えがお交流会

 

2003年3月13日に弁慶果樹園の多目的集会場で開催された「えがお交流会」では元椛D井総合研究所の主任研究員だった内藤幹氏の「循環型田園都市」に関するお話を聞いた。講演には約20名が集まり、半数はNPOに感心のある若者であった。

内藤幹氏のお話は人間の波動現象とかこの波動を測定できる機器があるとか、かなり非科学的な部分もあるが、EM菌と世界救世教の関係、大平圭拮氏の四次元農興の裏話は面白かった。

氏が船井幸雄が主催する経営コンサルタント会社、船井総合研究所の主任研究員だった頃、担当させられたEM菌の普及活動からはじまった。そもそも生物由来の廃棄物を分解する分解菌はそれぞれの土地の土中菌が自然に働くのが自然で、琉球大学農学部の比嘉照夫(ひがてるお)教授が発見したEM菌は常に純粋培養した菌が入った液体を適時加え続けなければ、働かなくなる。結局、この菌を培養して売る仕組みを作った世界救世教の資金源になっているというわけである。熱海のMOA美術館がこれで建てられたかは寡聞にして聞かない。資金を貢いだ一般市民は息切れして、いまでは下火になったそうである。自然の摂理に反したことは長続きしないものだと話を聞きながらグリーンウッド氏はひそかに合点した。

大平圭拮氏が1970年代に提唱した四次元農興は循環系複合生産法農業ともいうべきもので、化学合成肥料、農薬を使わずに農業生産性を高めて、来るべき食料危機にそなえようともいう理論だ。きのこ→おがくず→牛→みみず→鳥糞→土→麦という有機サイクルで農薬と合成肥料なしにすまえようという理論だ。これでできる有機農産物は残留農薬の毒性による弊害、環境ホルモン作用や免疫異常を起こさないことは事実である。しかし化学合成肥料、農薬を使う米国式近代農業がグローバル化によって世界の伝統農業を破壊し続けていて四次元農興ではとてもコスト的に対抗できないことも事実である。このようにして米国式農業への一極集中のリスクは高まっていて、いずれクライシスが生じるだろうと予感できる。このままではよろしくないとおもう点ではグリーンウッド氏はまったく大平氏と危機観を共有するものだ。しかし、化学合成肥料なしに現在の世界の人口を支えられない地点を既に通り過ぎているかもしれないのだ。おそろしい矛盾である。内藤氏は言及しないが、これは国家として安全保障を考えなければいけないことで米国もヨーロッパ諸国も良く認識して、最低支持価格制度を持っているとグリーンウッド氏は理解している。

内藤氏はコンサルタントは廃業して、事業をやろうと独立して養蚕をしようとしたが挫折した。それでも生糸を食品にするとか生糸の入ったプラスティックとか既に実用化しているものもある。その後、循環系複合生産法農業のコスト上の不利を一次と三次産業の合体で解決できないか模索しているという。その構想とはトヨタが自動車の販売で利益をあげているのではなくローンの金利で儲けていること。セブンイレブンは商品を売ることで儲けるのではなく、各種支払いサービスなどの付加価値で儲けているように、農業プラス何かがないか模索している。日本の輸入食料品の総額7兆円(コメ市場は総額2-3兆円)であるということはそこにこれだけのビジネスチャンスがあるということである。日本の総農地はすでに500万ヘクタールある。成功させれば、若者の職場確保にもなるのだ。人口の1%が変われば国の方向は変わる。その1%のために・・・

講演後には有機栽培の食品で構成されたおいしい食事付きの立食パーティーがお決まりのようだ。パーティー後は帰宅手段を失った若者達が泊り込みのコンパで盛り上がっている。

March 25, 2003


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