CQ ham radio掲載記事

97年5月号「ハムのためのVisual Communication」

キャプチャーボード

 パソコンでテレビを見る、これには大別して二通りあります。一つはTVの受像装置をパソコンやディスプレーに内蔵させて、画面を切り替えてテレビを見る方式です。いま一つは受像信号を処理してウインドウでパソコン画面上に表示する方式で、取り込んだ映像を加工することが簡単にできます。

 私たちが欲しいのは後者の方で、マルチメディア・パソコンと呼ばれている機種では最初からこれを内蔵しているものもあります。しかし大半の機種では、TVやビデオ映像の取り込みには「ビデオ・キャプチャー・ボード」と呼ばれる装置が必要になります。

 調べてみるとキャプチャーボードにはいろんなグレードがあり、安いものでは1万数千円から、ビデオのノンリニア編集に使うものだと10数万円もするボードが必要だそうです。この違いは画素数と表示枚数によるもので、安いものは当然画面が小さく駒落ちの画面になります。

 テレビ電話やビデオレターに使用を限定すれば、あまり高級品の必要はありません。それよりもインターネットのビデオ電話システムにサポートできるドライバーがあるか、ということが重要になってきます。筆者もインターネット電話ユーザーの意見を聞いて、DOS/V用のアルファデータ「AD−TV4PCI」(定価29,800円)を購入して使用していますので、それを簡単に紹介しましょう。

 パソコンに動画の取り込みは、以前に紹介したQCAMやルコラなど直接パラレルポートから取り込むカメラがあります。しかしビデオカメラを持っている人は、キャプチャーボードの方が利用範囲が広がるのでおすすめです。野外や他の場所で撮してきた素材を、画像として取り込むのに使えるからです。

 このボードは「プラグ&プレー」仕様なので、パソコンの電源を切ってボードを拡張スロットに差し込むとことで簡単に設定できるタイプです。しかし現実にはうまく認識してくれず悩んでいる人が多いようです。筆者も「Error 848200004」というエラーメッセージが出てなかなかに前に進みませんでした。「DMA Pages」の値を小さくしてやっと正常にインストールができました。

 このボードの特徴は、テレビチューナーが内蔵していることです。それも最新のドライバーを使えば、複数のチャンネルが表示できるようになりました。ソフトを起動すると、画面の下にバーのコントロールパネルが現れます。使用するカメラにS端子があるとき、そこにつなぐとより鮮明に画像が表示します。

 画質の調整はメニューからアイコンをクリックすることで「Video Setting」ができます。画面の四隅をドラッグして動かすことで好きな大きさにすることができます。最大の640×480にしてTVやビデオをつないで実験したところ、まったく駒落ちなく表示することができました。

 このボードはいま使われているほとんどのテレビ電話システムに対応しています。しかしWindowsNTでは使えませんので注意してください。筆者はビデオカメラで撮ってきた動画のスローな部分を画像としてパソコンに取り込んでいます(参考画像)。これならデジカメと同じような使い方ができてとても便利です。

解凍ソフト「Lhasa」

 パソコン通信やインターネットからソフトとダウンロードするとそのままで実行しないファイルがあります。このようなソフトはたいてい拡張子が「zip」や「lha」となっています。これはアーカイブと呼ばれる圧縮されているファイルです。

 パソコン通信を始めた人から質問されるのことが多い事項です。Windows95/3.1では、「WinZip」というシェアウエアのソフトが有名です。しかし単に解凍だけならここに紹介する「Lhasa」(らさ)がたいへん便利です。

 嬉しいことにLhasaは竹村嘉人氏が開発したフリーウエアのソフトです。最新版はWindows95/NT版のver.0.11で、わずか180kバイトの自動解凍ファイルです。実行するとディスクトップにアイコンが現れ、解凍するファイルをどこに格納するか尋ねてきます。ここにディスクトップや作業ディレクトリーなど自分の使いやすい場所を指定することで準備はすべて完了です。

 あとは解凍したいファイルを表示させて、それをマウスの左ボタンを押さえながら「Lhasa」に移動させて指をはなすだけです。この動作を「ドラッグアンドドロップ」といいます。「エクスプローラー」からも同じ作業ができます。

 このソフトの入手先はNifty-Serveのfwinalやfqld1フォーラム、それにインターネットのhttp://www.st.rim.or.jp/~otake/などからダウンロードすることができます。

インターネット事始め  (2)

4)モデムの選定

 前回はインターネットに使うパソコンについて話しました。インターネットは通信なので電話線と接続するためのモデムという付加装置が必要になってきます。最近はモデムを内蔵している機種が多くなってきました。

 パソコンの使用する信号はディジタルなのでそれを一般の電話回線につなぐためにアナログ信号に変換する必要があります。またはその逆の動作を行う機器をモデムといいます。モデムを購入するときに戸惑うことは、28.8Kbpsなどという規格です。これは1秒間にどれだけデータを処理できるかのスピードを表しています。

 現在の主流は33.6Kbpsのモデムです。昨年までは28.8Kbpsが中心で、アナログ回線ではこれ以上は無理だろうといわれていました。技術の進歩はすばらしいもので、近く56KbpsというISDN並の超高速モデムの発売が予定されています。

 モデムはいくら速くとも自分の接続するプロバイダー(インターネットの回線業者のこと、次項を参照)のほうがそのスピードに対応していなければなりません。現在は殆どのプロバイダーのアナログ回線は28.8Kbpsを採用しています。ですからそれよりも速いモデムでも、現実にはこのスピードでしかつながりません。

 そんな状況でいまモデムを購入する人は選択がむつかしい状況です。とりあえずディスカウントしている28.8Kbpsを買っておいて(1万円程度で入手可能)、いずれ56Kbpsの購入を考えるということもよいかもしれません。

5)プロバイダー

 インターネットの普及につれてプロバイダーの数も急速に多くなりました。あまりの多さに都会地では選択に困るほどです。ではどのようにしてその情報を集めたらよいのでしょうか。

 それは信頼できるインターネット専門の雑誌を調べることが一番です。ずばりいって「Internet Magazine」の最新号を入手してください。それには各地のプロバイダーのアクセスポイントから接続価格やスピードなどあらゆるデータが完備しています。この中から自分の市内電話地域ではどの業者と契約すると有利か、じっくり検討することができます。

 契約料金は大きく分けて3通りがあります。使った時間だけ料金を払うのと、いくら使っても同じ料金の定額制と、それにこの2つがミックスしたある金額まで定額でそれ以上は使った時間だけ追加料金を払うシステムです。

 どこと契約するか本当に難しい問題です。地方に住んでいるときは、市内電話料金でかけられるアクセスポイントを持っている業者を選ぶことになります。都市に住んでよくインターネットを使いたいと思うのでしたら、安い料金の定額制がいちばんよいと考えるのが当然です。しかしそれはみんな同じで、そのようなプロバイダーに多くのユーザーが集まります。その結果はつながりにくかったり、スピードが極端に遅かったりします。

 チェックポイントのひとつに、プロバイダーがどれだけの太さでバックボーン(幹線)とつながっているかという回線の状況です。一般的にいって設定価格が高い業者は、回線が太いものを採用しているといえます。希望するプロバイダーと契約しているユーザーに使用状況を聞くことができれば、それがいちばん参考になります。

 いまひとつホームページの開設を予定しているときは、それが無料か、またどれだけの容量が利用できるかも調べておきましょう。

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