待望久しい高速通信網
あけましておめでとうございます。
筆者がこの欄を担当して12年目を迎えることになります。年の初めにあたり今後の画像通信やディジタル通信について考察をしてみました。
今年は予定が大幅に遅れている大型アマチュア衛星「フェーズ3D」は間違いなくうち上げられることでしょう。この衛星には145MHzから2.4GHzまでのトランスポンダー(中継器)がセットされており、その組み合わせを自由に選択できるようになっています。
ここに搭載するディジタル中継器「RUDAK」はいままでの9600bpsだけではなく、DSPによるモデムも備えられています。これだといつでも地上から書き換えが可能になり、今後は超高速通信も運用する予定になっています。
我が国では携帯電話やPHSが大変な勢いで普及しています。それには音声だけでなくディジタル通信のできるものが増えてきました。最近のPHSは32kbpsのスピードで通信が可能になっています。
ぜひハムの世界でも9600bpsよりもっと高速な通信にチャレンジして欲しいと思います。またそれをいろいろ実験するのが私たちハムとしての本来の姿ではないでしょうか。ハムの中にはその道の専門家がたくさんおられます。本業もお忙しいでしょうが、ぜひ本格的な高速通信の道を開いてください。
一方アナログ画像通信(SSTV、FAX)は、いまやマシンだけでなくパソコンでも簡単に運用ができるようになってきました。HF帯でのSSTVのDX通信は、マルチバスのために高性能なアンテナとパワーが必要とします。
そこで待望久しいのは衛星によるDX通信です。円軌道の衛星ではドプラーシフトのために誰でも簡単に運用するということが難しい状況です。しかしフェーズ3Dが上がると衛星によるDX通信が盛んになることが予想されます。そうなれば今後どのような展開になるのか、いまからそれが楽しみです。
衛星軌道地図を常駐する
先月号でお伝えしましたがマイクロソフトでは、Windows95用のプラウザー「インターネットエクスプローラ4.0」(IE4.0)を発表しました。このソフトには単にインターネットのWeb閲覧システムの更新だけでなく、Windows95そのものを大幅に改良する機能を備えています。
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先月号ではこのWebコンテンツでリアルタイムに衛星軌道地図(トラッキングマップ)が表示できることを少し紹介しました。時を同じくしてミールから高校生が製作した初代スプートニクの模型衛星が放出され、その電波の受信に関心が集まっています。そこで筆者のところにもミールの軌道を簡単に知りたいという問い合わせが来ています。
ではこの軌道地図をデスクトップに常駐する方法をご紹介します。まずデスクトップから「マイコンピュータ」−「コントロールパネル」−「画面」−「背景」で「壁紙」を「wallpar」に変更してください。これで壁紙が黒色の「Active Desktop」に変わりました。
インターネットに接続して、この壁紙の右下にある[Active Desktop の詳細]をクリップします。IE4.0が立ち上がって「Active Desktop へようこそ」という画面になります。ここの下から2番目の「Active Desktop ギャラリー」をクリックし、このページにある「J-Track Satellite Tracking」をクリックします。
ここが「J-Track Satellite Tracking」のページです。簡単な説明が載っていますので読んでおきましょう。気に入れば画面下の「Add Active Desktop」をクリックすることで壁紙に世界地図を張り付けることができます。
こうして表示させたのがWebコンテンツのトラッキングマップです(写真5)。スペースシャトルやミールような低軌道衛星の軌道計算は、ひんぱんにデータを更新しないと大幅にずれてしまいます。そこでこのJ-Trackはたいへん役に立ちます。設定によっては自動で最新データに更新できるのですが、PPP接続では必要なときに手動で更新するように設定しておきます。
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どうです、衛星の受信可能範囲のサークルとその時間(GMT)が右下に表示されたでしょう。これは本当に便利な機能で次回の通過情報が簡単にわかります。ただし時間がずれて表示されることがあります。画面左下にある「Config」をクリックして情報画面に変えて、右上の「Sync.Clock」で同期を取る必要があります(写真7)。
ここでいろいろな変更ができます。表示衛星の追加削除、グリッド表示、それに世界の雲写真の表示ができるのが大変便利です(写真7参照)。アマチュア衛星の表示は「Add More」をクリックして「Default」を「Amateur Radio」に変更して「Add」で追加します。この欄には現在DO-17、KO-23、RS-12/13など7個の衛星が登録されています。
この画面の右下に「Help」があります。ここをクリックすると説明のWebが呼び出されます。ここに機能や使い方などの説明が書かれています。すべて必要なデータの入力が終わったら、左下の「Finished」をクリックすると地図画面に戻ります。 画面の大きさは自由に変えられます。四隅をクリップして適当な大きさに引っ張ればよいのです。このようにして満足の行く画面になりましたら、インターネットを切断します。後はリアルタイムに軌道が表示されます。
なお、このコンテンツを常時表示しておくと、パソコンの立ち上げの時に時間がかかりますので、気になる人は削除しないで表示を停止しておきます。設定の変更は幾通りかありますが「スタート」−「設定」−「アクティブディスクトップ」−「デスクトップのカスタマイズ」で設定の画面になります。ここで不必要なものをクリックしてはずすことで変更ができます。
このようにコンテンツは、パソコンで作業中の息抜きに眺める楽しさがあります。特に「Weather」をクリックすることで世界中の雲写真が追加されます。これはたいへん素晴らしい画面で、いまどこに台風があるのか、どこが晴れているのか一目でわかり、感動を覚えます。
いくつもウインドウを開いていても、画面の切り替えは簡単です。画面下部にある新しいタスクバーをクリックするとすべてのウインドウが一時的に表示を中止します。皆さんも気に入ったコンテンツを表示してみてください。
[追記]
ちょうどこの原稿を書き終えたときに、土井さんが搭乗するスペースシャトル・コロンビアが発進しました。出発1時間後からこのトラッキングマップにコロンビアが登場しました。土井さんの宇宙船が刻々と動くのを最初に見たときは感動しました。写真5は急きょそのときの画面に差し替えたものです。
「下関画像通信グループ」http://www2.tip.or.jp/~yamasi00/index.htm
国内で一押しはここのWebです。動画やサウンドを巧みに取り込んでおり、見ていて楽しくなります。担当のJR6FQF/4山下さんのセンスに脱帽です。もちろん内容も素晴らしく、先に開催された全国SSTV長崎大会の模様を画像とともに詳しくレポートされています。
「KR7A Amateur Radio Page」http://www.accessone.com/~ericw/
海外ではKR7A Ericのページもなかなか凝った作りになっています。アンテナが廻り、シャックに座っているOMが突然振り向いて手を挙げます。SSTVの受信画像が流れたり、サウンドが鳴ったりとマルチメディアに編集されています。画像が多いのでアクセスに時間がかかるのを辛抱すれば楽しめるWebです。
今月のホームページ
今回は国内と海外のアマチュアのホームページを紹介しましょう。SSTVなど画像通信関連のWebは趣向こらしたものが多いのですが、その中でもきれいにまとめ上げているのがここに掲載するページです。