上野の美術・博物館めぐり

2014年

2014年5月10日(土)、友人T.H.と上野で久しぶりにデートした。いつものように上野精養軒で生 ビール、カレーライス、コーヒーで2時間、久しぶりに小保方博士と理研の確執について激論をたのしんでからの美術館めぐりであった。本件に関する私の立場 は「地に堕ちた理研」に書 いた通りだ。

科 技族は17兆円の研究予算をもち、その予算の恩恵にあずかる国立研究所の理研では理研バブルが生じている。たとえば理研がスパコンに巨額の予算を投じても 国の研究所である限り何の成果も生まないだろうと予想したのに案の定なんの成果を生んでいない。にもかかわらず、小保方切りに奔走するのは批判をかわした いためか。

さてお目当ての「栄西(ようさい)と建仁寺」にはその量に圧倒された。


2014年10月18日(土)、再度、友人T.H.と上野で久しぶり にデートした。いつものように上野精養軒で生ビール、カレーライス、コーヒーで2時間。

話題はベクテルや千代田など米国型エンジニアリング企業とMHIなどの日本型メーカーの違いであった。エンジニアリング企業は自社内の機械製造部門を持た ず、設計と建設監督を行い性能保証する企業だ。日本型メーカーは何でも社内で製造することしかできない企業だ。米国型エンジニアリング企業は身軽にグロー バル化に適応できたが、日本型垂直統合型製造業は海外プロジェクトで赤字を解消できず撤退した。日立、東芝、IHI、NKKは エンジニアリング部門は縮小してしまっているし、家電部門もうまくいっていない。原子力部門は安全対策のみといったところ。防衛産業としてかろうじて生き ていたMHIもいよいよ苦しくなって日立と蒸気タービン部門の合併に合意した。これに比べ、米国 式メーカーであるGEは家電部門などスエーデンのエレクトロラックスに売却し、大型ガスタービン・コンプレッサー、BOPなどエネルギー産業を支える大型 機械メーカーを買収して特化して独占メーカーとなり、世界を相手に売り手市場で利益を上げている。

あとはなぜ日本国内に長距離パイプラインというインフラが未整備なのかという議論に向かった。馬鹿げた規制に因るコスト高もあるが、成田パイプラインは 短距離配管なのであまりクローズアップされなかった。専門家に依る審議会でのお墨付きは官のお得意なやり方だが、その委員に選ばれたくて官僚シナリオの内 容を糾す事もせず“異議なし”と言ってお追従する御用学者の罪は重い。石油資源開発が進めた新潟−仙台間パイプラインプロジェクトでは規制・Right of Way問題両方で5年余の工事期間・欧米の6〜7倍のコスト高となり、業界内では少し騒いだようだが継続した興味は消えてしまった。

T.H.は東ガス・石油公団・ガス協会の人と意見交換したことある。その時の彼らの意見は、ガスパイプライン網整備政策を押し進める力が弱く(市場地域を 限定されていたガス・電力業界は広域パイプライン網整備は当初あまり興味無かった)、Right of Way確保のための土地取得が非常に困難と言った障害が多過ぎたため、元々そのようなエネルギー長期ビジョンを持っていなかった政・官は広域ガス供給シス テムを進める努力をしなかった。自民党にとっては地方LPG 業者保護と言う事も大きく作用したようだ。こうした状況下で、土地取得のための法改正は進まず、パイプ敷設工事規制強化等の広域パイプライン整備阻害要因 が膨れ上がった。今の政治家・官僚にこれらの阻害要因を克服しガスパイプライン網整備するガッツがあるとは思えない。

住友商事などが米国のシェールオイルで巨額の損失を出したことも話題になる。社内に評価できる人材を抱えずに闇雲に金だけだうとこういうことになる。

さて今回はボストン美術館の北斎コレクションを上野の森美術館で見せてくれるというものだ。約50分の待列ができていた。

3つ発見があった。一つ目は「冨獄三十六景 神奈川沖浪裏」は駿河湾から北に見上げる富士山と勘違いしていたが、横浜にある神奈川沖かもしれないと気が付 いた。もしかしたら七里ヶ浜から西に見える富士かもしれないが、当時神奈川県は相模であったから違うのだろう。



冨獄三十六景 神奈川沖浪裏 wikiより



二つ目は同じく「冨獄三十六景 深川万年橋下」の向うにある富士山の手前に横に流れる川は隅田川で万年橋の右の 袂に芭蕉が住んでいたいたことになる。

三つ目はいままで全く見たこともない「七里ヶ浜ヨリ腰越ヲ眺望」という絵だ。牛に乗ってキセルを使う図は珍しい。思わず画集を買ってしまった。

狂歌が二つ

我やとは黄 かねの亀に鶴か岡 蓬莱山もよそならぬ春      鹿寿庵蝠磨

江ノ嶋を霞 もしきる去年ことし 行合川に春や立ちラム       秋長堂


知の逆転」を薦めら れたので藤沢で購入して帰る。

2014年11月28日(金)、 友人T.H.と久しぶりにデートした。いつものように上野精養軒でボジョレ、サラダ、カレーライス、コーヒーで3時間。東京国立博物館の国宝展が目当てで あったがウィークデーにも関わらず90分待ち。行列は殆ど後期高齢者。待っている間、日本の現状を大きな声で論じていたためか、待ち行列の中にいた 中国からの留学生だという若い男に、明日のゼミは「安倍さんが国会を解散して選挙に打って出た理由は何か」というテーマなのだが、あなたはどう思いますか と聞か れた。「それは人気があるうちに選挙で勝って、その後の数年間好き放題やりたいからだと思うよ」と答えたら、面白くなさそうな顔をしていた。「安倍さんは ほんとうは中国と戦争したいと思っているかも」という言葉がでかかったが飲み込んだ。

国宝展に来た理由は福岡市博物館所蔵の国宝の金印だった。「漢委奴国王」の五つ文字からは、漢の皇帝が委奴国王に与えた印であることが分かっている。そし て中国の歴史書『後漢書』には、建武中元二(57)年に、光武帝が倭奴国王に「印綬」を与えたことが書かれており、この「印」が志賀島で見つかった金印 だ。念願かなって観ることができた。「百聞は一見にしかず」これで2000年間の日本史を我がものにしたという満足感ができた。先に質問した中国からの留 学生もこれを見たかったのかな。

May 12, 2014

Rev. November 29 2014


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