CQ ham radio掲載記事

10月号「ハムのためのVisual Communication」

電子アルバム「digitAlbum」

 ディジタルカメラの普及で、撮した写真を画像として保存することが多くなりました。画像ファイルは専用ディレクトリーやディスクに整理して保存するのが普通です。しかし単にこれだけでは面白くない、何かアクセントをつけてまとめてみたいという人におすすめなのがアルバム作成ソフトです。

アルバム編集画面
 ここに紹介する「digitAlbum」(\7,800)は、(株)クラフテックが発売しているWindows95用の電子アルバム作成ソフトです。家族で遊園地に行ったとき撮した画像でアルバムを作成してみました。それを孫に見せたらバカ受けで、大喜びされた経験があります。

 使い方は簡単ですが、CD−ROMにはチュートリアルという詳しく使い方が学べるソフトが付属しています。これを眺めているだけで誰でも使えるようになります。それにサンプルのアルバムも付いていますので編集の参考になります。このようにイラストを入れたり、バックの配色を自由に変更することができます。それに「ふきだし」を入れたり、シールを貼ることができます。

 画像の取り込みは、TWAINドライバーを設定することでディジタルカメラからじかに取り込むことができるようになっています。また読み込み可能なファイル形式はbmp,jpeg,gifやフォトCDなどがサポートされています。

 録音することもできるので、メッセージを入れたり、画像の説明を付け加えることが可能です。いろいろな機能がありますが、画像を好きな角度に回転させたり、輪郭をぼかしたり枠をつけたりできます。仕上がったアルバムの自動表示や、BGMが流れて華やかな雰囲気を醸し出す演出も楽しめます。

 もう一つの特徴は、できあがった作品をディスケットに保存してプレゼントすることができます。結婚式や記念日の思い出などの画像をまとめてメッセージを入れて贈ると、喜ばれること請け合いです。

ディジタル衛星入門 (1)

1 基本準備

 現在運用中のアマチュア衛星の中には、ディジタル通信専用の衛星がいくつかあります。筆者が「CQギャラリー」でよく紹介している海外の画像は、すべてこれらの衛星からダウンロードしたものです。

 この秋打ち上げを予定している次期アマチュア衛星「フェーズ3D」にも高性能なディジタル回線が搭載されます。そこでこれらの衛星にチャレンジしたいと考えているハムのために、簡単な手引きと注意すべき事柄をお話しします。

 アマチュア無線にはいろいろな楽しみ方がありますが、ここにお話しするディジタル衛星の運用は、非常に高度な技術が要求される分野だということを十分認識してください。それはまず衛星通信の知識を学び実際に体験することからはじめて、その上にパソコンの知識も中級程度が必要です。そして衛星を追跡するシステム(ソフトも含めて)を熟知しないとうまく運用ができないからです。

 いままで衛星通信を本格的に運用していなかった局は、ぜひとも自分のパソコンで軌道を計算して(軌道計算ソフトのQT98やNOVAが本誌2月号205ページに紹介されています)、その方位にアンテナを廻して衛星からの電波を受信してみてください。最初は衛星専用のアンテナがなくとも大丈夫です。八木アンテナを15度から20度程度に仰角をつけておくだけで70%程度の信号が受信できます。

 このようにして衛星通信のノウハウを十分に経験してからからディジタル通信に進んでください。ディジタル衛星には大きく分けて2種類あります。一つはJAS-2にように地上のパケット通信BBSシステムと同じタイプが搭載されているものです。いまひとつは特別ソフトを必要とする専用ディジタル回線搭載の衛星です。

 私たちは後者の衛星をほかと区別するために、便宜上「PACSAT」衛星と呼んでいます。表1にそれを載せておきますが、今回紹介するのがこのタイプの衛星ですので間違わないようにしてください。

2 無線機とアンテナ

 現在のPACSAT衛星は、地上からの送信(アップロード)は144MHz帯で、受信(ダウンロード)は430MHz帯を使用しています。FMモードですから無線機はカートランシバーでも使えるのですが、ドプラー効果で周波数が大きく変動しますのでそれを追従する必要があります。

アイコムの衛星対応機IC-821、下段はアンテナ追尾装置TrakBox
 新しく無線機を購入するのでしたら、衛星通信対応と表示のあるジュアルバンドの無線機をおすすめします。最新型であるアイコムのIC-821をはじめとして、八重洲無線のFT-736、それにケンウッドのTS-790が衛星通信対応のマシンとなっています。

 これらの無線機では、自動追尾システムからの信号で周波数を自動制御ができますし、メインダイアルで送受信周波数を同時に動かすことができるようになっています。それに送信電波が受信回路に回り込むのを少なくなるように配慮されているからです。

 使用電力は4アマ資格の20Wでも実用になりますが、できれば3アマ以上の資格を取って50Wで運用されることをおすすめします。アンテナは144MHz帯では7エレ以上、430MHz帯では10エレ以上がよいでしょう。円偏波のクロス八木アンテナが衛星通信に最適といわれていますが、必ずしもそれでなくとも実用になります。都会地ではFM局との混信をさけるためにわざと水平偏波のアンテナを採用している局もあります。マスプロ電工のオスカーハンター(WHS32N)が衛星用に設計しているだけあって安定した性能を発揮しており、衛星ユーザーの標準アンテナとなっています。

 衛星通信ではアンテナ直下にプリ・アンプを取り付けるのが常識ですが、アンテナから受信機までのフィーダーが10m程度であれば特にその必要はありません。リニアーアンプに内蔵されているプリ・アンプでも差し支えなく使用できます。

3 自動追尾装置

 PACSAT衛星は低高度円軌道なので、アンテナを常に衛星に仰角方位も向けるという作業はかなり面倒です。自動追尾装置はこれをパソコン内蔵のコントローラーで自動的に追尾してくれるたいへん便利な装置です。国内からはクリエート・デザインのRAC805と、エモテーターの901-3Dと普及品の891Eがあります。自作に自信のある局は、米国のTAPRから主要部品キットが頒布されています。

 しかし、必ずしも自動追尾装置がなくとも運用ができます。筆者は手動だけで1回のパスで1MBのデータを受信した経験があります。これは自動追尾で得られたデータ量の最高値と同じだったのです。手動でもうまくアンテナと受信機のダイアルをコントロールすれば、十分に運用できることがわかります。

4 TNC

 PACSAT衛星が採用しているディジタル回線は9600bpsFSKのG3RUH方式がメインになっています。TNCもこのモードをサポートしている必要があります。タスコ電機のTNC-505とTNC-555がG3RUHモードを搭載しています。今回の紙面が少なくなりましたが、最後にアマチュア衛星通信に関する文献を紹介しておきます。

*  *  *  *  *
  • 特集「サテライト通信の魅力と運用法」本誌今年2月号
  • 「SATELLITE HANDBOOK」JA1NVB飯島進、CQ出版社
  • 「衛星通信入門」JE9PEL脇田美津夫、インターネット(http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/)またはNIFTY-ServeのFHAMGE(データライブラリー2の#102,122,177)

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