カナダ・バンフ

2003年7月、かっての同僚の内田宏氏からカナダ・バンフ近辺を訪れ、ハイキングやゴルフをしてきたとメールと彼が撮影したという写真が送られてきた。すばらしい写真なのでここに彼のお許しを得て掲載する。彼からは海抜1,500メ−トル以上の高地ゆえ、ゴルフをやっても、息切れがするとか。「一番よかった場所はKananaskisの近くのUpper Kananaskis Lakeから、約 3キロの道のりにあるRawson Lakeは、圧巻でした。カメラを持参しなかったので、写真はありません。そこは、歩いてゆく以外の方法がないので、荒らされていないのです。そのLake の川に産卵に来た鱒が、うじゃうじゃ居ました。またLake Louise 周りに限らず、ごみが一切無いのが印象的でした。夏休みの高校生達が、ボランティアで、缶やくずを拾っていたのです」と書いてあった。

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その時はなんと美しい景色だろうとおもい、水の色がニュージーランドのマウントクック山の麓のテカポ湖と同じであることが不思議だと思ったのである。いずれも氷河が溶けた水である。なにか関係があるのかどうか?そういえばカナダの水力発電の安価な余剰電力をつかって天然ガスを液化するという夢のようなプロジェクトのコンサルタントとしてカルガリー市を訪れたとき、地元産のウイスキーはこの氷河が溶けた水を使っているので5万年前の水を飲むことになるのだと能書きに書いてあったのを思いだす。

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この写真をもらって半年を過ぎたころ、パリパリのダーウィン論者であるリチャード・ドーキンスが厳しく批判するのでいままで手にしなかったスティーブン・ジェイグールドの「ワンダフルライフ」というバージェス頁岩と生物進化の物語という厚い本を図書館から借りて読んだ。そしてとあるページで「バージェス頁岩」はバンフやルイーズ湖に近いヨーホー国立公園内のフィールドの町から数キロ以内にある」との記述を発見した。

地図で調べるとフィールドの町はバンフから北西60kmの地点だ。そもそもバージェスという名自体は19世紀のカナダ提督の名である。フィールドの町から発掘場所まで続く登山道に提督の名が使われていた。6億年前の多彩な化石の発見者で米国の大地質学者のチャールズ・ドゥーリトル・ウォルコットがこの登山道の名前を借りて命名したのだという。このカンブリア紀の貴重な化石は今ワシントンのスミソニアン・インスティチュートに収集されている。なにせウォルコット自身がこの館長だったのだ。

ということで上の2つの写真の岩山の岩石はどうも6億年前の頁岩のようだと思われる。日本で見つかる頁岩とはスケールが違うようである。シェールオイルもここら辺で多量に埋蔵されているとういう。化石になり損ねて石油に化けたのであろうか。どこかの国がオイルショック後、あわてふためいて開発権を買い取ってコストがネックとなって開発できないでいる。

話は飛ぶがモースが明治時代に江ノ島で「しゃみせん貝」を研究したのは有名だ、がこの「しゃみせん貝」は6億年前からの生き残りという。ただもう江ノ島には生息していない。

February 24, 2003


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