CQ ham radio掲載記事

 

7月号「ハムのためのVisual Communication」


写真1:ポールさんとXYL&2nd

VKの友人を訪ねて

 HF帯でFAXが華やかなりし頃知り合い、その後もつき合っていたVK2AHBポールさんと20年来の念願が叶い、彼のシャックを訪問してきました。JA3DK大内さん、JR3RXM臼井さんと筆者は、ポールさんの共通の友人で、毎年届く年賀状には「今年こそシドニーで会いましょう」書かれていました。

 皆さん仕事を持っている身で、共通の一週間の休暇がなかなか取れずに延びのびになっていたのでした。臼井さんが定年退職されたのを契機にやっとこの四月にそれが実現しました。他の仲間を誘って一行は8名となり、全員オーストラリアが初めてでしたのでパックツワーに便乗して行くことにしました。

 ゴールドコーストでは、ヘリコプターから眺めは壮観でした。白波漂う豪快な海岸線と高層ホテル群、その内側は無数のクリークが走り、赤屋根の家屋と樹木の緑、海のブルーとヨットの白、そのカラフルな美しさに目を見張りました。またメルボルンではフィリップ島の可愛いペンギンパレード姿もビデオにぱっちり撮ってきました。

 シドニーでは朝早くポールさんが大型車を持って迎えに来てくれ、10数年ぶりの再会を喜び合いました。あいにくの雨でしたが、海岸線を北上して景勝地を回りました。驚いたことに、入り江という入り江はすべてヨットハーバーといってもいいくらいヨットがあふれています。さすが海洋スポーツの盛んな国だけあって、その数の多さに圧倒されてしまいました。

 緑いっぱいの住宅地に建つポールさんのお家に招かれ、家族ぐるみの暖かいもてなしを受けました(写真1)。私たちがお土産に持っていったキャノンのデジカメ「PowerShot 350」はたいへんに喜ばれ、家族で大騒ぎをしていました。そういえばVKでデジカメを持っているのは日本人だけでした。

 彼のシャックは裏庭の隅に建っている小さなプレハブ小屋です。中にはまだPANA1000のマシンが健在で、きれいに手入れをしていました。10数年前に交信した受信画も大事に保管されており、筆者の送信画にも対面することができました(写真3)。

写真3:昔、筆者が送信したFAX
 今回の旅はまたビジュアル・メディアの競演でした。デジカメ2台とスチールカメラ5台、それにNV−DJ100のビデオカメラ3台という豪華さです。デジカメ派は現地に人気となっているソニーのノートパソコン「VAIO505」を持ち込んで画像ファイルを取り込みました。お陰でメモリーに関係なくバシバシとシャッターを切っていました。

 帰国後にスチールカメラの写真はスキャナーでパソコンに取込み、デジカメ分と合わせて膨大な画像をCD−Rに収納しました。画質ではニコンカメラの写真をスキャナーで取り込んだのがやっぱり最高でしたが、オリンパスのC-1400Lデジカメもさすが141万画素だけあって大した解像度です。 もちろんビデオは編集して参加者に配りましたので、今回の旅は3回も楽しみを味わえました。

 一行はJA3DK、JA3ECF(XYL)、JA3NGW、JH3VSR、JR3RXM(XYL)それにJA3CFの8名です。パックツワーも自由行動を利用して、このような素晴らしい思い出が作れるのもハムの特権です。ポールさん家族と一緒に食べたステーキの大きかったこと、その味はいつまでも忘れないでしょう。ありがとうポールさん!。

パノラマ画像の作成

 最新のデジカメにはパノラマ画像の作成機能つきもあるようです。いま画像をつないでパノラマで見ることは、デジカメの楽しみ方としてちょっとしたブームになってきています。先月号で紹介した「PhotoVista日本語版」(\16,800)は、JPEGやBMPなどの画像をつなぎ合わせて、360度切れ目なしのパノラマ画像が作成できることを話しました。

 使用するソース(素材)画像は、どのような入力方法でもよいのです。デジカメはもちろんのこと、スチールカメラで撮した写真をスキャナーでパソコンで取り込めば高画質の画像が作成できます。ビデオカメラからはキャプチャーボードやキャプチャーカードを使って静止画としてソース画像を作ることができます。

 今回はこのソフトを使って、ビデオカメラからソース画像を簡単に入力できる方法を考案してみました。普通の入力は、デジカメで(ビデオでは数秒間を静止画として)取り込みたい画面を写し、右に少しずらして30〜40%重ねて次の画面を入力します。このようにして入力した10枚前後の画面をつないでパノラマ画像を作成します。

 この撮影はできるだけワイドレンズのほうがよく、つなぐ画像も少なくすみます。それに各画面が上下にぶれないように注意して写します。できるだけ三脚を使うことをおすすめします。

写真4:ソース画面を取り込んだところ
 いろいろ実験してわかったことは、たくさんの画像をつなぎ合わすので出来上がりの画像は大きなデータ量になります。そのためにソース画面が大きいと処理時間がかかるだけでなく、できた画像が大きすぎて実用的ではありません。ソース画像は600×480以下の大きさでできるだけ小さなデータにします。

 こうして作ったソース画像をPhotoVistaに取り込んで横に並べます(写真4)。これで「レンズを選択」をしてステッチ(つなぎ合わすこと)します。まずプレビュー・ステッチをしてどのようにつながったかを調べてから本格的にステッチすることをことになります。

 ではビデオカメラで実験した実用的なソース画像の取込について説明します。ビデオカメラで静止画としての撮影ではなく、カメラを右回りにゆっくりパンニング(カメラを回すこと)して風景を撮影します。このビデオを再生して適当な間隔でパソコンに静止画として取り込みます。取り込みにはキャプチャーボードやSnappyなど画像入力装置を使います。ソース画像をステッチしてパノラマにしてみましたところ、見事に成功です。

 この方法の最大の利点は、一度ステッチに失敗しても何度でもソース画像を作り直すことができることです。静止画の取り込みだとうまくつながらないときはどうしょうもないのですが、これだと余程のことがない限り成功します。

 これに気をよくして今度はとんでもない試みをしてみました。それはカメラを縦に構えてパンニングしてみました。事情を知らない人が見たらきっと「あの人は頭がおかしいのでは」と思われる姿ですね。これで取り込んだソース画像を90度転換する機能を使い、ステッチしてみました。

 これも問題なくパノラマ画像に仕上がりました。なんでわざわざ縦にする必要があるんだ、と思われるかもしれません。ソース画像を縦長にすることで、画像が左右だけでなく上下にも広がり、より臨場感を持てるようになります。もしこの方法が認知されると、ビデオカメラの常識が破られることになりたいへん愉快です。

 実際の画像は、私のホームページに格納していますのでご覧になってください。
http://www.asahi-net.or.jp/~pt5y-iwsk/vk-pano2.htm

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