先端エネルギー変換工学寄付研究部門(AECE)

第12回技術フォーラム

エネルギーを取り巻く課題と今後

東京大学生産技術研究所コ ンベンションホール

2014年 6月14日

 

久しぶりに駒場の生産研にでかけた。梅雨というのに空はカラッと晴れあがり、八王子方面の空には巨大な積乱雲が発生している。小田急線を追っかけて稲妻と激しい雨 足が襲ってくるのが車窓から見える。雨具を忘れたため、気が気ではなかったが生産研究所に駆け込むのと驟雨がおそうのは同時だった。

以下率直な感想を述べる

福島原発事故に学ぶ 畑村創造工学研究所代表・東京大学名誉教授 畑村洋太郎

失敗学をはじめた畑村氏の話は初めてだったが、多分発想が私と同じため、全く同感という感じで聞いた。結論がはじめにでてくる。私もよく使 うカエサルの言葉「人間ならば誰にでも、現実の全てが見えるわけではない。多くの人は自分が見たいと欲するものしか見ない」が事故原因だとした。東電も、 政府も地元も地震までは考えたが、その先の津波までは考えなかった。したがって何の対策もしなかった。そして想定外ということばを免罪符に使う。政府は規 制委員会に多少手を加えて安全はそこに丸投げして津波までは考えているがその先は何も考えない。だから福島になにも学んでいない。「個の独立」と「情報共 有」ができる社会にならないと事故の再発防止はできない。このままOKというわけにはいかない。米国やフランスはこれができているが、日本には欠落した要 素だ。今後、事故に懲りた世代が死んで、なにも知らない世代になれば日本でも原子力という声が優越する時代が来るかもしれない。そこで個が死んでいる社会 なら福島は繰り返される。現に重大事故は大体30年で繰り返される。畑村氏は「個の独立」と「情報共有」ができる社会しか必要条件として上げなかったが、 社会がそのままで教育で変えられるものではない。法の支配の問題は悪法であり、法律家の支配になってしまう。規制の代わりに処罰が必要となる。ヴォルテー ルが指摘したように「かっての英国海軍のように時折提督を銃殺する必要がある」のだ。

エネルギー基本計画の概要 資源エネルギー庁総合政策課戦略企画室長 佐々木雅人

この「高給」役人は畑村洋太郎の指摘を知ってか知らずか、原発事故被害の可能性のある地元自治体をあえて無視して、立地自治体の理解と協力 で再稼働できると規定したあの悪名高い「エネルギー基本計画」の説明は言語不明朗で全く理解不能。何を考えているかをわからないようにして疑問も出ないよ うにしておく のが保身なんであろう。まさに「個の独立」なんてさせない魂胆。役人からみて「民は愚かにしておくに限る。なまじ考えられたら厄介だ」ということなのだろ う。原子力と石炭火力がベース電源としたのは報道されていたが、あきれたことに、水素エネルギーを電力に次ぐ二次エネルギーに育てるという空虚な言葉がで てきた。これは役人の典型で継続は力なりを実践しているにすぎない。先輩が日本を月面と混同したのが間違いの元。自動車野郎からみれば、純粋水素を700 気圧のボンベにつめてもらえれば有機膜の燃料電池が使えて便利だろうけれど、水素をこれだけの圧に圧縮するならば鉄触媒を通せばアンモニアになり、LPG と同じ液体燃料になり、レシプロエンジンが使えるわけ、水素がいかにばかげた二次エネルギーかはわかるはず。トヨタの開発者はその愚に気が付いていて、ア ンモニアエンジン自動車をだせるよう試作はしている。しかし資源エネルギー庁はそういうことを全て知っていて も、水素より有利な二次エネルギー産業を育てる気概が欠けている。カルフォルニア州では水素燃料自動車を歓迎するというのでトヨタのFCVを輸出させたい からミミッチイ支援をしているとしかみえない。日本を実のあるエネル ギーシステ ムの世界のトップランナーにするという気はなく、一企業の支援しか興味はないのだろう。たしかにトヨタが法人としておさめる税額は大きいかもしれないが、 FCV開発に賭けるのはいささかリスキーだ。もう一つペテンの政策は核分裂物質の無害化の研究のために「もんじゅ」を使うというもの。これは錬金術のよう な意味のないものにもかかわらず無 知な民をだまして、税金を湯水のように使いたいという我欲からでた政策にすぎない。ツルが何やら高価な織物を仕上げるという神話を悪用して「私がしばらく こもるこの部屋は絶対開けないでください」と言いながらその部屋のなかで「早く払い込め!」と携帯電話をかけているサギ(師)に似ている。

技術革新こそすべての鍵 東京大学生産技術研究所特任教授 金子祥三

オバマの石炭火力戦略の解釈は明解なものであった。これはむしろ資源エネルギー省の役人から聞きたかった認識だ。オバマの戦略はシェールガ スを手 にしたアドバンテージをつかって中国の製造業の競争力をそいで米国の製造業再構築する戦略である。そのために石炭火力の効率を高めても達成することのでき ない石炭火力の二酸化炭素排出量を500g/kWh以下に規制することにしたことだ。天然ガスなら容易に達成できる数値石炭の場合はCCSなしには達成不 能な数値なのだ石炭に依存するECはそのような規制はしないとしている。資源エネルギー庁は石炭火力を原子力とならぶ重要なベース電源と定義したが、オバ マ政策とどういう整合性を計るつもりなのだろうか?日本がクソ真面目に京都プロトコルに忠実だったころ、米国はこれを批准しなかったのだから今更心変わり してもevenなのだ。安倍首相が集団的自衛権と交換で妥協するような過ちを二度としないようにし てほしいものだ。

海洋エネルギー産業と長崎県 長崎県副知事 石塚孝

長崎県が日本一の海洋面積を擁している。そしてそれは国境の海域。島人口は減る一方で国境の海を守るには海洋エネルギー開発しかない。風車 立地の北海道も僻地だが、長崎も僻地。おなじく国境のクニだ。長崎に土地はないが島が多い。島の人口がどんどん減っている。これがゼロになると尖閣列島の ようになってどこかのクニに乗っ取られるおそれがある。「この恐れを盾に、中央政府をゆすって金をせしめ、風力と潮流発電に投資して人口減をとめようと長 崎 県がもくろんでいる」と書いたら長崎出身のH氏から「長崎県五島での太陽光発電計画を国の弱みに付け込んだ事業と、悪しざまに言っているのはおかしい」と ク レームがきた。副知事は海洋エネルギーについて言及したのであって太陽光は関係ない。そもそもFIT制度下では住民負担になるのだから何をかいわんや。それより中央の利益誘導をしている副知事の石塚孝がどういう人か調べると茨城県出身。 東京大法学部卒業後、旧建設省に採用され、岐阜県都市住宅局次長、国土交通省大臣官房調査官だった人で内閣官房地域活性化統合事務局参事官などを歴任した 天下りだと判明。エネルギー専門家ではない。立場上、地元への利益誘導として国家予算を獲得するのが任務と心得ていてその意欲たぎらせて話すので見苦しかった。長崎県もそういう 利益誘導はうまい?地方自治法では副知事は「知事を補佐し、その補助機関たる職員の担任する事務を監督する特別職ということになっている。中央のキャリア 官僚 を副知事とする例がまま見られるというし、福島県の相馬市で不祥事を起こした副市長は国が地方に押し付けた官僚と聞いた。この国はいまだに中央から派遣さ れる代官によって統治されているようだし、地方も利益誘導の便利な人間と利用している。

福島第一廃炉の現状と原子力発電所の安全対策等について 東京電力取締役・執行役員副社長 相澤善吾

現状説明は全く言語言語不明朗で理解できなかった。誠心誠意これつとめますという戦前の軍部の精神主義を繰り返すだけ。そして確率論的リス ク分析能力を高 めますと念仏を唱えている。まったくなにも学んでいない。そもそも執行役は株主代表訴訟の当事者になる必要がないという無責任なポジションなのだ。経歴を 見ると、原子力畑出身ではなく、東大工学部機械卒業後火力部門でコンバインドサイクル発電の担当だったという。それならもっと歯切れよく説明できたと思う のだが。

清掃工場の発展と課題 〜いかにして効率を上げ、公害を無くし、住民との協調をはかってきたか〜 東京二十三区清掃一部事務組合中防処理施設管理事務所長 河西 朗

住民との協調が一番大切ということ。

June 16, 2014
Rev. June 18, 2014

トッ プページへ