石炭火力の復活

 


2007年に「グローバル・ヒーティングの黙示録」の「改訂マルケッティ・ナキシェノビッチ・ダイヤグラム」で予測したように石炭がカムバックしてきた。


改訂マルケッティ・ナキシェノビッチ・ダイヤグラム

このダイアグラムは2008年の年賀状にもつかって石炭の復活を予言している。

無論、原子力が福島第一の事故で止まり、その影響もあってLNG価格が上昇したこともその影響を早めたこともあるが、石炭への傾斜は本質的な傾向であると考えてよい。資源的にこれしかないのである。

資源的に豊かにあるということはローコストになり「Hidden Cost of Nuclear Power 」で試算したように石炭火力が一番安いし、負荷追従に使えるため、再生可能エネルギーのバックアップにも使えるからだろう。

2013年7月東京電力が火力電源入札の仕組みを通じて最初に行った2.6GWの入札には中部電力と東京電力、J-POWERと新日鐵住金の2グループが各1基の石炭火力発電所の建設を落札し、2020年からの計0.68GW分の売電に向けて既に新会社が動き出している。

1970年代までは 関西電力は大阪府や兵庫県の沿岸にあった石炭火力発電所を廃止してから長らく火力発電は石油とガスのみであった。2004年に舞 鶴1号機(0.9GW)を、2010年度に2号機(0.9GW)を稼動させた程度であった。

2014年4月11日には、関西電力は前回の不足分約2GWと今後のリプレース分を合わせて新たに6GW相当分の入札をすると発表した。これらの火力建設 ラッシュに関心を示す企業は少なくなく、東京電力の事前説明会には78社、関西電力には41社、東北電力と九州電力にはそれぞれ30社以上(東北電力と九 州電力は自社応札を含む)が参加したと伝えられる。これらの計画が、価格面から石炭火力発電として進められれば、日本は石炭ラッシュを2020年以降迎え ることになる。

Jパワーと大阪ガス、宇部興産は山口県宇部市に3,000億円を投じ、0.6GWx2の超々臨界圧(USC)高効率の最新発電方式を採用して二酸化炭素の排出を抑える。2基目は25年ごろの運転開始を目指す。

2015年3月末に、関西電力は2021〜23年度から原則15年間需給する電力1.5GW相当の入札募集を行うと発表した。

2015年3月には関電と丸紅が秋田県で3,000億円を投じ、1.3GWの大型石炭火力を建設し、20年代前半に首都圏で売電することを企画している。

以上すべて電力自由化の論理的帰結である。国際政治的には戦勝国連合である国際連合の人為的温暖化説のトラの威を借り、原発を人質にしてエネルギーのベストミックスなどを決めてコマンディングポスト(203高地)を確保しようとしていた経産省の役人は電力自由化 を許した途端に権力を失ったようにみえる。政府の役人達は国連のトラの威を借りて内向きに威張りながら自由化という資本 主義と戦うつもりなのか?でも資本主義をつぶしたらアベノミックスも潰れるのではないか?もしかしたら役人の敵は本能寺にあるのか?

二酸化炭素の影響よりも太陽エネルギーの反射率に影響を与える海洋循環の影響の方が大きいとい う反証もあるのだが。

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March 12, 2015 


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