読書録

シリアル番号 521

書名

「日本百名山」の背景ー深田久弥・二つの愛

著者

安宅夏夫

出版社

集英社

ジャンル

伝記

発行日

2002/4/22第1刷

購入日

2002/08/27

評価

「津軽の野づら」や「オロッコの娘」などのロマン的小説家としてデビューした深田久弥がなぜ山の作家へと転身したのか。そこに二人の女性との運命的な出会いがあったとの帯の表示に気を引かれ、埼玉新都心の書店「書楽」で買う。共同作業で作品を紡いだ最初の妻 北畠八穂、再会した学生時代の初恋の木庭志げ子、愛と葛藤の秘話を一晩で読破。堪能。

北畠八穂は深田が改造社の編集者だったころ見つけ出した女性作家。深田の処女作は二人の合作。深田は再会した中村光夫の妹、木庭志げ子と雨飾山に登ろうとするが雨のため4日小谷(おだり)温泉に一緒に滞在。離婚した北畠八穂は深田との合作について鎌倉文士にすべてぶちまけ、深田の作家の生命は絶たれる。北畠八穂は脊椎カリエスだったが、その後児童文学者として大成し、深田や木庭より長生きする。

ところで深田も泉鏡花と同じく金沢の出身。「風の盆恋歌」の高橋 治は金沢の四高に学ぶという縁がある。

Rev. November 25, 2006


トップ ページヘ