震災支援

2016年4月中旬、熊本を中心とする地溝地帯で地震が発生し、2週間揺れ続けている。いつ倒れるかわからない自宅から公的避難所に逃げても、そこも天井が落ちてくる危険性があるため、ほとんどの避難者は自家用車で寝泊まりし、エコノミー症候群で命を落とす人もでている。

行政は家を失った人のために空き家を斡旋したり、空き地に仮設住宅を建設しようとしているが、これには時間がかかる。

5月に入る頃、TV朝日の番組で総社市の運動場に出現したコールマンの大型テント村をみた。登山家の野口健氏が2015年4月25日のネパール大震災の 時、「ヒマラヤ震災基金」を立ち上げたら日本中から寄付金が集まり、その基金でとても多くのテントを作り、多くのシェルパ達が暖かい夜を過ごせた経験から、 お返しにと今回「熊本地震テントプロジェクト」を立ち上げ、テントの提供に立ち上がったという。中で立って服を着かえられるという。番組をみているとテントでは雨がふれば寒いし、日が照れば暑い。

山梨県内で自然体験施設を運営しながら、被災地への支援活動も続けている清水国明氏がアメリカなどで災害時に活用しているトレーラーハウスやキャンピング カーが有用だと訴ている。そして備蓄しているトレーラーハウス10台を被災地に届ける活動をしていると明かした。清水国明氏は東日本大震災の被災地に何度 も通って被災者に聞いた結果、本当に必要なのは、「金」と「家」だということを痛感したという。しかし、仮設住宅は、時間とお金がかかるなど無駄が多すぎ ることに気づいた。アメリカのようにトレーラーハウスを全国に備蓄して、通常はレジャー用などに使い、震災時にそれを仮住まいにすることを清水さんは唱え ている。空調も設備されているし、これからはこれだと思った。仮設住宅にかえてトレーラーハウスを家の壊れた人の敷地内で使えるように無償レンタルすることを考えたらどう かと考えた。

国交省は東日本震災後、車体の長いトレーラーハウスに対し、車検上の基準緩和を行い、特殊車両の通行許可を取れば、国道などを走れるようになった。しか し、トレーラーハウスを使う動きは、日本ではあまり進んでいない。ようするに行政が特殊車両の通行許可が必要としてトレーラーハウス普及のジャマをしてい るのだ。

行政はいまだ昭和22年にできた支援法にしがみついて仮設住宅をどこかのグランドに建ててはつぶして粗大ゴミを出すことを繰り返している。にも拘わらず中 国のぼっ興に危機感を覚えた国民の動揺にかこつけて9条を変えたいといい、それが無理そうと分かると震災に動揺する国民の感情に悪乗りして非常事態法を憲 法に書き込む必要を広告会社を雇って宣伝している。ナチなみの独裁をやりたがる政府・行政にはあきれている。

元エルサルバドル、ホンジュラス大使だった某氏が「現憲法は敗戦時米国に押し付けられた屈辱的な憲法だから改正する必要がある」と安倍首相と全く同 じことをいったのを直接聞いた。私は「屈辱的な憲法だから改正する」 というロジックは安倍首相の感情から出た言葉だとばかりおもっていたが、どうも震源地は外務省のようだ、日本政府の政策は民主党になろうが自民党になろう が大して変わらない。よく「日本国は官僚に乗っ取られた国家だ」といわれるが、「役人にとって屈辱的な憲法だから改正したい」という意味ならロジックは 通っている。

5月中旬に久住・阿蘇山への旅を予定し、航空機の切符も手配したが、半月経過しても震度4クラスが継続していた。強行しても旅は可能なので、現地にでけけることが震災後の復興支援なると主張したが、メンバーの気分は中止に傾いた。中止して浮いた資金を寄付したらどうかという案が出た。

数年前までは私はユネスコに寄付していたが、その寄付金のかなりのものがユネスコの内部機構で消費されて、末端には行き着かないとの報道に接して、不快感 を覚え、献金をやめた。東日本震災にも日赤に献金したが、半年経過しても金庫にたまったままどう配分するか小田原評定しているとの報道に接し、以後公的な 献金機構には決して献金しまいと誓い、グリーンピースに献金する程度にしている。

熊本に関しては登山家の野口健氏の基金に献金を検討したが、民間なんか信用できないという声が出た。これこそ官尊民碑の思想以外の何者だろうか。ジャック・アタリの「21世紀の歴史」 からみれば官僚主導を良しとする日本は世界ではますます沈む予感がする。無論、道で立ちんぼしている寄付などあやしいが、これは総社市が受け入れたものな のだ。とはいえ、そろそろテントの役目は終わるだろうと読んで、献金はやめた。曽野綾子も民間援助団体を主催しているようだが、保守思想の主で偏向していてとても付 き合いかねる。というわけで献金先がない。

May 4, 2016


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