坂東巡礼

予備調査第3日

2006年2月5日に坂東三十三ヶ所観音霊場の5番札所飯泉観音から7番札所金目観音まで巡礼をした。Wakwakグループのクリさんに同伴をお願いした。8:15JR鴨宮駅出発、1時間の休憩をのぞき正味7時間かけて20`を歩き 、金目観音経由16:10伊勢原駅に到着した。 平均時速3kmであった。ゆっくりと景色を楽しみながら歩いたので予定の5時間38分より大分時間がかかった。しかし前回のように足が痛くなることはなかった。 普段使っている短靴と靴下が良かったようだ。

紫色のルート   点線は古巡礼路

真新しい巡礼街道の道標

生沢の谷戸川沿いの山道

雪のレイクウッドゴルフコース

出羽三山供養搭

金目観音

電動グライダー、背景は大山

8:15にJR鴨宮駅集合。1km飯泉観音に戻るのもめんどうなのでそのまま巡礼街道を金目観音に向かって歩き始める。といっても前回来た道を二宮まで戻るのだ。

巡礼街道は並木も歩道も整備され格段にきれいになっている。あまつさえ真新しい巡礼街道と彫りこんだマイルストーンまで作ってある。 飯泉観音の方角をみれば箱根の明神ヶ岳がそびえている。奈良時代にそういう景観を考慮したであろうことは読み取れる。

前回は車坂の史跡で阿仏尼の歌を紹介したが今回は吾妻鏡にある源実朝の歌を紹介しよう。

「浜辺なる 前川瀬を逝く水の 早くも今日の暮れにけるかも」

雨で増水した川を渡れず一日を浪費した感じがでている。

平安紀行にある太田道灌の歌は

「鳴神の声もしきりに車坂 とどろかしふるゆふ立の空」

これは急な雷雨を歌ったものだ。

吾妻山の登山口には吾妻神社の石碑と赤い鳥居がある。

トイレが必要となりJR二宮駅前の喫茶店でコーヒーを注文し、用をたす。大化の改新でつくられたという国府跡にある六所神社の前を通り、国府新宿交差点で相模原大磯線に入る。この先レストランもありそうにないので11:10で少し早いがバーミヤン大磯インター店でマーボ豆腐の昼食とする。 くりさんは白馬登山の帰りの食した焼きねぎラーメンを選んだ。

生沢の水田地帯に入ると歩道がなくなって東海道新幹線と小田原厚木道路に並行して山裾を巻く相模原大磯を高速で走行する車がわずらわしくなってきた。相模原大磯線を歩くことを断念し。高取山(219m)を右手に見ながら巻いて登る山越えの道をとることにした。西生沢交番から左折して谷戸川沿いの山道に入る。よそ者の入り込まない桃源郷のようなところだ。クリさんが路傍の野草を観察している。どこの水田の土手にもある”ほとけのざ”などだ。まだ蕾の段階だ。やがて昨夜降った雪道となる。

丘の上はレイクウッドゴルフクラブのコースが我々の行く手に横たわっている。地図をよくよく見ると、コース造成前からある道は通れそうと判断してそこに行きそうな道に入る。案の定、ゴルフプレーヤーは古道の上にかかった橋を渡って行く仕掛けになっていた。東アウト9番のクラブハウスに向かって打ち下ろすティーグラウンドに立ってクラブハウスの方向を見ると 真っ白な富士山と雪のない金時山が左に見事な姿を見せていた。ティーグラウンドやグリーンは雪に覆われており、足跡もないので日曜日に関わらず本日は営業していないようだ。

丘の上からは東海大学の巨大な湘南校舎群が遠望できる。上吉沢の山沿いの下り坂道を転倒しないように注意しながらバス停「山入口」まで下る。バス道をバス停「山の神」まで歩き、再び左折して古道をゆく。アスファルトもなくなった道を行き、建設中の道に出てこれを北上すると千須谷で路傍に出羽三山供養搭というものを見つける。説明版に谷戸の水田は旱魃に弱く、1806年の旱魃に苦しんだ千須谷村の代表3名が月山、湯殿山、羽黒山の三山参りをしたところ雨が降ったということでこの供養搭を建てたという。その後も旱魃毎にこの前で念仏を唱えることが最近まで行われていたという。この供養搭には「かないみち いいつみみち」とかいてあり、金目観音と飯泉観音への道標も兼ねているという。

山越えの道が古来の巡礼道であることがこれで確認できた。そーゆう目で地図をよくよく見れば、この古道はレイクウッドゴルフクラブを横断した後、虫窪を横断して吾妻山の東側を通る吾妻二宮線につながっている。(紫色点線のルート)やはり昔の人は山越えのルートがお好みだったようだ。

あとは寂静寺の脇を通って金目川にかかる観音橋を渡れば金目観音だ。 おなじみの正方形の建物を赤い幟で飾っている。ささやかな喜捨をしてお参りをする。

法伝寺脇を通って農道を斜めに相模原大磯線に向かう。鈴川手前の水田で無線操縦の模型飛行機のフライトを楽しんでいる一団を見つけ、立ち寄る。翼の長さ1.5mはありそうなグライダーでバッテリーでプロペラを回して高度を上げ、モーターを止めればプロペラは折れ曲がって空気抵抗を減らし滑空する仕掛けになっているという。上手くサーマルをつかめばかなり長いフライトを楽しめるという。離陸はプロペラをまわしておいて手で投げるのだそうである。着陸は車輪もなく胴体着陸である。デジカメを搭載して写真を撮影する人も居るという。大山を背にした広大な水田地帯である。近くではエンジン機を飛ばすグループもあるという。

大畑橋の東側に建設中の橋を渡り、相模原大磯線にそって円徳寺、金剛頂寺などの脇を通って小田急線に行き当たるまで北上し、線路にそって伊勢原駅に向かう。駅前の食堂で生ビールと餃子で乾杯後、小田急で帰宅。

ところで上のルート図に二つの断層線が走っているのが明瞭に見て取れる。

(1)平地と丘陵地帯の境となっている松田、大井、国府津を結ぶ神縄・国府津ー松田線

(2)七沢温泉、伊勢原、高麗山を結ぶ伊勢原線

である。箱根山を乗せる伊豆半島が本州に突入し、押されて出来た皺が丹沢山塊で、山塊の前後に断層ができたという歴史が見てとれる。

データ

場所 時刻 歩数(歩) 距離(km) 平均時速(キロ)
JR鴨宮駅 8:15 0 0

-

JR二宮駅 10:20 8,181 9 4.5
小田急伊勢原駅 16:10 30,000 20 1.8

持参したもの:東京地図出版刊、全神奈川10,000市街道路地図帖、アールグレイを入れたテルモス、ミカン、チョコレート。

February 6, 2006


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