二一会平成24年度第5回研究会

般若心経

飯島正

2012年12月14日

アジア大名誉教授室

 

法隆寺に伝わる世界最古の貝葉(ばいよう)または貝多羅葉(ばいたらよう)というヤシ 科のアツギヤシに鉄筆で刻み、墨を流し込んで書かれたサンスクリット語のうちシッタン文字の解読。これはいわゆる梵字という。この他にデバナガリ文字もある。

両者ともひらがなと同じ音節文字。

サンスクリットの般若心経はナマスサルヴァジュニヤーではじまるが、このナマ・・・は帰名という意味で南無阿弥陀仏のナンマイダーも同じ語源である。原典のタイトルは「帰命一切智」なのに三蔵法師の漢訳で は最後の呪文をとって「般若波羅蜜多心経」としている。

ネパールで長年農業を教えてきた島田輝男先生がネパールの公式文書は貝葉でシッタン文字で書かれているという。これは永久保存しなければならない。シッタン文字は微妙な発音 をかき分けることが出来るが、日本人には長年ネパールにいてもこの発音の微妙な差は判別できないという。また貝葉をみなれた先生には日本の毛筆の梵字は読みにくいという。

折角丹精込めてつくった水田の畔をネズミが集めた落穂を収集するために畔を掘り返して壊すカーストの一族に入り込まれてこまったことがある。インドでは彼ら一族の権利なので何もい えないのだそうだ。そういう意味でインドのカースト制は上下関係ではなく、社会の住み分けだと言える。

日本文学を教えるために中国の吉林師範大学に一年間滞在した渡辺与五郎名誉教授は、中国共産党は人民に大変うらまれているから長くは続かないだろうという。新入生は1ヶ月以上人民軍に よる軍事教練をうける。この間、教授連は学生に手をだせない。一年したところで、軍事訓練と学業成績と親の共産党への貢献度を勘案して1学年1名くらいの 学生が党員に選抜される。こうなれば一生、就職は保証される。こうして中国共産党は人民の批判の対象となっている。中国共産党も国民に嫌われていることはわかっていて不満をそらすために夜8時 のTV番組は抗日戦争映画を毎晩続けている。そういえば一昨年中国旅行したとき、夜の8時のゴールデンタイムは日本の侵略戦争番組であったことを思い出す。

これは共産党員による共産党のための体制であることはあきらか。どこかの国も親の貢献度は 別にして官僚による、官僚のための体制になっている。しかるに かの国は官僚はなにをせずとも政治家共がおんぶに抱っこなので、好き勝手に振る舞い国民はなにもできない。

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December 15, 2012

Rev. February 3, 2013


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