CQ ham radio掲載記事

8月号「ハムのためのVisual Communication」

新しい配信システム 「Adobe Acrobat 3.0J」

 急速に発展するインターネットの世界で、また注目のシステムが出現しました。WWWの実現でいままで文字中心であった電子情報は、画像や音響、それに動画がサポートしてマルチメディアの配信が可能になったのです。しかし画面構成に多くの制約があり、特に画面のプリントアウトに物足りなさがありました。

 ここに紹介する「Adobe Acrobat3.0J」(以下アクロバットと略)は、米アドビシステム社が4年前に開発して注目されているソフトの日本語最新版です。同社はこのソフトを紙の印刷物と同じ品質の電子化を目標に作成されました。表示ソフトの「Adobe Acrobat Reader 3.0J」(以下リーダーと略)は無償配布され、誰でも手軽に見ることができます。ではこのソフトはWWWの閲覧ソフトであるプラウザとどう違うのか、そのあらましをご紹介しましょう。

 写真左はアクロバットで配信されたPDFファイルの電子情報をリーダーで表示したものです。これだけでは単にカラフルなホームページという感じで「文字が小さくて読みにくい画面だなあ」という印象です。しかし読みたいところにカーソルを持って行き、クリックすると写真右のように拡大して表示されます。

 それも単に大きくなるのではなく、ポストスプリクト技術が採用されているので文字や画像を拡大してもギザギザにならず精密に表現されています。これはたいへん素晴らしいことで、全体をまず眺めてから、読みたい文字や見たい画像を最大8倍まで拡大できるのです。

 プラウザによる情報の表示では、使用しているコンピュータ(DOS/VやMACだけでなくUNIXなどいろいろなマシンが使われている)によっては正確に表示されないことがあります。どんなコンピュータを使っても情報を正確に再現したいという願いで開発されたのが、このアクロバットなのです。

 いままで主として単独で使用されていましたが、ネットスケープナビゲーターのプラグインソフトとして使われるようになって脚光を浴びたのです。アクロバットからPDFの作成部分を省き、表示機能だけにしたのがリーダーで、5Mバイトの大きさのソフトです。

 イントールすると、ナビゲーターと連動して使用することができるようになります。PDFは比較的大きなファイルが多いので、表示までに時間がかかります。それにWWWと違って順次表示ではなく、ダウンロードを終了してからの表示となります。

 このソフトが今後いろいろな方面に使われてくることでしょうが、いま注目されているものに地図があります。写真(略)は大阪市内地図ですが、詳しく調べたい位置にカーソルを移動してズームアップすると、その部分の詳細が現れます。またそこに埋め込んだポイントをクリックすると、設定されたページに飛んで内容を見ることができるようになっています。それにサウンドや動画も埋め込むことができます。

 新聞社は「新聞は印刷して各家庭に配送する時代がいずれ終わる」という危機感を持っています。その最大のライバルはインターネットの電子新聞でしょう。そのため各新聞社が真剣にインターネットの技術に取り組んで、乗り遅れないように頑張っています。いまのところ、このアクロバットが新聞の配信システムとしてもっとも有望のようです。

 PDFファイルの作成ツールはアクロバットのパッケージのなかにすべて含まれています。ワープロなどで編集した画面をPDFファイルに簡単に変換できるそうです。このリーダーの入手はURLhttp://www.adobe.co.jpか、インターネット雑誌などの付録CD−ROMに入っています。

便利なOAタップ

 パソコンの普及とともにいろいろな周辺機器が登場しています。なかでも便利なのはOAタップです。通常パソコンの立ち上げるときに、ディスプレーやスピーカーなどいくつもの電源にスイッチを入れる必要があります。プリンターやモデムを加えると、常時4つ以上のスイッチを点滅することになります。

 ここに紹介するOAタップは、パソコンの電源と連動して関連機器の電源もオン・オフできるテーブルタップです。数社から製品が出ていますがノイズフィルターを内蔵しているものや、アース端子がついているものもあります。差込も4個から8個までいろいろな種類が選択できます。

 このOAタップを使うと、パソコンのスイッチの点滅(低価格のものはタップにスイッチが付いている)だけでほかの機器の消し忘れの心配がなく、たいへん重宝です。いまやディスクトップ・パソコンの必需品といってもよいでしょう。

注目のソフト 簡単にメッセージ「ICQ」

 インターネットの普及とともにいろいろ便利なソフトが出てきました。ここに紹介するソフトもそのうちの一つで、インターネットに接続していれば気軽の呼びかけられるのが魅力です。

 電子メール(E-mail)はインターネットの重要な機能です。キーボードに抵抗のない人にとってはE-mailを書くことは簡単でしょう。しかし一般の人にはかなり気の重い作業のようで、さあこれから思い切って書くぞという身構えた気持ちだそうです。

 ここに紹介するソフトはそんなキー・アレルギーの人でも気軽に使えるメッセージ・ソフトです。このソフト「ICQ」(Windows3.1/95/NTおよびMAC版あり)をインストールして必要事項を書き込むと、自動的にインターネットに接続して、このソフトを提供している米mirabilis社のサーバーにつながり、数秒後にユーザー番号が届きます。

 登録ができたら友人のICQ番号(UIN)を入力しておきます。もし番号がわからないときは、メールアドレスからも検索できます。このようにしておくと、常時UINが監視されおり、登録した友人がインターネットに接続するとニックネーム(ハムの場合はコールサインで登録しておくと便利)の色が赤からブルーに変わります。

 このときには相手にメッセージを送ることができます。「こんばんわ、今何しているの?」「E-mailを見ています」「暇ならインターネット・フォンに出て」という具合にチャットが弾みます。チャットウインドウもあるのですが、それよりメッセージ機能で送る方がマイペースでチャットができて気軽です。

 相手からメッセージが届くと「カッコー」と鳴き声が聞こえてタスクバーに常駐している専用ボタンが変化して点滅します。このように友人がインターネットにつないでいるのを常に監視しており、仲間との連絡には重宝なソフトです。

 このICQ(タイトルから見て開発者はハムらしい)は小型で、常駐して置いても僅かのメモリーしか消費しません。E-Mailやインターネットフォンとの接続などの機能も持っています。それに「カッコー」をはじめ、汽笛やYLのアナウンスなどいろいろな音声が出て愉快にネットサーフィンが楽しめます。

 なおこのソフトはURLからダウンロードすることができます。最新バージョンはV.Beta 1.112で現在無償で提供されています。

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