CQ ham radio掲載記事

 

1999年1月号「ハムのためのVisual Communication」


南極「8J1RL」に期待

写真1:越冬隊員の前川さん(右)と堤さん
 昨年の11月15日に第40次南極観測隊が「しらせ」で晴海埠頭から出航しました。この観測隊には筆者のハム仲間が2人も越冬隊員として参加されています。

 出発の半月前に京都で流星観測のグループによる会合がありました。その会に京大から越冬隊員として参加するメンバーが2人もおられ、急きょ壮行会となったのです。筆者は幸いにもその会に同席することができ、隊員として参加されるJA9BOH前川さんと久しぶりにお目にかかることができました。彼とは衛星仲間として25年のつき合いで、その夜のホテルでも同室でしたのでゆっくりお話を聞く機会を得ました。

 前川さんは本誌でもお馴染みのように衛星通信や月面反射通信(EME)にご熱心で、優れた功績を残しておられます。また最近では流星反射通信(MS)を積極的に実験されている研究者ハムとして有名です。南極でのお仕事は宙空部門で、電波観測やオーロラ観測などに当たられるようです。

 昭和基地のJARLクラブ局「8J1RL」は、内地の家族との通信に多くの貢献をしてきました。しかし最近では衛星電話(インマルサット)の開通でその地位が下がっているようです。ハムとしてのアクティーブな前川さんが行かれるので、HF帯ので活躍とともに衛星通信やEMEの運用も期待するところです。

 お話を伺っていると、JA3TVN山岡さんも阪大からやはり越冬隊員として参加されることがわかりました(同じく宙空部門担当)。山岡さんとはパケット通信の初期に何度かお目にかかっており、電子メールを交換する内に彼は南極からSSTVを運用したいという希望を持っていることがわかりました。

 それに出発後に山岡さんの二世が誕生する予定だそうで、帰国後に1歳4ヶ月の初対面になるということがわかりました。それなら奥さん(JF3LFD)に連絡して赤ちゃんの画像を送りましょうと約束しました。というのは南極への公衆電話には制限があり、デジタル回線は2400bpsしか通らず、画像は大きすぎて無理だとのことでした。それならSSTVより高画質のディジタル衛星通信がよいとの話が持ち上がり、前川さんもその運用を考えようということになりました。

 そこで急きょJARLに連絡して9600bpsのモードの追加申請をお願いするやら、専用ソフト「WiSP」を米国に注文してなんとか出航まで間に合わすことができました。実際に電波が出るのはお仕事の関係から春以降になるようです。南極からどんな画像が届くのか、いまから大いに楽しみです。運用ができるようになると筆者に連絡が入ることなっています。そのときは皆さんにお知らせすることにしましょう。

「コラーサ70」の近況

写真2:コラーサ70のバッテリー制御板
 世界一周を目指して昨年9月に大阪を出航したヨット「コラーサ70」ですが、造水器の故障と発電機の故障で二度もハワイに立ち寄る羽目になってしまいました。しかしこれで目的を残念したのではありません。11月 日にハワイを起点として三度目の挑戦をするために出航しました。

 JA3MYK鹿島さん、ご難続きですが気を取り直してゆっくりと回ってきてください。またSSTV画像が届くのを楽しみにしています。

(注)「コラーサ70」は度重なるトラブルのため、1月中旬ハワイにて今回の挑戦を残念することになりました。今年の夏に改めて出航する予定だそうです。

長い間ありがとう!

 この欄を担当して12年を過ぎてしまいました。最初に引き受けたときタイトルは「FAX」でした。その後「画像通信」になり、92年の6月から「Visual Communication」に変わりカラー化されて前月号まで続いたのです。

 この間アマチュア無線のディジタル化が急速に進み、いまではアマチュア無線とパソコンは切っても切れない間柄になったのです。バックナンバーを読み返してみると早くからそのことを予想した記事を書いていましたので、感無量の趣があります。

 これからはますますハムのディジタル化が進むことでしょう。長い間この欄を担当しましたが、誌面の刷新の機会に「ビジュコミ」を終了することにしました。しかし今後も画像通信やディジタル通信の最新情報や話題を提供することにします。皆さんのご支援、ご愛読を感謝するとともに、またお空でお目にかかりましょう。

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