CQ ham radio掲載記事

97年3月号「ハムのためのVisual Communication」

画像通信帯が大幅に拡がる

 いよいよ待ちに待った画像通信使用バンドが大幅に拡がります。私たち画像通信愛好家が電話モードと共用なのに狭い帯域に閉じこめられていました。ここ数年来の運動が実り、いよいよ4月1日より電話が使用できるバンドで画像通信の運用ができるのです。

 改正なった使用区別の詳細については(別紙詳細は割愛)をご覧いただくとして、私たちは気をつけなければいけないのは狭いバンドでの使用マナーです。特に7メガバンドは超過密なので、電話帯のどこでも使えるといっても好き勝手に出るわけにはいかないでしょう。常識的に考えて通常は現在使っている7,033KHzと、もうひとつ7,036KHzの2チャンネルの使い方をおすすめしたいと思っています。

 このほか18MHzと24MHz帯と衛星バンドでの画像通信が認められました。残念ながら昨年末にはAO-13が消滅してしまいました。次期楕円軌道衛星であるフェーズ3Dは、またまた予定が延びて7月打ち上げになりそうです。

 FO-29のような円軌道衛星は、SSTVやFAXにはドプラーが激しいので使いにくいと思います。さいわいAO-10はときどきですが電話モードの使用が可能です。この衛星でウオーミングアップして来るべきフェーズ3Dに備えることにしましょう。

MIRのBBS

 ソ連の宇宙ステーションであるMIRにハムのBBSが搭載されています。この運用が始まってからもう数年になりますが、最近は休止していたことが多くなっていました。

 昨年末からこのBBSシステムが整備され、運用周波数も145.80MHzに変更されました。この周波数は私たちにとっては衛星用と指定されたところですから、アクセスをするのに特別な許可を必要とせず運用できるようになりました。

 年末にはこのBBSに米国人クルーからの、キャラクターで描かれたクリスマスカードが格納されていたそうです。JR8XPV丹呉さんがそれをダウンロードして送ってくださいました(図)。ツリーが飾られている部屋には暖炉が燃え、窓の外から人が覗いています。なかなか味な作画で、クリスマスらしい雰囲気がでていますね。

 このようなキャラクターによる画像は、パケット通信やパソコン通信が始まった頃によく使われました。テキストだけしか受け付けないBBSに、なんとか画像らしいものを格納したいという願いから描かれたものです。特別の操作なしで誰でもみることができるという点では、もっとも評価できる形式です。

                             Tnx JR8XPV

テレビ電話が花盛り

   先にインターネットのテレビ電話として「CU-SeeMe」を紹介しました。数ヶ月これを使ってみましたが、動画として動きが遅く音声もとぎれがちで使い勝手があまりよくありませんでした。

 昨年の年末からいろんなインターネット・テレビ電話のシステムが登場したり、インターネット電話がバージョンアップしてビデオもサポートしてきました。

1)米マイクロソフトの「NetMeeting」V.2.0 Beta2
2)米ボーカルテックの「Internet Phone Release 4 with Video」V.4.55
3)アドバンスソリュージョンズの「moNet」V.1.0
4)米インテルの「Intel Internet VideoPhone」V.Beta 1.0
5)米ネットスピークコーポレーションの「WebPhone」V.3.0 Beta

 どのシステムも特徴があって面白いようですが、その中でボカールテックの「IPhone with Video」がもっとも画像と音声の通りがよく、ネットワーカーから熱い視線を浴びています。それにこのシステムはハムにぴったりで、たくさんの仲間が使っています。実際に使ってみるとわかるのですが、見知らぬ人と呼んだり呼ばれたりは、まさに私たちハムのQSOそのものなのです。

 このソフトをインストールすると、相手のビデオが表示される場所に楽しいイラストが現れます。このうたた寝しているキャラクターはただ者ではないのです。ひと度呼び出しがあると激しく動き出し、電話がかかってきたことを告げます。しかも状況に応じて表情が変わり、相手がどんな状態か知らせてくれるのです。これを見ているだけでも楽しい気分になります。

 このシステムを使用する環境は、ペンティアム75MHz以上のWindows95で、サウンドカードが付属しているマシンが必要です。もちろんインターネットに接続できることが条件で、28.8kbps以上のモデムで十分使えます。写真(JA5DTE)は実際に交信しているときのものですが、通信状態がグラフと数値で出ます。現在どんな具合に相手に伝わっているのかよくわかり、安心して話ができるようになっています。

 このときの回線状態は良好でしたので、グラフは緑色で大きく振幅しています。回線が混雑して届きが悪くなると、グラフの下に赤い色が現れます。「Outgoing」は当方から相手に送っている信号のデータで、「Incoming」は相手から当方に届いたデータを表しています。相手側はちょうどその反対の表示が出ていることになります。

 「Lost 0%」はまったく途中損失なしでデータが届いていることであり、「2.5fps」は1秒間に2.5枚の画像を送っていることを意味します。こんな状態は最良で、話しもとぎれることなしに聞くことができます。しかしインターネット・ユーザーの増える23時以降になるととたんに通りが悪くなってしまいます。

 便利なのは自分で好きなチャットルームを作れることで、私も早速「JAMSAT」と「JASTA」という専用部屋を作ってみました。インターネット上に自分たちだけのチャットルームがあることは愉快ではありませんか。その中に「HAM RADIO RptrLink」というチャットルームがあります。これはどうやら米国では無線と結んで電話がかけられるシステムになっているようです。

 ビデオカメラがなくとも電話やチャットができますが、カメラがあるとやはり話が弾みます。これに使うカメラは、昨年の11月号に紹介した「QCAM」や「ルコラ」などの直接パソコンのパラレルポートに接続して使えるデジタルカメラが適しています。しかしビデオカメラを持っているときは、キャプチャーカードがおすすめです。高級なものが必要でなく、2万円台で入手できるもので十分です。

 筆者がまだ2週間の使用ですが、70人ほどの方と話をしてその半数以上はハムか元ハムだったのには驚きです。リストに私のコールサインを明記していることも関係あるのですが、とにかくインターネットのパワーユーザーにハム経験者が多いのも事実です。海外からもどんどんコールしてきます。その中に留学生と海外勤務の日本人が多く、日本語でおしゃべりができるのを楽しんでくれます。

 お話しした人で嬉しかったのはマニラの牧師さんで、きれいな日本語で呼んでくれました。聞いてみると15年間神戸や関西地区に住んでいたとのことでした。今日は私の誕生日で知人宅でお祝いをしてもらっているとのことで、こちらからもメッセージを送り喜んでいただいたのが印象的でした。

 いまひとり北京からコールされたDONさんはカナダのハムでした。彼も片言の日本語を話し、ホワイトボードでQSLカードとクリスマスの写真を送ってきました。このようによいことばかり書いていますが、快適に使うにはある程度の経験が必要です。具体的なことはまた次回に述べることにします。

 このソフトはシェアウエアで、1週間無料で使用できます。登録料は49.95ドルで電子メールで送金できます。ホームページは、http://www.vocaltec.com/iphone4/video_dnld.htmで、興味のある方はぜひダウンロードしてください。筆者は週末に「JAPAN」などのチャットルームに入っていますので、見かけたらコールしてください。

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