iPod

グリーンウッド氏は2005年3月ついにiPodを買ってしまった。それも2月28日新発売のiPod Photoである。 トロントのヨーク大学のギースラー助教授がiPodにより「サイボーグ消費者」が誕生したと説いているそうだが、確かにかなりの情報を身につけて歩るける便利さはサイボーグという感じがする。

いままではどうかというとCDの音楽をソニーのパソコン(VAIO)内臓ソフトSonic Stageでwavファイルとして一旦取り込んでからスエーデンのTord Jansson氏が作成したシェアウエアの MP3エンコーダーで圧縮し、CD3枚分 、演奏時間にして120分を128Mbのメモリースティックに格納した。そしてmp3コーデックを標準装備ししているClieで楽しんだ。Sonic Stageがmp3コーデックを標準装備していながら、自社のソフト資産を守るためかmp3エンコーダーを装備してくれないためのやむを得ぬ処置であった。

2004年夏、Dell Dimension 8400にドルビー5.1チャネルスピーカー・システムを周辺機器として追加したところCreative MediaSourceというソフトが添付されていた。音楽CDをドライブに挿入するとMediaSourceプレーヤーが自動的に立ち上がって音楽を利 かせてくれるが、同時にMediaSourceオーガナイザーというソフトも添付されていて、これで、5.1チャネルスピーカー・システムのスピーカーテ ストや音楽CDをmp3固定ないし可変ビットレートでMyMusicフォルダーに録音可能となっていることを最近知った。ソニーの思惑などサードパー ティーに簡単に無視されたわけである。これでシェアウエアのmp3エンコーダーは不要となったのである。これで手持ちの400枚のCDを手軽にHDに格納 できるようになった。

さてCreative MuVoという1Gbのフラッシュメモリー内臓プレーヤーが2万円程度で市場にでてきたが、1Gbでは250曲くらいしか収納できない。

そこで7,500曲収納できる30Gbのハードディスク内臓のiPodを買った。3.8万円である。JPEG写真も表示 してくれるカラー液晶もうれしい。mp3エンコーダーを標準装備するiTunesという、MediaSourceオーガナイザーと同類のソフトが添付され ている。

カセットアダプターとiPod Photo

iTunes

<既存のmp3ファイルの利用>

iTunesをDellにインストールするとMyMusicフォルダ内収納のmp3変換した約54曲と.wavのままの未圧縮の4曲やMIDI6曲を含め、ライブラリとして即認識してくれた。.

iTunesはmp3エンコーダーは勿論だがmp3より1.4倍ほど圧縮効率が高く、音質はほぼ同じといわれるAAC(Advanced Audio Coding)のエンコーダーも標準装備している。ビットレート128kbpsのAAC変換 (m4a)とビットレート192kbpsでのmp3エンコードが同程度ということであるのでAAC変換がお勧めということになる。アップルはこちらを推奨している。

mp3ファイルに変換しておけば、Clie、Creative MuVo、LAKSという128Mbフラッシメモリー内蔵腕時計で楽しむなど、汎用性が高い 。ただ再度mp3に変換するのは簡単である。この方法はサウンドデータに詳しく書いた。

というわけで編集→設定→詳細→インポート方法→AACエンコーダーに設定しておいてから未圧縮のwav曲も右クリック でAAC変換し、MIDI6曲を除き、全58曲、3.8時間分、209Mbのプレイリストを作成した。アーティスト名とジャンル名などの属性はタイプイン してグリーンウッド・アルバムとした。

<CDからの取り込み>

CDを挿入するとiTunesはただちに曲名、アーティスト名、アルバム名、ジャンルなどの属性の一覧表を表示する。あ とはただインポートボタンを押すだけで属性も含めて取り込んでくれる。属性を一々入力しなければならなかった今までの環境と段違いの差である。すでに取り 込んであるCDを挿入すると警告をだしてくれる。

CD1枚のiTunesへの取り込みが約6分であるからCD約100枚の取り入れに約10時間かかる計算になる。実際の演奏時間の1/10である。

CDによっては日本語のタイトルと原語のタイトルの2系統あり選べるものもあるが、ストリート・ミュージシャンから買っ たものやマイナーなCD製作会社のCDは曲名、アーティスト名、アルバム名が入力されていないものや、ベートーベンのピアノソナタ「春」がNo.9と間 違って入力されていたりする。No.9はクロイツエルでしょう。 曲名が前後入れ替わっているものもある。いずれにせよ属性を入力さえしておけばiTunesとiPodは曲名、アーティスト名、アルバム名、ジャンル名、 作曲者名だろうがアルファベット順に並べてくれるので探すのも便利。インターネット経由取り込んだ鳥の鳴き声のMP3ファイルはジャンルがクラシックと なっていてまぎらわしい。やむをえず鳥というジャンルに書き換えた。

さて交響曲などいくつかの楽章で構成されているばあい。楽章番号が入力されておらずアンダンテ、アレグロなどしか曲名に書いてないと、曲名でソートして選 択すると楽章順に演奏してくれない。このような場合、アルバムやアーティストでソートして選曲するか、曲名のたとえばSynphony No.1 の次にI II III IVなどの楽章番号を入力してからAllegro Conbrioなどとすればよい。

属性入力するとき一回だけBirdと入力すれば残りはBとキーストロークするだけでBirdとなるから簡単な操作だ。でも鳥の鳴き声400曲の属性を修正するのは結構退屈。

<Music Storeからのダウンロード>

ダウンロードする前に視聴できるので無駄な買い物をしないですむのは大変結構。ミュージシャンも大変な時代になったと思うがよいものは売れるはず。もう後戻りはないなという感じだ。

<インターネットラジオ>

米国でのジャンル毎に専門化しているインターネットラジオ局を百局以上受信できる。グリーンウッド氏の古い1.5Mbpsでは追いつかないのか途中の経路に問題あるのかビットレート128kbpsの局は途切れることもあるが 、これより低いビットレートの局は問題なく受信できる。無論聞くだけでiTunesに録音はできない。

<Podcastとビデオ>

テストしていない。

iPod

入力機能を削ぎ落としたという点でまさにウォークマンの思想を受け継ぐ直系の子孫だという感じを持った。

iPod本体をUSB2経由接続すれば、iTunesとの同期は自動的にしてくれる。 同期するまで少し時間がかかるため、辛抱して待つことが肝要。一旦同期するとPCからiPodへの転送は1曲約1秒、1,000曲は16分で済む計算になる。 取り込み時間の約40倍の速度だ。

iTunesで曲の属性値を書き換えるとその書き換えた曲ファイルを全て書き換えるようだ。

MIDI曲は取り込まないが.wavや.mp3やAACは自動的に取り込む。外付けHDとしての扱いもポータブルHDで同じである。 属性を書き換えてからiPodを再接続すると全てのファイルを書き換えるらしく約10分かかった。

マニュアルも読まないで使い始めたのでタッチホイールを携帯の選択ボタンと同じと思ってつかおうとしてははじめ戸惑った。しかし曲の選択 とボリュームコントロールは指を右に或いは左に回転させて行うところが、小さな感動だった。

選択メニューも曲名、アーティスト名、アルバム名、ジャンル、プレイリストの5項目に関し、任意の方法で7,500曲から1曲を簡単に選べる仕組みだ。

長い曲名はマルケー方式で横に流れるので狭い表示デバイスでも全体を読めるのも新鮮だった。

ハードディスク内蔵のため扱いには注意していたつもりだが、イヤフォーン・コードに物が当たってポケットからiPodが飛び出てコンクリートの床に落下するという事故を起こしてしまった。もうご臨終かと覚悟したが幸い外傷もなくHDにも異常はなかった。

ところでこのクラシックな携帯用のウィスキー・フラスコないし白金カイロの如きバフ仕上げのパッケージは山形県のとある村ですべて作っていると聞いた。

グリーンウッド氏のiPodの楽しみ方

@クリエ時代に苦労して手作業で変換したmp3ファイルを取り込み曲名、アーティスト、ジャンルなどの属性データを書き加えたグリーンウッド・アルバムと して

A手持ち音楽CDから取り込んだAACファイル

Bイタリア語会話500添付CDから取り込んだAACファイル

Cファインマン教授が1964年にカルテックの新入生に対して行った失われた講義録音のCD、「太陽を巡る惑星の運動」(Library Serial No.630)から取り込んだAACファイル

D鳥の鳴き声CDから取り込んだAACファイル

E夫婦で録音とHP作成をしている鳥の鳴き声サイトからインターネット経由で 取り込んだmp3ファイル

F般若心経

G”からおけ”の練習には”からおけ”という名前のプレイリストを作って選曲したリストを投げ込んでおけばよい。

iPodにしてもiTunesにしても収容曲数が増えるとブート時間がかかるようになる。多分全曲の属性データを読み込むためであろう。

車載オーディオセットとの連結

イヤホーンジャックとオーディオ機器の 入力端子をつなげば、高音質の演奏を楽しめる。イヤホーンジャックにFMトランスミッターまたはカセットアダプターを差し込めばレンタル車の車載カーラジ オで自分の音楽環境を即構築できる。カセットアダプターの方が音質は良いという。カセットアダプターはCD/MDプレーヤと車載オーディオ・セットを連結 するソニー製 のアダプターが転用できる。カセットの中にヘッドが埋め込まれていて、車載オーディオ・セットのプレーヤーヘッドに直接アナログ磁気信号を送り込む仕掛け である。iPodとカセットテープを二つ並べてみるととほぼ同じ大きさである。カセットテープには15曲くらいしか入らないのでiPodの記録容量は 500倍ということになる。

JPEG写真アルバム

カラー液晶表示でjpg写真を表示できるところが新しい機能だ。 画像を縮小したり圧縮せずに高画質のまま持ち歩きできるところが魅力だ。テレビにもスライドショーを音楽付きで出力できる。マイピクチャーの中の特定のフォルダーの中の写真を同期できる。iPodでの写真の選択は曲の選択と同じくタッチホイールを指で回転することで可能。

住所録表示

MS Outlookで住所管理している人はvCard形式のアドレスデータ.vcfをiPodのContractsフォルダーにコピーすればよい。グリーン ウッド氏はMS Outlookが世に出る前からアドレスデータはFileMakerで管理してきているのでMS Outlookは使っていない。ファイルメーカーのアドレスをコンマ区切りテキストファイル経由でClie/Palmのアドレスに転換して持ち歩いてい る。Clie/PalmのアドレスからvCard形式のアドレスデータ.vcfをエキスポートしてくれるのでPalmの資産をそのまま使える。

スケジュール表示

MS Outlookでスケジュール管理している人はvCalender形式でエキスポートし、これをPodのCalendersフォルダーにコピーすればよい。残念ながらClie/PalmのスケジュールからvCalender形式でエキスポーはしてくれない。

メモ表示

テキストファイルやhtmファイルはiPodのNotesフォルダーにいれておけば読める。ただし4kb以内。htmファイルはリンク機能も有効であるので、4kbファイルを次々と続けることも出来すし、無論音楽ファイルにもリンクできる。

外付けハードディスク

大きなファイルを持ち歩くに便利で手持ちのポータブルHDと全く同じに使える。

iPodナノとビデオiPod

iPod Photoを購入した後、アップルはiPodナノなどフラッシュメモリー搭載の機器などを出した。しかしフラッシュメモリーの容量は高が知れている。ほしいとは思わなかった。

2005年10月13日、60ギガHD搭載のビデオiPodを発売した。実はiPod Photoを手にした瞬間、ビデオを再生できるものがほしいと思ったものだ。Clieに搭載されていた機能なのに、ソニーはClieは発売停止にするとい う。ちぐはぐな対応だ。使用法が面倒だったこととiTuneなどアンチョコなソフト経由の動画配信サービスを伴わなかったことが敗因なのだろう。

ただClieで自作動画を試した経験ではビデオiPodはそう大きなインパクトはないのではないかと感じる。

ソニーの失敗

一時期、ソニー製品に入れ込んだが、最近はソニー商品が時代の先端技術を提供してくれないことに対する不満がつのっていて、ついに堪忍袋の緒が切れてしまったというところである。

iPodなどまさにウォークマンの直系の子孫だと思う。なぜソニーかこれを出せなかったか。iPodにはタッチホイール以外なんら新規技術をつかっているわけではない。ではなぜかと考えると、ソニー が顧客を抱え込んで閉鎖的な世界をつくろうとする思想がガンであったと思う。だからmp3エンコーダーを装備せず、世界で一番普及しているWindowsの機能との連携 してオープンな世界につらなり、顧客を呼び込もうという思想がないことに気がつく。ではなぜこのような思想になってしまったかと考えるとトップの路線に責任が帰せられる。そもそも機器メーカーでありながら 、音楽・映画などのソフトもと欲張ってしまった。このソフト資産の著作権にとらわれてしまったのだろう。著作権すなわち既得権にこだわると後ろ向きになる。 井出氏の指導力に問題があったのであろう。日産のゴーン氏と比較すれば歴然である

出井伸之氏も2001年頃は

「日本人は3つに分類できる。第1類は役人と政治家、第2類は役人と政治家に擦り寄って生計を立てる者、第3はその他。第1が日本を駄目にし、第2はその共犯者、第3のみが今後の日本を担う人となる」

などと発言して威勢がよかったのだが。

後任も井出氏指名のメディア屋というからあまり期待できないのではないかと危惧する。地上波という狭い伝送路を使うメディアの時代は終わったとおもわれるからである。今後、買いたいと思うソニー製品がでてくるのだろうか ?興味あるところだ。苦多良木にも問題はありそうだが、調整型の技術者をリーダーをかついでソニーの将来はあるのだろうか?ウエルズは、ローマ帝国の衰亡は奴隷経済だった故とか。技術者が割りを食う奴隷経済であるところが気がかりである。

以下私が使ったソニー製品に関し不満に思う点を整理してみた。

ソニー製品 不満

トリニトロンCRT

物理的寿命が短い

ソニーのデジカメ 色の発色が悪く、PhotShopでの修正が必要
メモリースティック 容量が小さく高価
MICROMVテープカセットを使うビデオカメラ 普及せず、サードパーティーの編集ソフトが一つしかない
VAIO 囲い込み思想のため、MP3エンコーダーをVAIOに標準装備していない。古いVAIOはやむをえないことだがDVDが焼けない、UBS2がない。 しかし高価なため買い換え対象とはならない。Dell愛用者となる。
Clie/Palm 発売停止のため裏切られた思い。多分MS Outlookでスケジュールを作成しiPodで持ち歩くということも可能だが、Palmの同期機能は棄てがたいものがある。

CDから取り込んだ3,239曲(10Gb)はパソコンのミュージック・ファイルに入っているが、これを外付けHDにコピーし、接続した別のPCのiTuneでは演奏できない。

iPodをPCに接続するとパソコンのミュージック・ファイルに入っている曲は同期してiPodに取り込むが、iPodにある曲のリストは表示されてもPCにコピーできない。


March 20 , 2005

Rev. May 28, 2015


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