R200SSのラックピニオンに微動装置をつける


SE赤道儀がらみではないのですが・・・

私が所有しているビクセンのニュートン反射鏡筒R200SSは、ドロチューブの動きがいまひとつスムースではありません。色々と調整も重ねているのですが、ガタを取ると硬すぎ、スムースな動きを得るとガタが生じるという何とも悩ましい状況です。特にデジ一眼直焦点のピント合わせには苦労しています。ラックピニオン直結の合焦ツマミの操作だけでは限界を感じますね。
巷には、マイクロフォーカサーなどという減速装置が出回っているようですが、どれも2万円を超える価格。おいそれと購入できません…。
高価なものは工夫して作っちゃえ!ということで挑戦してみました。


市販されている微動装置には、左のようなものがあります。
左上がアイベルオリジナルのビクセン用マイクロフォーカサー
税込価格:24,800円  (高い!)


右下はスターベースのMEF-3という微動装置
税込価格:23,100円  (これまた高い!)


欲しいのはやまやまですが、少ない資金では手が出ません。
ネット上を色々探して見つけたのはこれです。
ボール減速器とかボールドライブと呼ばれてます。

昔の無線機やBCLラジオのチューニングツマミなどに使われていたようですね。今はデジタルチューニングが主流ですから、需要が減ってしまったのでしょう。国産メーカーは製造を終了しているそうです。

私が見つけたのは、YAESU製(ストック品)で減速比1/7のものです。
軸径は6mm。R200SSの合焦軸径は8.5mm。そのままでは取り付け困難です。両者をつなぐカップリングが必要です。
合焦軸とボールドライブをつなぐカップリングは、鍋屋バイテックさんから一番安いタイプを購入しました。

MRG-20というタイプのカップリング(アルミ製)です。両方の穴の径が選べます。今回は一方6mm、他方8mmのにしました。
価格は1個 780円
R200SSの合焦ハンドルは、プラスドライバーで固定ビスを外すと簡単に取り外すことができます。
現行品とは固定の仕方が違うみたいですね。軸自体は同じものなのでしょうか?

合焦軸の軸径は8.5mm(8mmならピッタリだったのに・・・)
軸の先端は画像のように先細りになっています。

カップリングは購入しましたが、両者を接続するにはそれなりの加工が必要のようです。
金属の加工が必要になります。現物合わせというわけにもいきませんので、設計図を描くことにしました。
接眼部やボールドライブを採寸し、Drawソフトで図面に起こしました。図面にすると、完成したときのイメージも持てますし、接続部品の加工寸法をいくつにすればよいかが詳しく分かります。

採寸の結果、カップリングを切断する必要があることや、セットスクリューの位置を変えなければならないことが判明しました!
まずは組み立て設計図
カップリングは半分に、合焦軸は13mm程切断することにしました。
接眼部とボールドライブとの接続は、15mm×15mm×0.8mmのアルミアングルを使用、20mmの真鍮製スペーサーを介して固定します。

(訂正:カップリングの細い方の穴径は8.5mmです)
組み合わせると図のようになります。

もう少し全長を短く仕上げたいですが、そのためには合焦軸の先端をφ6mmに削ってカップリングなしで直接ボールドライブと接続しないと無理です。。
旋盤を必要とする加工ですので、私の環境ではこの辺が限界。

では、加工開始!!
最初にイヤなところからやってしまいましょう。
合焦軸を曲げないように、万力でしっかり固定して切ります。
失敗すると取り返しがつかないと思うと緊張しますわ〜

やってみると、意外と切りやすい(柔らかい)  ほっ
無事、切断完了。
断面はやや黄色っぽい金属光沢。材質は真鍮なのかな?
アルミ製カップリングの加工
半分の長さに切ったカップリングに2.5mmの穴を4箇所開けます。アルミは柔らかいので、ドリルの歯とくっつかないようにちょくちょく切削油を吹きかけながら作業を行いました。
この2.5mmの穴を下穴にM3のタップを立ててネジ切りします。
新しいセットスクリュー用の穴ですね。

続きまして、一方は8.5mm(合焦軸側)、反対側は12.7mm(ボールドライブ側)のドリル歯を使って穴を拡大します。
この際にカップリングが傾いていると、完成後の不具合につながりますので慎重に。
パーツができあがったので、仮組みしてみました。

まずまず、です (^-^)
鏡筒に取り付けました。
カップリングに僅かな偏心が生じましたが、使用上の問題は特になさそうです。
遊びもなく、スムースに回転します。Nice!

難をいえば、ボールドライブを固定しているアルミアングルの厚さが0.8mmと薄いので、若干剛性に欠ける点でしょうか。
もし不都合が出たら厚い材質に変えるから、とりあえずいいかー

費用はトータル5,000円少々でした。手間はPriceless (^^)


裏からLEDで照らすタイプのスケールをつけるのもいいですねぇ〜
いつ完成するのだろうか・・・(^_^;

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