エネルギー工学連携研究センター(CEE)

第28回CEEシンポジウム

超中期のエネルギー需給解析の課題

−定量分析の意義、課題と解決−

2017年8月30日

東京大学生産技術研究所 コンベンションホール

 

今日、東大エネルギー工学連携研究センターのシンポ「超長期のエネルギー需給解析」に出席したが、超といっても30年後の2050年までの予想だ から、何も驚くようなことがあるわけではない。家など一旦つくってしまえば50年は使えるので壁の保温効果悪いままだから灯油が売れ続けるのはあ たりまえ。石油経営者はこれが永遠に続くと錯覚する。

エネルギー総合工学研究所の部長にして、生産研の客員教授の能天気な研究者は需要、燃料価格、効率、1年分の日射変化、風況変化を入力と し、再生可能ネルギー設備上限値、炭素排出量を制約条件、discount cash flowを目的関数とする線形計画法を使って最適解を計算し、原発は再稼働させて、負荷変動運転に使うのが最適なんて 答えをだしている。このとき、再生可能ネルギー設備上限値を制約条件にするのは二酸化炭素を制限するというパリ協定の目的に反する行為ではないか?むしろ 制約条件の好きな官僚の思考形式を捨てて 再生可能エ ネルギー設備の上限値を定め ず、バッテリーをシステムに加え、もし発電量が需要と蓄電可能量を越えたら損失とするモデルや家庭向け蓄電機能をもった再生可能エネルギー利用の増加によ るオフグリッド利用技術の普及で、電力システムの売り上げが減少するモデルも実験すべきだろう。この能天気な研究者はエリート官僚の顔色をうかがって再稼 働が適切と いう答えがでるような結論を出したとしか考えられない。いくら官の研究所とはいえ、20%のエネルギーを原発からというシナリオを書くエリート官僚の顔を うかがう 学者の姿勢は興ざめだ。再稼働ありきなのだから中古原発の建設費としては電気事業連合会の昔の安い建設費を使っているのはまちがいない。原子力規制委員 会の検査に合格するためにする2兆円を超える追加投資(聡投資額の10%)は入れているのかどうか?無論、事故補償や福島の住人が戻らず、過疎化した損失 事故のリスクマネーは入れてないことは確実だ。北海道ではPWRだが、それを毎日停止 したり、再稼働したりという原子炉がとてもできないことをさせて平気でさせているのも解せない。原子炉は再スタートは燃料棒に溜まっているキセノンが中性 子を吸収するのですぐには再スタートはできないのだ。こんなインチキをして民を欺いていたら日本は再生可能エネルギー利用に完全に乗り遅れるだろう。

東大ってなにやっているのかというとこんなバカなことをしている。むしろ東京電力パワーグリッドの副社長の方が一皮むけて先を行っている。自由化がもっともインパク トが大きく、人口減も大きい。日本の60%の地域で人口半減し、電力ネットワークにとっては厳しい。結局分散化にあるだろう。今の電力はkWhナンボで うっているが、再生可能エネルギーが増えると負荷調整ΔkWで売ることになろう。そして最後は電力ではなく電力をつかったサービスを売ることの可能性もあ るという。

業務・家庭部門の電力消費は増加傾向である。まず断熱性能の低い家屋が多く、それらが50年という耐用年数をもっているので、なかなか省エネにはならな い。独身者世帯の一人当たりのエネルギー消費は高いにもかかわらず独身かていが増加。食器洗い乾燥機の普及が原因。 ソーラーパネル設置のためには高層ビルよりフラットな街が適している。都市計画・土地政策もかえなくてはならないという見解は新鮮であった。アメリカでは イーロン・マスクが瓦型のPVを商品化した。裏側からの空冷ができないので温度が上昇して効率低下が難しいようだ。空家の有効利用が大切。

素材産業部門の省エネはもう限度である。パリ協定の気温2℃上昇のためにはCCSが条件だがその実現の目途は皆無。

運輸部門はカーシェアリングで少しは省エネになる程度。EVが大きな省エネになる。

GDPとエネルギー消費の相関はサービス産業に移行するにしたがい弱くなる。

インターネットが消費している電力は全体の2%。人間の脳は20%を消費している。したがって、まだまだインターネットは20%に向かって増えるだろうと言うのは面白かった。


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