は国の基準を超える濃度に汚染されている。

建材の汚染

2012/1汚染された骨材をつかった新築ビルが数μSv/hの放射能をもつことが発見され、入居者が退去しなければならない事態になった。

原子力村住民の言い分

自然放射線は2.4mSv/y(0.27μSv/h)、医療被曝を加え、5mSv/y(0.57μSv/h)が平均値である。ブラジル・ガラパリ市街地の自然放射線は平均5.5mSv/y、最高 35mSv/yであ る。イランのラムサールでは平均10.2mSv/y、最高260mSv/y。インドのCoimbatore City, Tamilnaduでは居住環境内で30μSv/h(276mSv/y)のところがある。ただこ ういうところの人口は多くなく、正確な寿命の統計は なく放射線の影響は不明をいいことに原子力村はこれを認識操作の道具にしている。また航空機1回200μSv (0.2mSv)、 X線集団検診は600μSv(0.6mSv)、CTスキャン1回は6,900μSv(6.9mSv)も補強材料となる。こうして原子力 村は放射能は危険ではない。低強度ならむしろ健康によいと いうホルミシス仮説を喧伝する。

原子力村住民の言い分の検証

航空機1回200μSvが原子力村の言う通りか2013/6/17成田からロンドン便でホリバのRadiで実測してみた。


●離陸前  0.06μSv/h
●離陸して10分くらいか、まだ上昇中のとき  0.01μSv/hと地表の影響が減って一時下がる
●高度1万m  0.2μSv/h
●高度1.3万m 0.3μSv/h(3.6μSv)

かっこ内は飛行時間時間12hとしての1飛行当たりの被ばく量である。

群馬大の早川由紀夫も成田/ホノルル間高度12kmで4種の計測器で測定した。

●クリアパルス:0.4μSv/h

●ホリバRadi:0.2μSv/h

●ガイガー:1-2μSv/h

どこにでも出てくる放射線被ばく量として東京/NY往復すれば200μSv被ばくするとあります。ホリバRadiの測定値の0.3μSv/hと同じ とすると24時間で7.2μSvにしかならない。ガイガーカウンター表示でも24-48μSvだ。

ちなみに同じシンチメーターで横浜市緑区の家屋内で0.05-0.07μSv/h、英国サレーの二階家屋内0.07-0.08μSv/h、七里ヶ浜家屋内0.0038μSv/hである。

歯の治療用のX線検査時どのくらいあびるのか測定してみると0.12μSv/h

事故から3年経過した2014年9月、原発近くの立ち入り禁止区でホリバのRadiのスイッチをいれると最大10μSv/hを振り切って測定不能と いう。

放射線外部被曝基準について

急性放射線障害は1,000mSv。1013個の体細胞が全てガンマ線で傷つく外部放射線の量である。自然放射能 2mSv/hでは1個の細胞は年に1回ガンマ線が貫通してこれを傷つける。しかし12時間で傷の修復をする。死亡率50%は4,000mSv、死亡率 100%は7,000mSvである。ちなみにチェルノブイリ事故処理作業員の被曝量は平均100mSv、高線量汚染地住民は50mSv、強制避難した 30km圏内住民は33mSvと推定されている。

法律では一般人の被曝許容量は1mSv/yであった が国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を受け入れて、原発作業者の被曝許容量は50mSv/y、非常時作業は100mSv/yとした。更に厚生省は今 回の事故処理の労働者のために250mSv/yに上げた。屋内退避基準は10-50mSv/y、コンクリート屋内退避または避難基準は50mSv/y以 上。5μSv/h(44mSv/y)が報告義務、10μSv/h (88mSv/y)は避難レベル。

国際放射線防護委員会(ICRP)は非常時には原発周辺に住む一般の人々の年間被曝限度量を100-20mSv/yとした。日本政府は最低値をとっ て20mSv/yとした。しかし 内閣官房参与に任命されていた小佐古敏荘東大教授は学校の校庭の汚染度規準として20mSv/yとしたのは行きすぎであり、SPEEDIの結果公表を遅ら せたことに抗議し辞任した。国際的にもこの学校規準は非難されている。ICRPは100mSvで癌になるリスクは5%上昇するとしている。これを越える地 域では長期的な転居が必要となるだろう。

長期避難の規準としてはチェルノブイリの規準

Ci/km2

min. Bq/m2

min. Bq/cm2

min. mSv/y

>15

555,000

55.5

50.6

即ち50mSv/yである。福島にもこれが適用されるのだろう。

世界の避難基準

日本は緊急的な避難基準は円弧で描いたもので汚染程度は無視している。長期にわたる規制は未決定である。諸外国は明確に 汚染程度の基準を決めている。チェルノブイリは

チェ ルノブイリ Ci/km2 Bq/m2 mSv/y microSv/h
強制避難区域 直ちに強制避難、立ち入り禁止 40.0 1,480,000 134.9 15.40
一時移住区域 義務的移住区域 15.0 555,000 50.6 5.78
希望移住区域 移住の権利が認められる 5.0 185,000 16.9 1.93
放射線管理区域(15,000,000人居住) 1.0 37,000 3.4 0.39
ヨーロッパ(4億人居住) 0.1 4,070 0.4 0.04

内閣府の食品安全委員会の山添康東北大教授らが安全基準として自然放射能を除く人工的で追加的な放射線の生涯の累積被ばく量を100mSvにするという基 準からみれば80才生きるためには1.25mSv/y(0.14microSv/h)以下でなければならないということになり、チェルノブイリ事故のとき のウクライナなどの住民の住環境と同じレベルになる。後述のヤブロコフ・ネステレンコ報告によればこのレベルで212,000名の犠牲者を出している。その原因は内部被ばくが原 因と推定される。

望月氏がドイツ放射線保護庁(BfS)から取り寄せたSAFETY CODES AND GUIDESによると避難ガイドラインは

ド イツ放射線保護庁の規則 mSv/y microSv/h
避難:100 mSv/7 days 5,214 595.2
長期的な移住:100 mSv/year 100 11.4
短期的な移住:30 mSv/month 360 41.1

このガイドラインは595.2 microSv/hなら7日以上そこにとどまるな、11.4 microSv/hなら1年以上そこにとどまるな、41.1 microSv/hなら1ヶ月以上そこにとどまるなと解釈できる。

同ガイドラインはIn Germany the effective lifetime dose is around 70year x 2.4 mSv/y(0.27microSv/h) =170 mSv, with a fluctuation range between about 100 mSv and 400 mSv, i.e. a fluctuation range of about 300 mSv.としている。これは自然放射線も含めた数値と思われる。

これに対し 日本政府内閣府の食品安全委員会の山添康東北大教授らが安全基準として自然放射能を除く人工的な放射線の生涯の累積被ばく量を100mSv以下にな るように暫定値を下げるとしている。80才生きるためには1.25mSv/y(0.14microSv/h)となり、ドイツと大きな差はないことになる。

ドイツ政府の見積もりでは人口密度がチェルノブイリの立地するウクライナの7〜10倍のドイツでは人的被害は甚大で、ドイツ連邦経済省の委託研究などによ る推定では、ガン死亡者の数を170万人〜1200万人と見積もっていると望月氏は指摘する。ましてやドイツと日本の人口密度比は日/独=1.5である。

日本の避難新基準

12月になってようやく決まった2012年3月からの新避難基準は年間50mSv以上は帰還困難区域とし不動産の買い取りなどを検討する。 20mSv以上は居住制限区域。20mSv未満の「準備区域」は住民の帰宅に備える地域。年間100mSv以上の買い上げ地に30年を限度とする 1,500-2800万m3の中間貯蔵設備を建設する。

チェルノブイリでは強制避難は135mSv/h、一時的避難は51mSv/y、ドイツも長期的な移住は100mSv/y。森永先生も日本の基準は 厳しすぎて住民がかわいそうだと言っている。 小佐古敏荘東大教授の抗議辞任は強制移住基準ではなく、除染基準の20mSv/yであったのだが、一般にはそう受け取られていない。

国際放射線防護委員会(ICRP)

化学結合のエネルギーは10eV以下だが、セシウム137の出すガンマ線は662keVの 電磁波で貫通力が高く、外部被ばくの原因となる。化学結合の66,200倍のエネルギーで我々の細胞を構成する分子を壊し、2次電子を放出し、低レベルで も我々の体を消耗させる。貫通力が高いということは破壊力が分散して作用するため回復の可能性を意味する。4,200keVのアルファ線やベータ線は貫通 力は低いため、内部被ばくしか意味はない。しかし局部的に強く作用し、周りを破壊しつくす。

米国が中が心となって策定した国際放射線防護委員会(ICRP International Commission on Radiological Protection)の視点は米国が保有する原爆の被害を極小化するために存在するといってもよい組織だ。WHOと巻き込んで放射線被害を少なくみせよ うというインセンティブが強く働いている。したがってガンマ線主体の外部被曝で、理論的よりどころはガンになる確率は「直線しきい値なしモデル」 (LNT  Linear no-threshold) という仮説である。LNTモデルは1946年アメリカの遺伝学者ハーマン・J・ミラー(ノーベル生理学賞)のショウジョウバエの研究が理論的主柱。

ICRPの基準は主として広島・長崎の原爆被爆者が爆発時火球から直接うけた外部放射線とガン発生率を他の地域と疫学的に比較した結果、100mSv以上 では比例関係にあるという知見から推定されたものである。100mSv以下ではこの差は明らかではないが、直線関係にあると推定するのが妥当という判断で ある。この研究を行ったのは日米共同研究機関である(財)放射線影響研究所である。

1945年9月、アメリカ陸軍・アメリカ海軍の軍医団が、旧陸軍病院宇品分院に収容された被爆者から陸軍医務局、東京帝国大学医学部の協力で、都築正男博 士、Dr. Oughterson、Dr.Warrenによる日米合同調査団(後1946年、Atomic Bomb Casualty Commission、ABCCになる。ABCCは現在はDOEに引き継がれている)を編成、約1年間の被爆調査が行われた。爆心からの距離と死亡率の相 関は爆発時の直接の放射線の影響とされ、軍事機密指定のTentative 57 Dose(T57D)、T65Dとなった。爆心を中心にして半径2km以内の一次放射線による被ばく量は100mSv以上となるというものだ。その後行わ れた核実験により放射線は中性子線よりガンマ線が主役と確認された。1986年に改訂されDS86 2002年に改訂されたDS02と少しづつ改訂されて いる。爆心地からの距離、屋根や壁などの遮蔽物の状況を考慮して算出する。

マッカーサー付米軍医のオーターソン大佐の残留放射能の害の可能性に関する疑問に応えるべく、爆発4日後に爆心地に調査のために入った東大医学部の都築正 男教授は残留放射線の被害者(入市被ばく)である門田医学生を探し出し、彼に日誌をつけることを薦め、これを英訳して米軍に渡した。この日記は残留放射能 による被ばくの証拠となった。しかし米軍はこの証拠を秘密(60年後情報開示法により公開となる)にし、残留放射能はないという虚偽の公表を行った。広島 の西北にある山ひとつこえた湯来町は黒い雨がもたらした残留放射能の被害者であるが、国は米軍見解を根拠に半径3.5km以内の直接放射線を浴びた人しか 原爆症認定をしていない。黒い雨がもたらした放射線や内部被ばくは考慮しない。これは日本の学者の不勉強と権力に媚びる姿の反映である。これがICRPの 根拠となっている。ここでの収集資料の解析に日本の研究者の参加は認められず、全調査資料が米国に送られ、アメリカ陸軍病理学研究所に保管されたと聞く。

ABCCの研究者だったローウェル・ウッドベリー博士が黒い雨による残留放射能被ばくを問題にしてもっと研究しなければと報告書を書いたが、米国に呼び出 されて会 議に出席後、静かに辞表をだしてABCCを去った。ちょうどビキニ環礁での実験で第五福竜丸の被ばくもあり、安保改定期でもあり、米国はこれを冷戦に利用 されることを恐れたためだという。

日本政府はABCCに準拠し、爆発時の一次放射線を浴びた人のみを原爆症と認定された。その外にいた人は黒い雨の残留放射能で100mSv以上浴びたらし いのだが、その後の台風で洗い流され測定値は永久に失われた。そのような人は一生体の不調を訴え、ガン出なくなった人も多いが、原爆の影響のない集団との 比較研究が行われなかった。このため一次放射線の100mSv以外の影響はいまだ不明である。内部被曝などは全く調査されていない。政府が内部被ばくを否 定するのは、補償費が少なくてもよいという経済的な要素も強い。最高裁でも被害者が証明できなければ認定したいということで行政と司法はいままでケリをつ けていた。ところが黒い雨と症状との関係を記録した1958年代の日米合同調査として放影研が行った調査の生データが放影研から 93,000人分出てきた。放影研とは原爆の被害を調査するための日米共同研究をするため作られたABCCの下部機構である。遅発性疾患は20年後に発現 する。冷戦も終わったというのに放影研の重松逸造や長瀧重信はこの残留放射能被ばくデータを整理しようという動機は持たなかった。広島大の原爆放射線医学 研究所の大瀧慈(めぐ)教授が放影研に共同研究を申し込んだところ、現理事長は協力するかどうかは検討するがと否定的。こ まったことに日本政府は米国と彼ら研究者がなにもしないことをよしとしている。。以上2012/8/6NHKスペシャル

放射線の影響に関する各種仮説

LNTモデルの他に100-200mSvというしきい値以下は統計的に有意なガン発生が見られないというしきい値仮説や、むしろ健康に良いというホ ルミシス仮説がある 。微量であれば逆に良い作用を示す生理的刺激作用あるとするホルミシス仮説は1982年のトーマス・D・ラッキーの宇宙飛行士の安全確認のためのNASA 委託研究にはじまる。ゾウリム を鉛板で遮蔽して自然放射線を遮断すると活性が落ちることからの類推だ。いずれも 特定の条件下でしか証明されておらず、原発村が好む説である。この説を採る学者は重松逸造や長瀧重信のような御用学者とみてよい。

2011年12月28日、夜10時55分〜11時23分からNHK番組、追跡!真相ファイル低線量被ばく  揺らぐ国際基準によればICRPは学問的良心で運営されている機関ではなく、政治的な組織とは知っていたが、ICRPの委員17名中13名が米国の原子力 行政官と研究者で構成されていたという。

彼らは広島長崎のデータである1,000mSvでの発がん率が5%とのデータは実は500mSvで5%であることが判明した時点でも100mSvで1%に 修正せず、0.5%と前のまま据え置いたと現在の事務局長は明かす。この基準をきめたエネ ルギー省代表の委員だったチャールズ・マインホールド氏は、それどころかさらに職業的従事者の発がんリククを20%更に下げさえしたと証言。安全設備に金 を使いたくなかったからだというローコストにしようとい核開発担当の官庁と研究所の都合であったとのインタビューでの証言は非常にインパクトがあった。ど うせ低被ばくはデータがなくてわからないから、そ う決めても自分たちの決定は間違いだということにはならない。低確率と決めないと物事が前にすすまないという行政判断だという。ICRPはこれを改訂すべ きか毎年議論しているという。

電力中央研究所の 服部禎男もからめ捕られた。疫学の専門家アリス・スチュワート医師の調査結果は、放射線に無害な量はないことを示しており、バックグラウンド放射線や低線 量条件下において引き起こされた癌の数が放射線防護委員会によって軽視されていたことを示した。

カナダ原子力公社の研究所のアブラム・ペトカウ博士が1972年、マニトバにあるカナダ原子力委員会のホワイトシェル研究所で「液体の中に置かれた細胞 は、高線量放射線による頻回の反復放射よりも、低線量放射線を長時間放射することによって容易に細胞膜を破壊できる」ことを実験で発見した、このペトカウ 効果は凸曲線(べき乗曲線)を描く発見した。

政府委員を辞職した小佐古敏荘東大教授がまだICRPを信じて政府側の立ち位置にいたころ、審証人としてかかわった福岡高裁判決全文4につきのような記述 がある。

ジェイ・M・グールド及びベンジャミン・A・ゴルドマンは、共著「死に至る虚構・国家による低線量放射線の隠蔽」(甲七三)の中で「チェルノブ イリ惨事の 統計的観察によって、データからいえば、低線量持続的内部被爆は影響が小さくなるわけではなく、むしろ、高線量瞬間被爆と比べて線量がゼロに近づく境界付 近でかえって影響が強い。」「ペトカウ博士は、低線量放射線が高度に毒性化した遊離基(フリーラジカル)と呼ばれる酸素分子を生成し、それが高線量率の時 よりも、低線量率の場合に一層、効果的な細胞膜破壊をもたらすことを実験してみせた。それより2,3年前、T・ストック博士と共同研究者達は、超低線量の ストロンチウム90は高線量の時よりも、ラットの骨髄をより効果的に障害することを観察した。ペトカウの理論は、高線量X線への瞬間被爆や原爆のγ線への 瞬間被爆と比べ、フォールアウトの低線量放射線に長時間被爆した時に極めて重篤な免疫機構の障害が生じることを説明している。」「ストロンチウム90は化 学的にはカルシウムに似ているため、成長する乳幼児、小児、思春期の男女の骨髄の中に濃縮される。一度、骨中に入ると、免疫担当細胞がつくられる骨髄に対 し、低線量で何年にもわたって放射線を照射し続ける。ストック博士と彼の協力者は、1968年、オスロー癌病院で、たった10ないし20ミリラドの小線量 のX線が、恐らくフリーラジカル酸素の生成を通じて骨髄増結細胞にはっきりした障害を作り出すことを初めて発見した。」と述べている。

内閣官房参与に任命されていた小佐古敏荘東大教授が辞任したのを見るとその後、ペトカウの理論に趣旨替えしたようだ。

米国の高官も死ぬ前に自分が間違っていたと思えばチャールズ・マインホールド氏らのように告白する勇気が残っている。しかし日本のように儒教の影響から解 放されていない国では「知らしむべからず、寄らしむべし」という孔子の言葉に縛られていますので「無用の混乱が生じる」といって SPEEDIの情報を公開しなかったように会社でも官庁でも「お家大事」が黙示の規範となり、死ぬまで口を割らないという美学が残っているがゆえに行政不 信が風評被害の 根本原因だろう。保安院は自分たちの過失を隠ぺいするために災害対策本部の会議の議事録すら残さなかった。

残留放射線の影響

広島大学原爆放射線医学研究所教授星正治はセミパラチンスクの原爆実験場爆心から100km東北のドロール村に降った黒い雨がもたらした放射性物質による 住民の60年にわたる累積外部被ばく量は350mGy(ガンマ線とすれば350mSv)で広島の爆心から1.6kmの爆発時の線量を同じとした。ただ星正 治は内部被ばくの研究者ではなく、原子力村にとりこまれ、放射線による実害より精神的なダメージを強調する原子力村の走狗となっている。

米国のピッツバーグ大学トーマス・F・マンクーゾ博士は1944年〜72年に至る29年間に、プルトニウム製造のハンフォード原子力施設で働いた 労働者2 万4939人のうち、調査時点での死亡者3520名。そのうち白血病を含むガンによる死者670名。全米白人のガン死亡率より6%以上も高かったのを発 見。1977年「マンクーゾ報告」をだし、低レベル放射線はスローデスをもたらすと警告したが、国家に迫害され、彼の報告は抹殺され、ノン・ペルソナグラ タの指定された。マンクーゾ博士によって弾劾されたハンフォード原子力施設はその後、環境汚染問題を生じ、ベクテル社が除染作業を請け負ったが、技術的に またコスト的に難 航している。ここに六ヶ所村の未来が見えてくる。

政府は福島事故処理に当たりICRPの勧告にしたがい、20mSv/yを短期的許容限度として採用。小佐古敏荘東大教授は政府委員を抗議辞任した。しかし これはあくまで短期間の許容値であり、いつまでもこれでいいわけがない。

欧州放射線リスク委員会 (ECRR)

ヨーロッパの市民団体である国際放射線防護委員会(ICRP)のLNT仮説、しきい値仮説、ホルミシス仮説はガンマ線のような貫通力のある放射線と その害を説明するが、低線量でのペトカウ効果や アルファ線、ベータ線による内部被曝については無視している。アルファ線 やベータ線のような飛距離は短いが巨大なエネルギーを持ったもの、すなわちホットスポット仮説を重視するのだ。

欧州放射線リスク委員会 (ECRR) は現在のLNT仮説は内部被曝や低線量の被曝を過小評価しているため、放射線防護基準はICRPの基準より少なくとも10倍厳しくするべきだと主張してい る。

沢田昭二名古屋大学名誉教授は日本で初めて内部被曝と晩発性障害の重要性を研究し、レイボスで発表。厚生労働委員会での教授の証言によればICRP モデルは外部被曝しか調査しておらず、内部被曝は完全無視の欠陥理論である。

東京大学アイソトープ総合センター長児玉龍彦教授が7月27日の衆議院厚生労働委員会http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

で除染の大切さを訴えた。システム生物学の立場からウラン換算で広島原爆の20発分以上が大気の放出された。半減期の長い セシウムの除染の必要性を進言。そして早く汚染マップ作成をすべき。補償と子供達を守ることは分けでほしいと進言。そして出てくるセシウムの取り扱いの法 律を作るべきと発言。

外部被曝は主として貫通力の強いガンマ線被曝であるが、貫通力が強いということは逆に電磁波が少しずつ分子を壊しながら減衰するからで、分子が壊れても細 胞まで死ぬことはなく、運悪く遺伝子が壊れても 一つの遺伝子の変異では癌は起こらない。最初の放射線のヒットが起こった後に何度も何度も放射線が照射されないと癌の変異が起こらない。内部被曝はこの執 拗な放射線源となる。これはドライバーミューテーションとかパッセンジャーミューテーションとか細かい事になるので省略。損傷した遺伝子は修復されるため に害はすくない。特に遺伝子は二重ラセンであるからタフである。しかし、たまたま細胞分裂しているときに放射線でやられると修復不能となる。だから乳幼児 や成長期の子供には危険である。従ってどんな低線量でもそれなりのリスクはあるということになる。 大人においても増殖が盛んな細胞たとえば髪の毛、造血幹細胞、腸管上皮が放射線障害を受けやすい。

アルファ線による内部被曝の恐ろしさは二酸化トリウムコロイドを主剤とするX線 造影剤による肝臓障害である。使用後20年で30%の確率で肝ガンを発症したという恐ろしいもの。トロトラストは肝臓に集まり、長期間アルファ線を放出し 続ける。こうして修復機能を担うp53遺伝子がまず破壊され、20-30年後にそれに次ぐ第二第三の変異が起こり、そこで肝臓がんや白血病が起こってくる という事が 解明されている。

貫通力の弱いベータ線も恐ろしい内部被曝をもたらす。たとえばヨウ素-131は甲状腺に集積する。この集積は成長期の甲状腺形成期が最も特徴的な小児にお こる。ヨウ素-131の89%は第一段階でベータ崩壊によって準安定状態のキセノン131に変化し、これが直ちにガンマ崩壊を起こして安定状態のキセノン 131となる。このときに放出されるエネルギーの総量は 971keV である。このベーター線による内部被曝が数年後に発症する甲状腺ガンの原因となる。

セシウムー137は512keVのベータ線を出して短命なバリウム137mに壊変し、更に662keVのガンマ線を放射して非放射性のバリウムになる。遅 発性影響がでてくるのは20年後。 セシウムは尿路系に集まる。ウクライナの高濃度汚染地区、尿中に6ベクレル/ℓという微量だが、その地域ではp53の変異が非常に増えていて、しかも、増 殖性のぜん癌状態。p38というMAPキナーゼとNF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー)というシグナルが活性化され、それによる増殖性の膀胱炎、上皮内 のがんができているという事が報告されている。 ここでMAPキナーゼとは分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(英:Mitogen-activated Protein Kinase)といい、全身の細胞に広く発現しており、様々な細胞の機能発現において重要な働きをしている。NF-κBは免疫反応において中心的役割を果 たす転写因子の一つであり、急性および慢性炎症反応や細胞増殖、アポトーシスなどの数多くの生理現象に関与している。

福島の母親の母乳から2-13ベクレル、7名で検出されているという事が既に報告されている。非常に恐ろしいことが20年後に発生する。

矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授はICRP規制では救えない数々の内部被曝の例を上げている。

@第二次大戦後の核実験による放射線被曝の死者はICRPは117万人とするに対し、ECRRは6,500万人とする。この差は内部被曝を考えるか 否かによる。

A広島・長崎の被曝認定基準はICRPの外部被曝規準だから汚染地域外でベーター崩壊が多い黒い雨を浴びた人が認定されないなどの不合理がみられ る。

Bイラクの劣化ウラン弾の粉末と吸い込んだり飲んだりしてしまった害に対するWHOの見解もICRPの外部被曝規準に立脚する限り無視ということに なる。

Cニューヨークにおける小児ガンと小児の歯中のストロンチウム- 90含有量は原子力発電の稼働率上昇とともに直線的に増加していまる。核分裂生成物質のうち、ストロンチウム- 90 は、通常のウラン- 235 による核分裂の場合では約7%生成される。半減期は28.8 年。ストロンチウムは、化学的には、カルシウムと同じアルカリ土類金属で、骨に取り組まれやすい。

Dドイツでも原発の周辺半径5km以内で小児ガンが多い事例が報告されている。これは原子炉内の一次冷却水は多量の中性子を浴びて、酸素原子が炭素 14に変換されたものとの相関が疑われている。

EICRPの2003年勧告の中で、セラフィールド再処理施設の小児白血病の発生率がICRPの基準からの予測値より100倍以上多いと報告してい る。

Fカリフォルニアにおける自閉症の小児と原子力発電による発電量との関わりを示している。自閉症小児数は、7,8 年ほどの遅れで、発電量に強く依存している。

GECRRの委員でウルスター大のChris Busby教授は米国西海岸でプルトニウム0.0012Bq/liter airがテルル132と一緒に検出されたとしている。またサンフランシスコで乳児死亡率が35%上昇。テルル132は東京の自動車のエアフィルターからも 検出されたという。

原発の周辺に住む幼児は、白血病に罹るリスクが、原発の周辺に住まない幼児と比べて44%高い。このことをドイツの科学者アルフレート・ケルプライン博士 が証明した。細胞分裂の盛んな幼児が低線量放射線に内部被曝すると白血病に罹るリスクがある。


原子力発電施設等放射線業務従事者等に係る疫学的調査

2011年8月1日、参議院復興特別委員会で質問に立った古川俊治議員は文科省の委託を受けた財団法人放射線影響協会が作った「原子力発電施設等 放射線 業務従事者等に係る疫学的調査(第IV調査)平成17年度〜平成21年度」を紹介し、「放射線従事者の方々は長期被曝しておられます。一般の方々と比べた 場合、癌のリスクは1.04倍になります。明らかに偶然では説明できない差をもって、放射線従事者のほうが、癌がたくさん発生してるんです。原発などで働 く放射線業務従事者の通常の放射線被曝限度は、1年で50mSv、5年で100mSvと定めているにも関わらず、100人に4人は癌の発症が増える。この 放射線従事者の方々の平均の被曝線量は累積で13.3mSvです。現在の一般的市民の暫定値20mSv以下です。過去に癌を発症して労災認定をされた方は 10人いますが、最も少ない人は5mSvの被曝だったんです。政府が被曝との因果関係を認めてるわけですよ。5mSvの労災認定とは、中部電力浜岡原発で 働いていた孫請け会社元社員・嶋橋伸之さん(当時29)が慢性骨髄性白血病で91年に死亡し、94年に認定されたものだ。嶋橋さんの放射線管理手帳によれ ば、約8年10カ月で累積被曝線量は50.93mSv。従事年数で累積線量を割れば、約5.6mSv/yとなる。

福島県の人口200万人としてその5%といえば10万人ということになり、これは私がヤブロコフ・ネステレンコ報告から推計した7.6万人と同じレベルで ある。広島原爆で直接ガンマ線浴びて死んだ人数と同じレベルの死者数となる。

2015/10/20 厚生労働省は、東京電力福島第一原発事故後の作業で被曝(ひばく)した後に白血病になった元作業員 北九州市在住の男性に対し、労災を認定したと発表した。2012年から13年まで、東京電力の協力企業の作業員として、3号機や4号機周辺で、構造物の設 置や溶接の作業に当たり、14年11月に急性骨髄性白血病と診断された。累積の被曝線量は福島第一原発で約16ミリシーベルト、定期点検の工事で12年に 約3月間働いた九州電力玄海原発で約4ミリだった。原発事故への対応に伴う被曝と作業員の疾病に一定の因果関係があるとして労災が認められるのは初めて。

食物中の自然放射能

塩による循環器系のダメージを減ずるために減塩醤油、減塩塩が奨励されている。しかし減塩醤油に含まれるカリウム40は、人間にとって炭素14よりも大 きな最大の内部被曝源となる。同位体存在比は0.0117%である。 カリウム40の放射線強度は260,000Bq/gであるから、カリウム塩の放射能強度は30.4Bq/gとなる。これは70 kgの体重の人間において、1秒間にカリウム40はおよそ4,400個崩壊していることになる。カリウムー40の内11.2 %は、電子捕獲もしくは陽電子放出(1.3MeVのβ+崩壊)によってアルゴン40へと崩壊し、88.8 %は陰電子崩壊(1.5MeVのβ- 崩壊)によって非放射性の安定同位体であるカルシウム40となる。だから減塩醤油は健康によいといわれるが本当のところどうかはわからない。

カリウム40の含有量(Bq/kg)は米・パン30、魚・肉100、牛乳50、ほうれん草200、干しいたけ700、干昆布2,000、お茶 600、 ポテトチップ400である。

カリウム40は我々の体に67Bq/kg含まれ、89%は1.3MeVのベータ線を出してカルシウム40になる。11%はガンマ線を出してアルゴン 40になる。 半減期は12.5億年。

人 体に含まれるカリウム40は67Bq/kg、炭素14は41Bq/kg、ルビジウム87は8.5Bq/kgという。合計116.5Bq/kgである。カリ ウム40は0.0117%。かりにセシウムはカリウムに置換されるとしてもカリウムの減少は無視できるほど小さく、セシウム分だけ増える。

放射能汚染食品の暫定摂取規準(日本)

1 s(秒)間に1つの原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量が1Bqである。同じベクレル数の放射能が存在しても、それから受ける放射線の強さは放射性物 質の種類や測定点までの距離、間にある遮蔽物の効果などできまる。吸収線量の単位としてグレイ(単位記号:Gy)が用いられる。これは、物質1 kgあたり1Jの吸収があったということであり、1 Gy=1 J/kgとなる。

吸収線量が同じ場合でも、生体に与える影響は放射線の種類により変わる。そこで、吸収線量に線質係数(放射線荷重係数)を掛けた線量当量という量を使う。 単位はシーベルト(単位記号:Sv。Svの次元もJ/kgであるが、線質係数を掛けるため、Gyとは別ものである。線質係数は、α線:20、中性子線: 10、X線,β線,γ線:1で、単位を持たない量(無次元)である。

飲料水、ミルク中のヨウ素:成人300Bq/liter、幼児100Bq/liter、ICRPは10mSv

野菜中のヨウ素:2,000Bq/kg

魚のヨウ素:無誤謬ドグマのため、なし。泥縄で検討して野菜と同じとした。早速コウナゴは不合格。

魚のストロンチウム:規制値なし。セシウムが規制値以下なら問題ないという意見もあるが生物で10倍濃縮があるのでそうともいえない。長崎大の山下俊一教 授は規制値をきめ、モニタリングすべしと。

土地の汚染:農水省は米作はセシウム5,000Bq/kg以上の汚染水田では玄米に500Bq/kg吸収されるので作付けしないことに決定。

農水省は放牧と牧草禁止規準として乳牛はヨウ素70Bq/kg、セシウム300Bq/kg、肉牛セシウム300Bq/kgとした。

今問題になっているペータ崩壊による内部被ばく源とされるセシウム137は世界保健機関WHOの飲料水中の放射性核種のガイダンスレペルは平常時の 値は10Bq/literあった。しかし2011年東北地方太平洋沖地震における福島第一原子力発電所事故の影響から、放射性セシウムの飲料水中及び牛 乳・乳製品中の暫定規制値をWHO基準の20倍以上に相当する200Bq/kgと定めたのはやはり問題なのではないか。ヨウ素131はもう手遅れですがセ シウム137はこれから長く付き合わねばならない。

望月氏によればEUでは食品中の残留放射能には600Bq/kg(生の食品重量)、牛乳と子ども用の食品は370Bq/kgという規制値という。 このEU規制は、EU法の中でも「指令(directive)」という種類の法律で、その場合には各国の逸脱が認められます。例えば、スウェーデンなど は、野生動物の残留放射能規制には、1,500Bq/kg。その理由は野生動物の肉を毎日食べるヒトはいないという理由。EU法の中でも「規則 (regulation)」という種類の法律の場合には各国の逸脱が認められない。

新しい食品規制値

厚生省は一生の被ばく量100mSv以下を目標に水10Bq/kg、幼児用20Bq/kg、大人用50Bq/kgを2011/4から新しい基準とす るという。これは国民の1%が癌になることを意味する。

セシウム汚染肉

6月、南相馬の一農家が事故当時屋外に積んでおいた稲わらを餌にあたえたところ、出荷された牛肉か2,300Bq/kgのセシウムが検出された。稲 わらを検査したところ57,000Bq/kgのセシウムが検出された。 郡山市の稲わらからは500,000Bq/kgのセシウム、宮城県大崎市の稲わらからは17,600Bq/kgのセシウムが検出されている。農水省は肉牛 の検査体制を見直すとのこと。更に宮城県が汚染稲わらを三重県以東北海道まで各県に売っていたことが判明。パニックとなっている。 これは何も予想できなかった農水省のチョンボ。

筋肉が動く仕組みは筋小胞体から放出されたカルシウムイオンによりアクチンフィラメントがミオシンフィラメントな間に滑り込み筋肉が収縮する。カルシウム イオンと入れ替わってカリウムイオンが出入りするのだ。だから筋肉がカリウムと間違えてセシウムを取り込んでしまうわけで一旦入ったらなかなか出てこな い。半減期70日もかかる。セシウムがせっせと筋肉を動かしながら筋肉分子を破壊し続けるのだ。

筋肉の塊は心臓だ。これが弱って心筋梗塞が多くなる。また血管が劣化して脳梗塞になり、8年寿命が短くなるとヤブロコフ・ネステレンコ報告に書いてある。 ヨードは甲状腺ガンを発病させるのでドラマチック。けれどセシウムは循環器系の病気でスローデスをもたらす地味な存在で、放射性の影響だと気がつく人が少 ない。

11月12日、東北大の福本学教授は事故後野生化した牛を検査した結果、放射性セシウムは血液中60Bq/kg、もも肉1,800Bq/kg、舌、 肝臓に600Bq/kg。放射性テルルは腎臓み129Bq/kg。放射性銀は肝臓に110Bq/kgであったという。

セシウム汚染ミルク

武田武彦の2011/7/11のブログによれば福島、茨城、千葉の牛乳は多量に西日本に送りそこでブレンドしてベクレルを規制値以下にして出荷していると いう。無論政府は黙認。 マスコミは週間誌が遅れて報道。消費者は自衛のため産地が特定できる高価な牛乳しかかってはいけないということ。 私も北海道十勝産のものを買っている。地方自治体はインチキせず、風評被害をなくしたいなら全量検査すべき。それをしないのは役所の怠慢。農業者と消費者 はいい迷惑。

というわけで北海道のミルクを購入していたのだが宮城産の稲わらが北海道に売られて肉牛に与えられていたとのこと。では乳牛に稲わらわを与えないというこ とは考えられない。ただ酪農家が汚染稲わらを乳牛に与えても、一晩でオッパイは一杯になり、1日一回搾乳されますからミルクには高濃度には溜まらない。測 定値をみても0.1mSv/h位だ。ただ幾ら薄くてもこれを飲む乳幼児は確実に筋肉に蓄える。牛 肉を食べるのは高級レストランで食する人々だからいわば自業自得。しかしミルクは注意しないと。

セシウム禍から逃れる方法

お茶は1煎目は捨てて2煎目から飲む。プロの農家はセシウムで汚染れた畑で野菜をつくるときはカリ肥料をやるとカリを先に吸収するのを知っている。しかし 有機栽培農家は化学肥料を忌み嫌うのでいまや有機野菜は危険とのこと。そこで有機栽培を標榜しない店で、西日本産の野菜を仕入れることだ。

料理の時は低塩醤油や塩化カリ塩を料理に使う。低塩醤油の塩の50%は塩化カリだからセシウムの吸収は抑制されることができるのか?

個人が買える検査機器

個人で検査機器を買おうとおもったが、本格的な背景放射線を遮断するものは2000-250万円もする。スクリーニング用のハンドヘルドでも68万円とな り、手が出ない。

ところが12.5万円で0.001mSv/hが測定できるRadiと いうものをみつけた。これと鉛ブロックを積んだだけの暗箱で結構使える。

放射能汚染食品摂取に伴う内部被曝量

ベクレルとシーベルトの換算係数は;

131ヨウ素:経口摂取Sv/Bq=2.2x10-8 吸入摂取Sv/Bq=7.4x10-9  半減期8days ガンマ線  融点113.6℃、沸点183.4℃

137セシウム:経口摂取Sv/Bq=1.3x10-8 吸入摂取Sv/Bq=3.9x10-8  半減期30year  ガンマ線 融点28.5℃、沸点668.4℃  生物濃縮、人体の減衰係数は70day

90ストロンチウム:経口摂取Sv/Bq=2.8x10-8 吸入摂取Sv/Bq=1.6x10-7  半減期29y ベータ線 融点769℃、沸点1,384℃  人体の減衰係数は18year

239プルトニウム:経口摂取Sv/Bq=2.5x10-7 吸入摂取Sv/Bq=1.2x10-4 半減期24,000y アルファ線

トリチウム水:10,000Bq=0.00018mSv  半減期12.3y ベター線

トリチウムガス:10,000Bq=0.000000018mSv 半減期12.3y ベター線 最近の雨水中のトリチウム濃度2Bq/literとして、この水を1年間摂取すると、実効線量は 約0.00004ミリシーベルト。体内取り込みによる内部被曝が問題になる。

グリーンウッド氏の内部被曝試算

内閣府の食品安全委員会の放射線WG座長山添康東北大教授は安全基準として自然放射能を 含めて生涯の累積被 ばく量を100mSvとして暫定基準を見直すとしている。しかし2月後の2011年10月になり、厚生省の御用学者小泉直子 委員長(奈良女子大生物学科卒)のとき、自然放射能は含まないと変わった。外部被ばく100mSvと合計で200mSvとなる。これは山添康東北大教授の 考えを否定し、環境からの外部被ばくを内部被ばくから完全に分離してそれぞれ年間1mSvになるように暫定値を2012年までに見直すとしている。これは 合計すれば年間2mSvでもやむを得ないというのが政府の暗黙の了解ということを意味する。

以下は山添康東北大教授の自然放射能を含めて100mSvとする時の計算をした。東京近辺の自然放射能 0.05microSv/hの住民が内部被ばく量ゼロとすれば80年の寿命をまっとうしたい場合、環境放射線は0.15micro Sv/h、40年生きたければ0.3microSv/h以下でなければならなくなる。ところが福島市などは1.5microSv/hだから除染しないかぎ り内部被ばくの余裕もないことになってしまう。



累積被ばく量を100mSv とした時の外部被ばくと内部被ばくの関係

政府は計画的避難区域解除は20mSv/y以下とするかもしれないが長期的に居住するには0.3mSv/y以下がのぞましいということになる。

農地汚染について検討してみた。5,000Bq/kg のセシウムで汚染された農地で育てる米や野菜中に吸収されるセシウム量は下図のようになる。

agricultural products absorption coefficient of Cs(products/soil) Cs in products grew on soil containing 5,000Bq/kg Cs (Bq/kg)
rice 0.003 15
rice grain 0.0033 17
vegetable w/leaves 0.049 245
cabbage 0.026 130
seeds 0.029 145
potatos 0.03 150

農水省は暫定規準として玄米に500Bq/kg、乳牛はセシウム300Bq/kg、肉牛セシウム300Bq/kgとしたわけだ。

カリウム40は天然に存在する代表的な放射能で、太陽系がつくられた時から存在している。同位体存在比は0.0117%である。 カリウム40の放射線強度は260,000Bq/gであるから、カリウム塩の放射能強度 は 30.4Bq/gとなる。大人の体内には約6,000ベクレルのカリウム、炭素の放射能が定常平衡状態で存在し続けている。

セシウム汚染 20Bq/kgの食品を一人毎日1,000gr摂取するとしよう。そしてカリウムと間違えてセシウムを吸収する率を80%、これが筋肉中に滞留し、 最終的にカリウムに置換されて尿となる減衰係数を30-70日(0.97%)とすると、体内に蓄積するセシウム量は302日で230Bqに達する。もし毎 日同じ汚染物質を食べ続ければ230Bqで一定になる。

体内への蓄積
体内への蓄積

 ここから放射されるガンマ線が我々の体を構成する分子を破壊して老化を加速するし、若年層はガンを発病する。

NHKが福島県の南相馬の住民の検診結果の告知を医者がするところを写していた。カメラに映った検査報告書に600Bqと書いているのに、これであびる放 射線は1mSv以下だから問題ないと説明している。これは、「以後外部放射線がないところに住み、汚染食品は食べないなら」という条件がつくわけで、明 らかに不親切、不適切、無責任な行動だ。医者ですら政府のパニックにさせないという意向に従っている。

欧州放射線リスク委員会 (ECRR) は小児白血病の発生率がICRPの基準からの予測値より100倍以上多いとしているので0.15mSvx100=15mSvとなる。これが本当ならおそろ しいことだ。体内被曝の効果を考慮していない日本の放射能汚染食品の暫定摂取規準は再検討する必要があるのではないか?

フランスNGOが5月にサンプルをとった福島市の子供の尿から0.43-1.3Bq/literのセシウムを検出。これは食品から入ったもの。食品安全委 員会は基準値を年齢別にする必要を検討中。日本の学者はIAEAやICRP一辺倒でECRRの動向やヤブロコフ・ネステレンコ報告を読んでいないのか心 配。


チェルノブイリ事故が住民と環境に与えた結果

2009年にニューヨークの科学アカデミーの紀要として発刊されたロシア科学アカデミー会員ヤブロフ博士と白ロシア放射線安全研究所の2名のネステレンコ 博士が書いた「チェルノブイリ事故が住民にと環境に与えた結果」というタイトルのヤブロコフ・ネステレンコ報告は膨大なスラブ語の文献 を整理していままで西洋に知られていなかった事実を赤裸々に報告している。

この報告書は岩波書店より『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』として出版されている。英 語原文はこちら

ヤブロコフ博士は事故当時はゴルバチョフとエリツィンの科学アドバイザーで無論、秘密保持義務があっていままで沈黙していたが、2005年に IAEA/WHOがチェルノブイリ 事故は後始末に働いた作業員47人の死亡と小児甲状腺ガン4,000人内死者は15明を出しただけという報告を出したことに怒りを覚えてこの報告書を執筆 したと語っている。ヤブロコフ博士はチェルノブイリ事故で98.5万人の死者という結論をだした 。2006年発行のグリーンピース報告書は27万人のガン患者が発生し、そのうち9.3万人は致死的というリポートを出している。アメリカ原子力委員会の 期待に反して、低線量の放射線の影響は少なくとも20分の1に過小評価されているとの結論に到達したローレンス・リバモア国立研究所副所長だったジョン・ ゴフマン (John William Gofman)は50万人としている。カナダ人の女性学者はロザレ・ベルトン?は180万人と推計したとのこと。日本の御用学者とちがい低レベルでの継続 的放射にさらされるほうが怖いといっている。

地域

1990-2004 年の死者数

ヨーロッパロシア

67,000

白ロシア  

59,000

ウクライナ 

86,000

小計     

212,000

>15Ci/km2(40Bq/m2) or 50mSv/yで転居して統計外  

25,500

統計外合計

237,500

ソビエト外ヨーロッ パ>1.08Ci/km2(40Bq/m2) or 3.4mSv/y

170,000

ソビエト外ヨーロッ パ<1.08Ci/km2(40Bq/m2) or 3.4mSv/y

255,000

ヨーロッパ外全世界                

323,000

全世界合計

985,000

となる。

チェルノブイリの総放出量5,200,000tBqに対し、原子力安全委員会が発表した福島の総放出量は770,000tBq(広島原発80発)で 14.8%である。広島原爆の8,000発分だ。(保安院は168倍としている)総放出量は太平洋に流れた分は計測外とすればこれから日本で5-20年間 に発生するスローデスの死者 (ガンも含め、免疫不全や内蔵、循環器系疾患で寿命が8-10年短くなる人数)は日本とウクライナの人口密度比4.3を考慮すれば、これから日本で5- 20年間に発生するスローデスの死者は237,500x0.148/2x4.3=76,000人程度。これは自動車事故のよ うに即死でなく、5-20年かかるスローデスのため、素人は因果関係がわからない、たとえ分っても当事者は隠すし、新聞種にもならず、隠蔽される可能性が あり、統計にはでてこない可能性がある。あしっかりしたモニタリングと救済が必要。(またもや日本はモルモットになった)

ヤブロコフ博士はインタビューで米国中心の国際放射線防護委員会(ICRP)に対抗する。ヤブロコフ・ネステレンコ報告を読めば米国が中心と なって策定した国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に準拠する日本の基準は甘すぎる危険があることが分かる。

呼応するようにECRRが4月作成した報告書では低線量の危険を指摘するウルスター大のChris Busby教授が福島の100km圏内の今後の10年間のがん患者は人口密度を加味して10万人、200km圏内10年間のがん患者は20万人と推定。今 後の50年間では40万人と推定した。

低レベル放射線の害としてアーネスト・スターングラス博士の1935-1970年の原爆水爆実験時代の「幼児 死亡率 と低放射能の関係」という図がある。「Secret Fallout: Low-level Radiation from Hiroshima to Three Mile Island」by Dr. Ernest J. Sternglass 1981 (邦題:赤ん坊を襲う放射能)

原子力資料室によれば同様の主張を行う学者にジョン・ゴフマン氏,ヘレン・カルディコット氏などがおり,原子力反対派らはしばしば彼らの主張する説を採用 した評価を行うことでも知られている。

広島で被曝しながら治療活動にあたった今年94歳の医者肥田舜太郎さんは「放射線の病気が始まってくるのは、おそらくこの秋から来年の春にかけてで、たく さん出てくるだろうと、わたくしは想像しています」そして実際に被災者の下痢は始まっているという。

チェルノブイリ原発の研究者パリ第11大学のアンダース・メラー教授とサウスカロライナ大のティモシー・ムソー教授は私費で福島に調査にきた。かれ らによるとツバメの精子の減少、繁殖率の低下、くちばしや羽の異常が増えているという。ただ」IAEAが認めたには人間の甲状腺ガンだけ。これは原爆保有 国の圧力による。脊椎動物の免疫機能低下の線量は8.8mSv/h、生殖機能低下は17.1mSv/h、寿命低下は45.8mSv/hとい う。

ベラルーシのゴメリー医科大学の学長にして医師のユーリー・バンダジェフスキーはチェルノブイリ事故後死亡した人を解剖し、臓器毎セシウム137の 量を調べ子供の心臓には大人の4倍のセシウムが蓄積していることを発見した。しかし1999年彼は学生から賄賂をもらった罪で逮捕され禁固8年の判決を受 けた。2005年釈放されたのちはキエフで研究活動を再開。そのかれは福島の子供が体重1kg当たり20-30Bqの内部被ばくしているのは心筋や血管の 障害に連なると警告している。

ナロジチ地区中央病院からの報告では児童の呼吸器系疾患が1988年では11.6%が2008年には60.4%に5倍増。大人の場合、心臓血管系疾 患が1998年の1.2%が2008年には3%と3倍になった。

「人類が制御できない科学技術は放棄すべきだ」という長崎市長の平和宣言は的はずれ。平和宣言は大切な点を理解していない。自動車、飛行機、新幹 線、化学 工場もどんなに努力しても制御できないこともある。複雑なシステムはカオス的振る舞いから自由にはなれないのだ。原子力も同じ。正しい認識はコンセクエン シャルダメージの大きさの差にある。原発が作る核分裂物質は化学反応によっては無害化できず、その物質が自然崩壊して別の物質に変わるのを待たなければな らないという点だ。この時間が人間の生命に比べ長すぎる。だから「宇宙開闢時強かった放射線が弱くなって初めて生命出現できた。この生命の敵、放射線を出 す原子力というものを核兵 器とならんで廃絶しなければならない」ということだ。我々の体を作っている化学結合のエネルギーは10eV以下だが、セシウム137の出すガンマ線は 662keV。化学結合の66,200倍のエネルギーで我々の細胞を構成する分子を壊し、2次電子を放出するのだ。これによればスローデスを迎えた人数は 「人類が制御できない科学技術は放棄すべきだ」は的はずれ。自動車も飛行機も新幹線も化学プラントもカオス的振る舞いをする。正しい認識は「宇宙開闢時強 かった放射線が弱くなって初めて生命出現できた。この生命の敵、放射線を出す原子力というものを核兵器とならんで廃絶しなければならない」ということ。

2011/12/28のNHKの番組ICRPによれな、北部のベステルボッテン県のサーメの人々にはチェルノブイリ事故後10年経過したころから癌 が増え始め、34%の増加だという。サールグレンスカ大のマーティン・トンデル教授は110万人の住民が過去を調べ10年間の積算被ばく量は10mSv以 下とICRPの100mSvの1/10であることを突き止めた。スエーデン政府のトナカイの肉の規制値は300Bq/kgであったため内部被ばくが原因だ ろうという。米国の再処理施設で清掃の仕事をしていたテキサス州従業員が老齢になって乳がん、皮膚がん、咽頭がんを発症する例が急増して国に補償を求めて いる。また原発近くに住む少女が脳腫瘍にかかっている。ネフテレンコ報告に加えるにこの事実だけでもICRPの権威は完全に崩壊する。

米国に本部があるノーベル平和賞の反戦の医師の国際団体IPPNWと、放射線からヒトと自然を守る為のドイツのNGOであるGFSはヤブロコフ・ネ ステレンコ報告と同様の報告書を出している。下記がそれである。

Health Effects of Chernobyl


2013/3/14核戦争防止国際医師会議(http://en.wikipedia.org/wiki/IPPNW)という米国に本部を置く団体 (1985年にノーベル平和賞)のドイツ支部が、WHOのデータを基にして福島第一原発事故による日本国内のがん発病の増加分の数は22.000 - 66.000と推定されるという論文を発表した。

チェルノブイリから2,000km離れたコルシカ島では2013年になって甲状腺癌が多数発生。フランス政府に賠償金請求の訴訟を起こしている。

呼吸で取り込んだ放射性物質による内部被曝

3月12日、マスクを装着せず中央制御室にながくとどまった東電職員2名がヨウ素が甲状腺に蓄積して内部被曝が最大650mSvを越しているのが みつかった。ホール・ボディー・カウンターという大型の装置が 発見されたもので、1,000人の作業員が検査を待っている。

ならば同じ日、爆発のプルームが流れた方向に幼児をつれて強制脱出した人々も検査する必要があるだろう。

朝日新聞が整理した1億分の1g(10-8または0.01microgram)の放射性物質の被ばく量

放射性物質名 被曝量 放射能 半減期 福島からの放出量

mSv Bq
tBq g
ポロニウム210 3,700 1,670,000 138d

プルトニウム238 690 6,300 87.7y 0.019 0.03
ヨウ素131 690 46,000,000 8d 160,000 35
セシウム134 9.6 480,000 2y 18,000 380
ストロンチウム90 8.0 50,000 29 140 28
ラジウム226 3.5 370 1,600y

プルトニウム239 2.8 23 24,000y 0.0032 1.4
セシウム137 1.2 32,000 30y 15,000 4,700
ウラン235 0.000007 0.0008 740,000,000y


スティーブ・ウィング博士のデータは、スリーマイル・アイランドでは事故後数年間で、肺がんが1割増えたことを示している。

2012年7月10日、福島第一事故による1080人の生涯甲状腺被ばく量は生涯平均で12mSv、30mSvは3人、最大42mSvであったと放射線医 学総合研究所の鈴木敏和センター室長は国際シンポで公表。飯館村、いわき市で高い傾向。政府は無用の混乱申しのためとして計算せず公式にはゼロであったと している。

耳なしウサギ

福島県浪江町で4月末ごろ耳なしウサギが出生したことがUチューブで報じられ、ドイツで大きく報道されている。

「耳なしウサギ」の飼い主は杉本祐子さん。現在は大人のウサギだけで21羽を飼育している。ウサギ小屋は、ハーブや山菜など自然あふれる私有地にある。小 屋の中にある巣穴で出産するため、耳なしウサギがいつ出生したかは、正確にはわからない。5月7日にうっすら毛が生えている状態の赤ちゃんウサギを確認 し、同月11日には「まだ目が開いていなかった」ということから、4月末ごろに出生したとみられる。5月28日には、フワフワの真っ白な毛に包まれ、手の ひら大の大きさになっていた。耳のないウサギは、ほかに3羽のきょうだいがいるが、いずれも耳はあった。福島第1原発の事故を受け、政府は4月22日に 「計画的避難区域」を定めた。浪江町は全域が第1原発の事故発生から1年間の積算放射線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがある地域とし、「おおむね 1カ月」で避難を完了させる方針を打ち出している。同町内での最大値は毎時65マイクロシーベルトだったが、耳のないウサギのいる場所からは10キロ以上 は離れていた。杉本さんは自前の線量計で自宅周辺を測定し、積算を試算したところ、積算量は年20ミリシーベルトを超えないことが分かったため、避難する つもりはないという。耳のないウサギは自然界で生まれてくるものなのか。複数の獣医師、研究者は「見たことがないし、研究もしていないのでコメントできな い」などの回答しか得られなかったという。耳があるはずの部分はわずかに突起物のような感触もあったが、やはり毛で覆われているのみだった。お母さんの歯 が当たり、耳が切れてしまったことでもないようだ。

毛のない因幡の白兎君に対抗し、福島の耳なし白うさぎ君が誕生したのだが、これ女性にインパクトある。所詮経済のバブルも原発バブルも男のテストステロン がなせる業だ。だから世の女性がもっと中央官庁や企業の中枢で働くようになれば世の中が変わる。北欧に習ってあらゆる組織の管理職の半分は女性にしなけれ ばならないという法律をつくれば、経済危機も原発もなくだろう。勿論誤差はあってなかには男以上に賭け事の好きな女もいるが。

5月になって茨城県日立市で茎の長さ1mに達するタンポポが生えたというニュースがある。ただ放射線は普通植物を矮小化するので放射線が原因とはいえない だろうと専門家。

空母ロナルド・レーガンの被曝

福島事故の3日間、もっとも放射性物質が放出された期間は主たる風は太平洋に向かって吹いていた。大統領のトモダチ作戦としてその風下に向かった空母ロナ ルド・レーガンの乗組員は汚染された広いフライトデッキの洗浄作業にも携わっ多量の放射能をあびた。第一原発から約132マイル(212キロメートル)の 距離でプルームを検出しましたという。

奇形のモミ発見

2015年8月28日、東京電力福島第一原発事故によって帰還困難区域になっている福島県内の山林で、幹が上に伸びていないモミの木が見つかったと放射線 医学総合研究所などのチームが明らかにした。

プルトニウムとストロンチウム

プルトニウムを水源に投げ込まれても無害と主張している東京大学工学系研究科システム創成学専攻大橋弘忠教授が居る。これは言い過ぎ、それなら自 分で飲んでみせたらよい。

実はプルトニウムは短時間なら手袋して手で触っても大丈夫なくらい放射線は弱い。なぜなら半減期が1万年とながいのでその分ゆっくり崩壊するからで す。冷戦期デンバーの郊外40kmでグローブボックス内でプルトニウム金属粉末を手でかため水爆の起爆材を作っていたことがあります。それを作ったオバサ ンはガンの恐怖におびえながらそれでも健在なのです。ただグローブボックス内でプルトニウム金属粉末が火災を起こし、この工場は放棄され、跡地は立ち入り 禁止となっている。跡地を吹きすさぶ風に乗って飛ぶ粉末を吸い込んだらアウト。荒野になって野生動物だけが闊歩しているTVを見た。

10月1日の文部省はプルトニウム240とストロンチウム90の分布はレベルは低いがセシウムの分布と同じと公表。双葉町ではストロンチウム90は 5,700Bq/kg(過去最大値950Bq/kg)、プルトニウム240は15Bq/kgであった。

ストロンチウムは横浜でも検出されたが分析法の論議がある。

海洋生物によるセシウムとストロンチウムの濃縮

ヨウ素は半減期が短いので論ずる必要はない。4月4日茨城産コウナゴから447Bq/kg検出された。 その後4,080-14,400Bq/kgまで上昇。ついに出荷停止になった。IAEAによればセシウムは魚で100倍、海草で5倍濃縮する。

財団法人海洋生物環境研究所の御園生淳によれば表層の植物性プランクトンを食べるコウナゴは1ヶ月後にはピークに達し、大型魚のスズキは半年でピークにな り、元にもどるのに1.7年、マダラは0.8年でピークになり、元にもどるのに2.5年かかるという。

電気出力100万kWの軽水炉を1年間運転すると、10京ベクレル(10,0000tBq)の90ストロンチウムと260京ベクレル (2,600,000tBq)の89ストロンチウムが蓄積する。原爆は高温のため全てを気化する。アメリカと旧ソ連による大規模な大気圏内核兵器実験の影 響で1960年代前半に大気中濃度が上昇し、食品の汚染がいちじるしかった。冷戦時代の日本人は核兵器実験の影響で1日に約1Bqの90ストロンチウムを 取り込んでいたと推定されている。原発事故のようにメルトしたコアの温度はストロンチウムの沸点1,384℃に達しない。チェルノブイリ原発事故では、大 量の放射能が放出された。90ストロンチウムの放出量は、炉内の存在量がほぼ等しいセシウム-137(30.1年)に比べて小さかった。名古屋で採取した 大気試料の分析によると、90ストロンチウム/137セシウム放射能強度比は0.002〜0.02の範囲に分布していた。発電所周辺または近隣諸国に降下 した放射能に含まれるものの放射能強度比は、上の値より高く0.1に達すると報告されている 。

しかし福島事故では大量の水を壊れてしまった燃料棒の上に注ぎ込み、3万トンもの排水を作ってしまった。これは鉱山でいうリーチングの手法とおなじもの だ。リーチングは水に溶けるものを溶かし込み 、地下室やピットに溜まっている。例の富山のカドミウム汚染も、中国のインジウム鉱山におけるトリウム公害もリーチングという方法を採用したための公害で あった。今回は福島鉱山の廃液公害になるおそれがある。チェルノブイリもスリーマイルも参考にならない新しい事態であると認識する必要がある。海水中の 90ストロンチウムは魚な人に取り込まれてしまうと18年間体内にとどまるので濃縮される。水に溶解する試料から化学的にストロンチウムを分離し、1週間 以上経過後に生まれてくる90イットリウムを分離し、ベータ線を測定するのがふつうの方法である。しかしまだ充分な分析体制が整備されていなく東電 も文科省も分析せず、または秘匿して公表せず、市場の出回る魚の分析体制も未整備だ。現在はヨウ素とセシウムだけで食べてよいかどうか判断しているだけ だ。分析は簡単ではないがストロンチウムも測定すべきだろう。

東電は2011年5月9日になりようやく構内の表土から570Bq/kgのストロンチウム、浪江町と飯館村からは32Bq/kgのストロンチウムを検出し たと発表。 海水からは7.7Bq/liter。ストロンチウムは核分裂生成物の6%に達する。ストロンチウムはアルカリ土類金属で化学反応性が高く、水に可溶な水酸 化ストロンチウムになる。この過程でも水 素が発生する。だから 圧力容器に窒素を注入する必要がある。10万トンに達する汚染水にどのくらい溶けているか公表されていない。秘匿の疑い大である。

Sr + 2 H2O → Sr(OH)2 + H2

ストロンチウムはカルシウムと間違えて骨に蓄積するので減衰率が低く、長く体内に滞留するので内部被曝を深刻にする。 プルトニウムとストロンチウムの放出量がチェルノブイリに比べて大分少ないと予想されるのは救いだ。

2012年5月29日の朝日に報道によればスタンフォード大の調査で2011年8月カルフォルニア沖でとれたマグロの筋肉からセシウム134が 4Bq/kg(通常はゼロ)、セシウム137は6.3Bq/kg(通常は微量)とのこと。

原爆の放射線被ばく
原爆からの強い放射線をあびた人はそ遺伝子を傷つけられ、10年以内に急性骨髄性白血病 (AML)、急性リンパ性白血病 (ALL)、慢性骨髄性白血病 (CML)などの白血病が増えるがそれもやがて収束する。しかし遺伝子が修復できない傷は複写の過程で染色体全体に拡散して高齢になると骨髄異形成症候群 (MDS myelodysplastic syndromes)、AMLといった骨髄性白血病や癌となって発症する。

このMDSの発症率は日本の平均値の14倍。爆心から1.5km以内では平均値の43.1倍、3km以内では17.6倍、3km以遠では12.8倍であっ た。(2013/8/6NHK特集)

RUNX1が損傷を受けると白血病になることが分かっている。Runx1(英:Runt-related transcription factor 1)はRUNX1遺伝子にコードされる転写因子である。ヒトでは21番染色体長腕上にある(21q22.12)。AML1(acute myeloid leukemia 1 protein)、CBFA2(core-binding factor subunit alpha-2)とも呼ばれる。Runx1は、CBFβとヘテロ二量体を形成し、DNAと結合し転写を調節することで、造血系の分化において重要な役割を 担っている。



国際赤十字委員会(ICRC) 朝長万左男

放射線の本当の怖さ

新規な放射性アイソトープを作って登録して来た森永先生は「原子力は人類を幸せにしない。なぜなら生物は地球上の放射線が無くなってから発生したので放射 線を検出する器官が不要だったから、進化の過程でこれを持たなかった。我々は放射線に対しメクラなのだ。原発がこの事実を無視して生物発生前の地球の状態 をつくりだすことは全ての生物にとって大変不幸なことである」と一言で原発を否定される。だから政府は丸書いて中の人は外に出てと乱暴なことをするハメに なるのだ。

測定器を持って福島や郡山の町をあるくと放射線はなぜか田園地帯より都市に多い。これは化石燃料の中に放射性物質がありこれが長年溜まったという説、屋根 に降ったセシウムイオンが水にとけてアスファルト地面に溜まり、そこで蒸発して結晶化するためかもしればい。鎌倉でも大谷石の漏水点で煮詰まって結構危険 なホットスポットができている。

甲状腺被曝者者数

2013年7月19日、東電は従来WHOに甲状腺被曝量100mSv以上178人(最高11,800mSv)としていたが、セシウムからの推計で甲状腺被 曝量100mSv以上が1973人いると公表。

セシウムホットボール

気象研究所(MRI Meteorological Research Institute)が日本の気象研究所の五十嵐康人らはIAEA専門家会議でのプレゼンテーションで2011年3月14日17時頃から2011年3月 16日13時頃までセシウムホットボールが大気中の放出されたと発表。非水溶性・非酸溶性で含鉄のガラス状のものだったためかなり高温であったと推論され る。

東京理科大学の中井泉教授らの研究グループは、福島第一原発の事故直後の2011年3月14日の夜から翌朝にかけて原発から130キロ離れた茨城県つくば 市で採取した大気中のチリを兵庫県にある大型の放射光施設「スプリング8」で分析した。その結果、放射性セシウムのほか、ウランや燃料棒の素材のジルコニ ウム、圧力容器の素材の鉄など、核燃料や原子炉内の構造物と一致する物質が検出されたということです。これらのチリは直径2マイクロメートルほどのボール 状をしていて、高温で溶けたあと外部に放出されるなどして急に冷えた場合の特徴を示している。

NHKは冷却不足説を紹介したが、この時期はたまたま福島3号機が爆発したのは2011年3月14日11時01分でこの高温が崩壊熱と酸化熱だけだったの か再臨界によるものだったのかは不明。その後、2011年3月20日、21日に採取したものは水溶性だったという。

3号機は格納容器の蓋が飛んでいないから核爆発ではない(水素爆発ということ)として再臨界は東海村の臨界事故に見られる如くありうる。核物理学者の森永 先生もありうるといっている。NHKが採用した説は再臨界説は民心をいたずらに攪乱するとして排除してベント管に溜まったものが噴き出たことにしている が、再臨界説もガラス球のなかにウランやプルトニウムが溶け込んでいるというので(公開された気象研究所のスライドはマスキングして見えないように工作し ている)すててはいけない。

軽水炉事故ダ イナ ミック・シミュレーター

福島原発メルトダウン

石棺の福島

石棺を越えて

ヤブロコフ・ネステレンコ報告

原子力から再生可能エネルギーへ

グローバル・ヒーティングの黙示 録 ー政策研究所・マスコミの一歩先を行く予測

原子力村紳士録ー福島原発メルトダウンのA、B、C級戦犯ー

原子力へ

to Fukushima Meltdown

March 11, 2011

Rev. October 27, 2015

 


トッ プページへ