読書録

シリアル番号 1299

書名

ギリシア人の物語 II 民主制の成熟と崩壊

著者

塩野七生

出版社

新潮社

ジャンル

歴史

発行日

2017/1/25

購入日

2017/02/01

評価



少ずつ読んで2017/02/18に読破。

1年前に「ギリシア人の物語 I」を読んだ。アテネとスパルタ連合軍がクセ ルクセス率いる強敵ペルシャ軍をマラトン、テルモプュレー、アルテミシオン、プラタイヤ、サラミスで撃破した第一次ペルシャ戦争があった紀元前490年の 戦争をリードしたアテネの英雄テミストクレスとスパルタのパウサニアスが中心であった。この時の歴史家はヘロドトス。

今回はその後の平和な30年間、アテネのリーダーとなったペリクレスとスパルタの王アルキダモスの間のペロポネス戦役の御話し。二人が生きていた時代はか ろうじて平和は保たれが、二人の死後、アテネの民主制(デモクラシー)は衆愚制(デマゴジア)に堕落し、アテネは滅ぶのである。この時の歴史家はツキジデス。

塩野は「政体がどうあれ、指導者を必要としない政体を人類は発明していない」という。

民主政のリーダー:民衆(デモス)に自信を持たせることができる人。アテネではペリクレスはそうであった。しかしこの人は死ぬ。

衆愚制のリーダー:民衆(デモス)が持っている漠とした将来への不安を、煽るのが巧みな人。すなわち扇動者(デマゴーグ)。ペリクレスのあとにでてきたクレオンがこれに当たる。アルキビアデスが一時持ちこたえるが、結局、アテネはスパルタに無条件降伏するのである。

アテネ隆盛の要因となっていた民主政体、海軍、アテネ・ピレウス都市一体構造、デロス同盟全てを失う。ソクラテスが預言したように「人間にとっての最大の敵は、自分自身だったのだ。

Rev. February 19, 2017


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