読書録

シリアル番号 1321

書名

脳の意識 機械の意識

著者

渡辺正峰

出版社

中央公論新社

ジャンル

サイエンス

発行日

2017/11/25

購入日

2018/01/20

評価



中公新書

朝日新聞の書評をみて購入。

2日で読破した。今回は途中で何回も居眠りした。書き方が雑で論旨が途中で消えてしまっていたり、添付図が小さすぎてみるのが面倒だった。

前に読んだ「言語の脳科学」のほうが面白くよめたような気がする。ただこれは2002年当時の知見。本書は最近のAIの成功を踏まえて、視野中心に脳とAIのアナロジーから想像を展開している。

著者は逆誤差伝播法を重視している。「ゼロから作る Deep Learning   Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装」での理解では「Convolutional Neural Networks」(畳 み込みニューラルネットワーク)という技法が重要と理解していた。 これはフィルターを使ってマトリックスを畳み込み込んで計算量を減らすということだったのだがが、これは並列処理のできないコンピュータの計算時間をみじ かくするためのもので、脳のような超並列マシンでは意味のないこと。

というわけで人間の脳は畳み込みは必要はない。それより機械学習に使われる「逆誤差伝播法」(バックプロパ ゲーション (Backpropagation)が大切だと著者はいっている。ここは新鮮。ただ著者も認めているように脳の軸索の情報の流れ方向は一方向だから逆に情 報は伝わらない。脳は誤差を逆に伝播させることはできない。

脳の学習は常識になっているHebb則にしたがうシナプス強化によって行われている。これに加え、脳の学習機構が常に将来を予測し、それと実際に観測された結果の誤差を基に学習しているという考えもあるようだが、本著では紹介されていない。

2013年には神経細胞だけでなく樹状突起も発火することが分かり、これが誤差の逆伝播のように働くのではないかとの推察もなされていると脳内で逆誤差伝播法が起きているか?に紹介されているが本著は触れていない。

機械や動物はその意識を表明する言語をもたないが、すくなくとも動物は言葉を使わないが意識はあると分かる。著者の定義によれば、自動運転コンピュータは車を事故無く運転できるので機械ではあるが意識を持っているといえることは分かった。

脳は超並列マシンなのでConvolutionalもBackpropagationもなしに学習でき、意識もある。


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