二一会平成25年度第2回研究会
宇宙の背後にある精神的存在について考える
飯島正
2013年5月31日
アジア大名誉教授室
法隆寺にある世界最古の般若心経は貝葉
(ばいよう)
にサンスクリット語で書かれてい る。
貝葉は
貝多羅葉
(ばいたらよう)
の略称である。古代インドで植物の葉が筆記媒体として用いられていたため、サンスクリットで「木の葉」の意味を持つパットラ(pattra)と、さらに主に用いられた
ヤシ科
のオウギヤシ(パルミラヤシ)である「ターラ(tala、多羅樹)の葉」を漢訳したものを起源としている。
オウギヤシは日本には自生しないため
、
モチノキ科モチノキ属の常緑高木の
タ ラヨウ(多羅葉、学名:Ilex latifolia)が代わりに使われる。多くは寺社に植樹されて いる。葉の裏面を傷つけると字が黒く浮き上がることから、「郵便局の木」として定められて おり、新装なった
東京中央郵便局
の前にも植樹されている
。
新装なった東京中央郵便局前の郵便の木 2016/1/14撮影
石川靖雄氏は近くの郵便局にあったタラヨウに宛名を書き切手120円を貼って文字通り「はがき」にしたという。郵便法ではこれも正規のはがきとすることになっているという。鉄筆で傷つけたところは色が変わる。
飯島先生から梵字を読み書きできるようにせよと厳命されるも、毛筆縦書きは不得手、そこで鉄筆でタラヨウに
シッタン文字の現代版である
デーヴァナーガリー文字表記(ISO15924Deva)でयद्रूपं सा शून्यता या शून्यता तद्रूपम्と書き、2014年の年賀状にしたいと思い立つ。
だれでも知っている
「色即是空 空即是色」の原典である。
備忘録361
般若心経
には
IAST表記
(International Alphabet of Sanskrit Transliteration)も含め整理した
。
中央郵便局のタラヨウは植樹直後で、葉を一枚とはいいにくい。タラヨウの葉がないか近くの郵便局、裏山、住宅地をあるきまわったがない。
近くの
龍口寺
、
常立寺
、
本蓮寺
、
極楽寺
、
御霊神社
にもない。
そもそも静岡より西にしか自生しないため無理はない。
似たような厚手の 大きな葉の
モクレン科の
タ イサンボク、バラ科のビワとブナ科のマテバシイはある。タイサンボクの葉の表面には光沢があり、
葉の縁は なめらかでタラヨウのように葉はへりに独特のとがった堅い鋸歯がない。
裏面は毛が密生しており、錆び色に見え、字は書きにくい。ビワの葉も大きいが葉脈が大きく字はとても書けない。マテバシイの葉は小さめで薄手であ る。
小平市の第十小学校にもあるというので先生に郵送してもらったがこれはタイサンボクであった。
谷中霊園
管理事務所の前の「塩谷宕陰先生碑」の脇、
向島百花園
、
池之端の
旧岩崎邸庭園
に あるらしい。秋には8mmほどの小さな球形の赤い実がなる。熟した果実を採取し、果肉を取り除いてタネの状態にして乾かさないように湿らせた砂の中に埋め て貯蔵する。翌春、3月下旬から4月に取り出し、鉢にまく。発芽後2年くらいは植え替えずにそのまま育てれば大きく育つ。さし木は7月〜8月が適期。本年 伸びた若い枝を20cmくらいの長さに切って土に挿します。さし木後、根が出ても1〜2年は止まってるかのごとく生長がゆっくりという。
यद्रूपं सा शून्यता या शून्यता तद्रूपम
テキスト:
「
仏教の伝来と日本人の対応・ 自然観
」を使って新たにメンバーになった石川靖雄氏のために1年分のおさらいをする。江戸無血開城の立役者山岡鉄舟は谷中に普門山全生庵を建立した。
サブテキスト:トインビーと若泉敬共著「トインビーとの対話 未来を生きる」講談社(絶版)
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May 31, 2013
Rev. January 16, 2016
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