富士山周辺

三ッ峠山・黒岳縦走

wakwak山歩会の2004年初の登山は三ッ峠山(1,785m)から黒岳1,793m)への縦走となった。富士山展望の頂として名高い三ッ峠山は、開運山(1,785m)を最高点に御巣鷹山(1,775m)、木無山(1,732m)の3ピークの総称である。登山客が夏場より冬場の方が多いと言われるほど、空気の澄んだ冬季には富士山を撮るカメラマンで賑わうという。 今回は、富士展望と日の出拝望を目的にして、山頂近くの山小屋泊とした。二日目は、積雪や天候次第で黒岳まで縦走する。万一天候不順の時は途中の御坂峠で下山するか、天上山→ロープウェイ→河口湖→タクシーで車を回収か、そのまま帰る、の3案を用意した。

第1日

いつものように小田原駅に集合。マーさんの車で河口湖に向かう。国道245号線走行中、大野山の坊主頭の山頂がチラッと見えた。河口湖北岸の全てのレストランが休業中のため、セブンイレブンで弁当を買い、駐車場で昼食。正午きっかりに新御坂トンネル出口に到着。黒岳からの帰路の便のため車はここに駐車し、旧御坂トンネルに向かって車道を歩く。雪は日陰にほんの少々残っているだけで全く無いに等しい。

三ッ峠登山口から林道に入る。一般車は通行止めである。しばらくゆくと、ナンバープレートのついていない中古のジープが何台か駐車してある。中には大きなプロパンボンベを積んでいるジープもある。後でわかったのだが 、山小屋の荷物運搬用であった。登山路は北側の斜面についているのでずっと日陰で見晴らしは良くない。登山中は御巣鷹山とおぼしき峰にある無線中継アンテナが見えるだけである。凍結したジープの轍の残るジープ道を登ってゆくと、タイヤにチェーンを巻いたジープが一台急斜面をゆっくり下ってくるのとすれちがった。若い男が運転している。約3時間かかって宿泊予定の四季楽園に到着。(Hotel Serial No.273)四季楽園のベランダからはロッククライミングの練習場となる高差100m、幅200mの屏風岩が正面に、下界には中央自動車道が見える。四季楽園に荷物を置き、NHKの富士山撮影用の固定カメラや電波反射板のある開運山頂上を往復する。富士山はあいにく雲の中だった。

開運山直下の屏風岩とカモシカ

四季楽園に帰るとカモシカが1頭、ベランダの下に現れて逃げもせず枯れ草を食べている。八ヶ岳でもカモシカに出会ったが、アットいうまに林の中に消えてしまった。今回はよく観察できた。ツノも2本ついている。かなり肥っていて豚かイノシシのようだ。

四季楽園には元旦に150人が宿泊したそうであるが、今日6日は我々4名だけだとおかみさんは言う。先ほどすれ違ったジープは彼女の息子とか。我々のために小屋を開けたのだろう。おかげで山小屋とは思えない馳走にありつけた。三ッ峠山頂直下には山小屋が3軒あるが、今夜は我々だけのようだ。山小屋には電力もきている。水は不凍の泉からポンプで自動的にくみ上げているという。洗面所の水洗をひねると温水が出るが、これは凍結防止の電熱ヒーターが効きすぎるためのようだ。石油ストーブを焚いてもとに角寒い。コタツ周りに布団を敷いて7時には寝てしまう。

第2日

5:30起床。朝食後、6:40小屋を出て木無山の方向に移動。日の出はあいにくの雲で見えず。富士山は全容を現したが、朝日に輝く姿はみることはできなかった。西方には遠くに南アルプスの全容が見える。今年9月に予定している赤石岳もバッチリだ。その手前に今日縦走予定の御坂山と黒岳の山並みが一望できる。右手に目を向けると遠くに奥穂高を中心とする北アルプス、そして八ヶ岳連峰が見える。八ヶ岳の硫黄岳より北の山並みは山脈が曲がっているため横岳の影に隠れて見えない。

7:15に下山開始。途中3名の登山者とすれちがう。山道につけられたジープの轍は凍結しているが、溝が深くよく腹をすらないものだと感心する。山の北斜面はかって植林したとおぼしきカラマツなどの枯れ木・倒木が多く、荒廃した雰囲気がただよう。

木無山近くより黒岳と御坂山を望む(遠くに南アルプス連峰)

三ッ峠登山口まで585m下る。三ッ峠登山口から天下茶屋まで車道を登る。天下茶屋からの富士の見晴らしもよい。天下茶屋は料亭風の瀟洒な建物だ。乗用車でのアマチュアカメラマンが2名。シャッターチャンスを狙っていた。旧御坂トンネルから北側は冬季は通行禁止だ。太宰治の文学碑から急な尾根を登り、縦走路に入る。縦走路は南側も北側も急斜面でミズナラに覆われている。鞍部はかなりヤセ尾根だ。三ッ峠登山口より2時間かけて396m登って御坂山に到着。山頂はブナが少し混じるミズナラの林で眺望は良くないがそれでも、東側に三ッ峠山、東北に昨年10月登った大菩薩嶺、西に黒岳、南に富士山が垣間見える。富士演習場の砲撃演習も音も聞こえる。ここからは御坂峠に向かって降る。御坂峠で単独行の無愛想な若い女性と会う。御坂峠は旧鎌倉往還が通じていた。ここには峠を中心にして東西700m、南北500m規模の御坂城の遺構が残っている。稜線にそってかなり深い塁壕が掘られている。空堀である。古くは国中地方を守る山砦であったが、戦国時代北条氏が甲斐侵攻のために拡大修築したものと説明板に書いてあった。

kurodake2.jpg (19469 バイト)

黒岳山頂で (マーさん撮影)

御坂峠から何度もピークを登ったり下ったりしながら黒岳をめざす。1時間半かけてようやく到着。山頂は御坂山とおなじで見晴らしは良くない。すぐ南面している見晴らし台に移動。風が強いがここからの富士山の眺めは最高。眼下の河口湖と笠雲が良かった。風景をながめながら昼食。急斜面で地図にはロープと書いてあるのが気がかりだが、黒岳の南尾根を河口湖の広瀬方向に向かって下ることにする。実際に下ってみると急斜面ではあるが岩場はない。気温が零下で表土が凍結しているため降ることができた。ただ雨の後など滑ってとても降りにくいだろうと思われる。途中で東に分岐する尾根を車を置いてある三ッ峠入り口まで下るのだ。この分岐点は案内板もなく、落ち葉で踏み跡も消えていて気がつきにくい。晴天で尾根の地形から判断できたが、曇りや霧があったらまっすぐ広瀬に降りてしまっただろう。我々を追い越した若い女性はまっすぐに広瀬方面に降ったのだろうなどと話しながら分岐尾根を下ってゆく。三ッ峠入り口にあるトンネルの排気ブロワーの騒音が灯台の方角を教えてくれる。午後3:00には三ッ峠入り口にたどりついた。黒岳からは793m下ったことになる。

河口湖を前に笠雲をいただく富士山 (黒岳展望台より

河口湖の北岸にある天水という露天風呂で汗をながす。小田原では行きつけの海鮮問屋「ふじ丸」で新年会。(Restaurant Serial No.227)

スケジュールとパーフォーマンス

日付 場所 予定時刻 実時刻 歩数 毎時高度差(m/h) 毎時歩数
第1日、2004年1月6日 小田原駅 西口 集合:9:00 8:45発      
  河口湖で昼食          
  三ッ峠入口(新御坂トンネル出口) 約1,000m 12:00発 12:15発

0

   
  三ッ峠登山口 約1,200m   13:30着

6,700

266

5,360

  三ッ峠山頂 (1,785m)登坂後 四季楽園(泊) 16:00着 16:00着 13,900

234

2,900

第2日、2004年1月7日 山小屋 7:30発 7:15発 0    
  三ッ峠登山口 約1,200m   8:30着 6,100

468

4,900

  天下茶屋   9:00着 7,700    
  御坂山 1,596m   10:30着 9,700

198

1,800

  御坂峠 約1,500m (ここで下っても可)          
  黒岳 1,793m 昼食   12:10着 14,600    
  三ッ峠入口 約1000m   15:00着 21,700

317

2,480

  野天風呂 天水          
  小田原駅          

装備・食糧
・ 山行装備:冬の山小屋1泊登山ていどのもの。寒さ対策。軽アイゼン・ストック・サポーター・雨具必帯。
・ 食糧:水(湯)、非常食、二日目の昼食はコンビニで調達。

その他
・ 野天風呂 天水は河口湖北側、2時間まで1,000円。200円引の割引券(インターネット)あり。
・ 山小屋 四季楽園は 1泊2食付で 7,900円、予約必要。
・ 新年乾杯は、小田原駅付近の海鮮問屋「ふじ丸」

January 8, 2004

Rev. March 24, 2006


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