CQ ham radio掲載記事

3月号「ハムのためのVisual Communication」

DVキャプチャーカード

写真1:DVBK-CW200
 いまやビデオカメラはデジタル録画が主流となってきました。ビデオの画面をパソコンにできるだけ高画質のまま取り込みたいものです。そこでデジタルで取り込めるDV端子つきカメラにスポットが集まっています。

 ソニーでは、DV静止画キャプチャーボードを以前から発売していましたが、昨年末にノートパソコン用のキャプチャーカード「DVBK-CW200」を発表しました(写真1)。このカードのメリットは移動先で写した画像をその場で簡単にパソコンに入力できる点です。行動派画像ファンにとって嬉しい道具ではないでしょうか。

 そんなハムのひとり、JA3LCQ梶野さんが実際に使っていることを知りました。彼にその使用感をお聞きしました。

 「このカードは、写真でもわかるようにTYPEII型カードの端に台形の小さな箱がくっついた形をしています。この台形の箱にくぼみが付けてあり、カードの抜き差しが楽にできます。入出力端子は、ビデオカメラ(DCR-PC7)のDV入出力端子と同じ物が一つ付いているだけで、大変シンプルにできています。ビデオカメラの接続は、この端子に、付属のケーブルを差し込むだけです。このケーブル1本で、ビデオカメラのコントロールと画像データの転送ができます。パソコン側からビデオカメラの主な操作(再生、停止、巻き戻しなど)ができますので、ビデオカメラは電源を入れた後は手を触れる必要がありません。

 画像の取り込みはたいへん速くて、約1/30秒のインターバルで行えます。取り込みのモードを「AUTO」にして取り込みの間隔を適当に選べば、ゴルフのスウィングや野球のバッティングなどの速い動きのものを、連続写真としてセーブできます。これはビデオ入力の静止画キャプチャー装置にはできない芸当ですので、面白い使い方ができそうです。

 このカードは、静止画をデジタル出力する機能も持っています。画像サイズの制限はありますが、パソコンで加工した画像をDVテープに録画できます。画像に文字の説明を付けて、ビデオテープのインデックスを作ったり、プレゼンテーションをビデオテープに置き換えるなどができそうです。

 ただビデオテープは読み出しのスピードが遅くてコンピュータの入力装置には不向きですが、画像の保存メディアとしてはコストパフォーマンスが高く、再生もテレビをつなげば、簡単にできますので、大量の画像を残しておくためにもっと活用されるべきかと思います。」

                        Tnx JA3LCQ

ヨットからの画像通信

写真4:鹿島さん
 若き日に大西洋・太平洋単独横断を成功させたJA3MYK鹿島郁夫さん(写真4)が、今年の9月に70歳になるのを記念して「コラーサ70」で単独無寄港世界一周の航海に挑戦します。この航海に搭載する無線局設営と後方支援をJARL大阪府支部が協力することになりました。

 300日以上に及ぶ今回の航海は、無線の交信だけでなくヨットから画像を基地局に送り、それを専用のホームページ(URL http://www.rinku.or.jp/koraasa70/)で公開する予定になっています。そこで私たち画像グループも協力して、画像伝送のお手伝いをすることになりました。

 HF帯での画像通信は、最初はパケット通信での伝送も考えてみました。FSK300bpsではあまりにも遅く、PSK1200bpsだとマルチパスにも強くてよいのですが日本から離れると海外で運用できる局が少なくなります。そうなると一番頼りになるのがやはりSSTVです。これだと世界各地に運用できる局があり、きれいに受信できた局にお願いして基地局へインターネットを通じて転送してもらうことができます。無線機器の設営はこれからですが、本格航海の前に4月にはグアム、7月にウラジオストックにテスト航海に出る予定になっています。

 このヨットは全長12.8メートルで各種無線機の他にパソコンや衛星携帯電話システム「イリジウム」も搭載されるハイテク船です。SSTVの信号はアマチュア無線のほかにイリジウム経由で基地局に送ることも計画しています。

 この鹿島さんのシルバーパワーの成功を願って後援会が発足しています。この趣旨にご賛同されるかたは「コラーサ70」後援会に入会をよろしくお願いします。会費は1口3,000円となっています。

PHS32kでモバイル (1)

 最近は電子手帳やハンディパソコンが普及して、外出先や車内で使っている人を多く見かけます。筆者も国内旅行やオフィスにサブノートパソコンをよく持って出かけます。旅先からでも電子メールを見たいからです。そこでこれからモバイル通信を始めたい人のために筆者の歩んだ道を振り返り、これから始める人の参考にしてください。

 数年前はサブノートに携帯用の2400bpsのモデムを使ってNifty-Serveで電子メールを読んでいました。その頃はまだモジュラージャックのついている公衆電話(現在ではジャックつきのグレー電話が増えた)を探すのがたいへんでした。それにスピードが遅いので20個程度のファイルのダウンロードにも時間がかかり、テレホンカードを数枚用意したことがありました。

 2年前にサブノートを買い換えた機会に、33.6kbpsのモデムカードを手に入れ、これでインターネットにアクセスしています。この組み合わせだと自宅からの使用と同じで、大きなメールでも簡単にダウンロードができます。筆者の場合、いろいろなメーリングリスト(グループの電子メールシステム)に入っているのでメールが特に多いのです。

 小さなファイルだけを見るためなら通信機能のある電子手帳が軽くて便利です。しかし外出先でも多くのメールを見たり、本格的に文字を入力したいとなるとやはりサブノート以上の大きさのパソコンでないと使いづらいのです。

 モバイル通信の理想はどこでも好きなときにアクセスできることです。これはやはり携帯電話に接続するにほかなりません。しかしまだスピードが9600bpsと遅く、専用データカードも通話料も高いようであきらめていました。

 昨年末にネットサーフィンをしていたら、NTTパーソナルの「インターネットパック」キャンペーンに出くわしました。これによると「PHS電話機」と「32kデータカード」、それに「ホームアンテナ」をつけて送料負担だけで使うことができるとあります。これに乗らない手はないと早速申し込みをしたところ、大晦日間近になって現物が届きました。

 筆者の住んでいるところは和歌山の田舎なので、自宅近くではまだサービスエリア外です。そこでPHSを持って使えるところが近くないか車で移動して調べてみました。数km先のスーパーマーケット付近で、液晶画面にアンテナの表示が出て使用可能になりました。地方でも人の集まるところでは、スポットで使えるようです。

 データカードを取り付けパソコンにつないでアクセスを試みました。試行錯誤のすえ約30分後に見事にインターネット・プロバイダーに接続することに成功しました。32kの名称ですが、実際のスピードは29.2kbpsだそうですから28.8kbpsとほぼ同じスピードと考えてよいでしょう。まだ利用者の少ないためか、それよりも速く感じられます。(以下次号)

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