CQ ham radio掲載記事

12月号「ハムのためのVisual Communication」

低速パソコンに朗報・・・高速画像表示ソフト

 パソコンの進化が早く、次々と新製品が発表され画像や音声機能が充実してきました。ワープロやデータベースなど、一般的なソフトの使い勝手には不便を感じなかったのに、画像表示があまりにも遅くて思い切って最新のマシンを買ったという方は、以外に多いようです。筆者もCPUがi486SXの33MHzのサブノートパソコンを使っていますが、JPEG画像の表示が遅くていらいらしていました。

 画像の表示を速くするには、高速表示のグラフィックアクセラレータを追加する方法があります。しかし価格は数万円と結構高く、それだけ投資するのだったら少し追加して新品のマシンを購入したくなります。ソフトで何とかならないかといろいろ探していましたところ、Windows用の最適なシェアウエア・ソフト($20,付属のオーダーをFAXで送るとe-mailで登録番号が届く)を見つけました。

 それは米国ACD System社の「ACDSee」で、高速の画像表示を売り物にしているソフトです。Windows3.1とWindows95版があり、JPEGだけでなくBMP、GIF、TIFFそれにPhotoCDなどが表示できます。

 写真(左)の画面の左下に"Loaded in 0.3 s"と出ているように、何秒でこのソフトが表示できたかチェックできるようになっています。JPEGでは今まで使っていた「GV」に較べて数分の1にスピードアップでき、大きなソフトでも数秒しかかからず、遅いCPUの方がより効果的です。

 写真(左)の一番左にあるボタンをクリックすると、写真(右)のように画像リストが表示されます。このリスト機能はまた快適で、カーソルを移動すると下側にその画像が小さく瞬時に表示されます。それに連続的に画像の内容とチェックしたいときは、↓キーを押すことで次々と画面が変わります。

 そして表示が必要なときはEnterキーを押すことでその画像がフル画面に変わります。いま一度Enterキーを押すと再びリスト画面に戻ります。この操作を覚えておきますと、たくさんの画像ファイルの中から欲しい画像を探すときにたいへん便利です。↓キーとEnterキーをふたつの指で操作することで、短時間で必要なファイルを見つけることができます。

 ディスプレーより大きな画像データの場合は、マウスの矢印が手のひらマークに変わります。これをマウスの左ボタンを押しながら動かしますと、画面が上下左右へスムースに動き必要な場所を見ることができます。もちろん縮小・拡大表示もできます。これ以外にもファイル名の変更や削除ができ、画像にプリントもできます。変わった機能としては、気に入った画像を見つけたときに、ワンタッチ(写真の左から9番目のボタン)でその画像を壁紙として使うことができます。これは結構楽しい機能で、そのときの気分で毎日のように壁紙を変えて遊んでいます。

 欠点をあげればファイル名が日本語の表示は文字化けすることです。それとMAGやQLDなど日本で開発された画像形式が表示できません。これはいままで通りGVを使うことにしています。しかしその他は素晴らしい機能で、画像愛好家に絶対おすすめのソフトといえるでしょう。なお、このソフトはインターネットのホームページから入手できます。URLはhttp://www.acdsys.com/acd/です。

インターネット・テレビ「CU-SeeMe」

 先月号でパソコン専用のデジタルビデオカメラ「QCAM」を紹介しました。今月はこのカメラを使用してテレビチャットする方法を紹介しましょう。

 インターネットでテレビ会議をするシステムは、NTTをはじめ各社でいろいろ実験されています。TVと同じように1秒間に30枚の映像を送るには、「INSネット1500」などの高速デジタル回線を使用する必要があります。それでは個人には手が出ないシステムですから一般的ではありません。

 私たちが普段使っている28.8Kbpsのモデムと、安価なカメラ(モノクロQCAMは1万数千円)で、十分使えるシステムとして人気のあるのは、ここに紹介する「CU-SeeMe」です。このシステムは米国コーネル大学でマッキントッシュのソフトとして開発され、DOS/Vにも移植されたフリーソフトです。このソフトの入手方法は、インターネットhttp://cu-seeme.cornell.edu/からダウンロードできます。またインターネット専門雑誌(例えばインターネットマガジン)の付録のCD−ROMからも、入手することができます。

 最近になってカラー版の「Enhanced CU-SeeMe」が、ホワイトパイン社から(日本語版はマクニカから12,800円で)発売されました。このソフトはモノクロのカメラでも使用できますし、デモ版は時間の制限はあるものの、無料ですから実験したい方にはおすすめです。ただしこの場合もユーザーIDを、ホワイトパイン社http://www.wpine.com/から取得する必要があります。では、インターネットのSSTV版ともいえるCU-SeeMeに挑戦してみましょう。

 先月号に紹介したQCAMをつないだ状態でこのソフトを立ち上げますと、ウインドウが開いてカメラが映像を捕らえます。カメラとソフト、それに使用するマシンの相性があるようです。最初はどんなに頑張ってもうまく行かずお手上げだったのですが、ソフトを新しいバージョンにしたら難なく成功しました。もしうまく行かない場合は、ソフトをいろいろ取り替えて実験されることをおすすめします。

 実際の映像の交換は一対一でできますが、リフレクターと呼ばれるCU-SeeMe用の広場が各地に提供されています。そのリストは、アドレスブックに主だった場所が記載されています。ここに接続すると、現在カメラを接続している人の映像が次々と映し出してきます。

 このシステムはカメラがなくとも映像を見ることができますので、興味のある人は自分でソフトをダウンロードして確かめてみてください。特にNASAがこの方式で常時映像を送信しており、スペースシャトルの打ち上げ時にはリアルタイムでその状況を見ることができます。時としては衛星のクルーからの音声も届き、これを見るだけでも価値があります。

 このシステムは、マイクをつなぐとおしゃべりもできますが、音声はデータ量が大きいので通りはよくありません。通常は画面を見ながらチャット窓を開いて、そこでパソコン通信をすることになります。いわば相手の顔を眺めながらの「絵つきチャット」といえばよく理解できるでしょう。

 カラーカメラと「Enhanced CU-SeeMe」を使うとカラーの映像が送ることができますが、まだ大半はモノクロです。それにカラー映像の方は、ぼやけた画面が多くあまりよく映りません。それは使用しているカメラも影響していると思われます。

 リフレクターでの交信は最大8人の映像を表示できるようになっています。しかし、接続画面が多いほど画像の表示が遅くなり、データがきていない部分はその前の画像が残りモザイクに表示されます。これ以外にホワイトボード機能があります。ここでは画像やグラフなどを取り込めるので、それに注釈を書き込んで相手と相談ができ、ビジネスにも十分使うことができます。

 国内でもいくつかのリフレクターがありますが、マクニカ以外はあまり使われていません。この機能はSSTVとよく似ていますのでハムには相性のよいシステムです。HFのコンディションがよくないときに、皆さんと映像を見ながらゆっくりチャットを楽しみたいと思います。お相手してくださいませんか。


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