江ノ島八坂神社礼祭(天王祭)

江ノ島の江ノ島神社の末社 に八坂神社(江戸時代までは天王社)がある。昔、対岸の腰越の小動岬にある小動神社が大波で流され、御窟前の海中に沈んでいた素戔嗚尊の木造の御神体を漁師が拾い上げて、 江ノ島に祀ったものという。 この八坂神社は現在は江ノ島神社の辺津宮(へつのみや)の左側にある。

 八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を           素戔嗚尊

八坂神社 2013/7/15

八坂神社には毎年7月14日に近い日曜日に大祭があり、神輿が対岸の腰越にある小動神社まで海上渡御(とぎょ)すると江ノ電沿線新聞に書いてあった。私はこれを読んでてっきり洲鼻(すばな)という砂嘴(さし)の 上を神輿を担いで歩いて渡ってくるものと思い込んだ。毎年、江ノ電のなかからこの祭りを見ていたが、今年は6年に1回の大祭があり、江ノ電も止めてしまうという。興味 を持って2013年7月14日、散歩かねて炎天下でかけた。家からのルートはまず小動神社の前を通過する。御仮宮裏のテントで休んでいた浴衣姿のご老体に 海上渡御の予定を聞くと「海は渡らないよ、橋を渡って来るんだ」と聞いて ビックリ。


小動神社 2013/7/14

それでも昔は渡っていたが、片瀬川の西側に新しい港と防波堤を作ったため、潮の流れが変 わり、江ノ島側の砂州への新しい砂の供給が止まり、海が深くなり渡れなくなったのではないかと推論した。というのも下のY- tubeビデオを見ると江ノ島から浅瀬に入り、胸までつかって神輿を揉んだ後、再 度陸に戻り、神輿を車に乗せて橋を渡るのことがわかったからである。


2012年の渡御

新聞報道によると2013年7月14日も午前中に海には入った写真がある。そこで2013年7月15日、再度、確認のため江ノ島に出かけた。そして洲鼻(すばな)の先端は片瀬川の西側にできた港の影響で東側にずれただけで、今も江ノ島に達していることがわかった。



江ノ島側から見た砂州 2013/7/15正午

昨年のビデオの次の画面をみれば、海に入るために上の写真に写っている海岸岸壁の左側の手すりを取り外し、仮設のスロープを設置してこの砂州に降りたことが分かる。水深はくるぶし程である。この仮設のスロープは翌日にはすでに撤去され、手すりも復旧されていた。



2012年の渡御の一コマ

以上を見れば折角、海にはいれるのだし、砂州はくるぶし程度の水深だからいまでもそのつもりになればそのまま海を渡れるのだろうと考えた。帰りがけに小動 神社で後始末していた若衆に「いつころから海を渡らくなったのか」ときいたところ、いままで一度も海を渡ったことはない。そもそも神輿を海に入れていたの は腰越側であったがテトラポットを投げ込んで危険になったので江ノ島側で海にいれるようになったのだという。昔から橋をわたってきたのは白い衣装をつけた 使者であり、神輿が橋を渡るのは最近のことなんだそうである。それではなんで海上渡御(とぎょ)というのかというと、神様が海を わたるという意味らしい。完全に私の勘違いだとわかったが、私としては神輿を担いで砂州を渡ればもっと勇壮になるのではとおもうのだが。担ぐ人間にとって は炎天下くるぶし程度の水深の砂州を神輿を担いでわたるのは苦役以外のなにものでもないのだろう。陸から遠すぎてギャラリーもおらず、つまらん。首までつかってわっしょして、体を冷やし、水から上がって一休みする。 神輿は車台にのせて移動し、腰越の電車道で電車をとめて、騒ぐというのが恍惚の方程式ということだのだろう。

それにしてもこの八坂神社は1000年前に会った大津波の記憶ではなかろうか?腰越の若衆に問いただしたら、いつの事かはわからないが大波がきて小動神社 が流されたという伝承はあるという。海抜は10-15m位か。その神社の横から江ノ島が見える。手前は最近完成した腰越港。



小動神社から江ノ島を見る 2013/7/14

以下はボット出の観光客として完全誤解のまま江ノ島と腰越をさまよった記録である。

2013年7月14日、午后1時に弁天橋に行くと神輿がくる前に各町のシャンギリ、囃子、大幣所役、さい銭箱、御幣を持つ巫女が先導する。


シャンギリ

八坂の神輿が続くが、神輿は車の上で気勢も上がらず、弁天橋を静かに曳かれてくる。

弁天橋を渡る神 輿

龍口寺前では二つの神輿のもみ合いがあるそうだが、江ノ島に行っていて見落とした。龍口寺 から小動神社までは江ノ電の電車通りをドッコイ・ドッコイと掛け声をかけて練り歩く。神輿の両側にはドアノッカーのような金具がついていて、一人の男がそれを鳴らしてリズムをとっている。一緒に歩いているとある種の陶酔状態になるから不思議。

腰越の電車通り

U−tube投稿ビデオ

二つの神輿は小動交差点まで行ってUターンし、小動神社御仮宮前での神事と、シャンギリの演 奏をしたのち、神輿はそろって電車通りを戻り、夜8:00には八坂神輿のみ江ノ島に帰り、御神体の御開帳が行われるとのこと。これで丸一日が終わる。江ノ 電は一日殆ど動かない。夕刻夕立がきたが、江ノ電が使えない家人は濡れて帰った。7月15日に八坂神社に参拝したときは御開帳は終わって扉の前に丸い鏡が 置いてあった。

July 14, 2013

Rev. July 15, 2013


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