CQ ham radio掲載記事

10月号「ハムのためのVisual Communication」

デジタルカメラの選択

 パソコンのマルチメディアが進んでユーザーが自分で画像を入力したいという要望が多くなってきました。画像入力はいままでスキャナーが中心でしたが、ここにきて写った画像をそのままパソコンに取り込めるデジタルスティールカメラが急速に商品化されてきました。

 この分野でのパイオニアはカシオで、写した画面が付属の液晶ですぐに見られるというのが受けて人気を得ました。それに刺激されてカメラメーカーや電機メーカーが次々と参入していまや一つのジャンルが形成されてきました。

 こう多くなるとどこのものがよいのか迷ってしまいます。読者からの問い合わせがありましたので、カタログを集めて各社の製品を調べてみました。ユーザーとして選択のポイントは
 1 高画質で写せる
 2 液晶がついている
 3 撮影枚数が多い
 4 外部メモリー
 5 コンパクトで軽い
 6 パソコンに取り込みが簡単
 7 処理ソフトが付属
 8 価格が安い
などでしょうか。これをすべて満足する商品があれば言うことなしですが、そのような理想的な商品はまだ無理なようです。最近は10万円以下の普及型でも640X480ドットの解像度を得られる商品が現れました。目の肥えたユーザーにはこれは魅力でしょう。

 各社それぞれ特色を出しており、リコーのDC-2Lは標準とワイドの切り替えと音声も記録できる方式を採用しています。カシオのQA-10Aはカメラ部分が回転するので、画面を見ながら好きなアングルで撮影することができます。

 意外に注意されていないのですが、この種のカメラは電池の消耗が激しいことです。旅行などでたくさん写すときは予備電池は必ず持って行く必要があります。その点単3アルカリ電池を採用している商品は旅先でも簡単に手に入るので便利ですが、コストが高くつきます。ニッカドなど充電可能な電池を使うことも経済的な方法です。

 この中で注目商品をユーザーの意見も参考にして選ぶとすると、フジのDS-7とコダックのDC20でしょう。DS-7(写真左)は640X480ドットの高画質でありながらコンパクトに仕上がっています。それにSSFDCという最新の超小型・超薄型のメモリーカードを採用しています。液晶もついており、その場で画像を確かめられます。

 手軽にスナップという方におすすめはコダックDC20(写真2)でしょう。実売価格3万円程度で493X373ドットの画像が8枚、スナップで16枚の撮影ができます。僅か110gという軽さですから常に鞄の中に忍ばせておくということができます。その上に画像を加工できるフォトレタッチやアルバムソフトも付属しています。

 デジタルカメラの画像は機種によってその色合いがかなり違います。購入されるときはあくまでも自分の眼でよく確かめてから決めてください。

 最後に気になる情報が飛び込んできました。小型デジタルビデオカメラにデジタル出力端子がついた商品がソニーと松下電器から発売されました。これから直接パソコンに接続すれば高解像度の画像が簡単に入力できます。その上メモリー容量が桁違いですから、デジタルスティールカメラにとっては強力なライバルになってくることでしょう。

注)この原稿を執筆したのは9月上旬です。その後各社からいろいろな機種が発売されています。購入の際はよく比較検討されるようおすすめします。

新画像通信入門 (8)・・・・・(ボブのマルチメディアへの挑戦)

パケット通信  その2

(3)画像伝送

 先月号で無線機とTNCの接続とコマンドの設定について述べましたがうまく動作したでしょうか。今回はパケット通信の画像伝送を中心に話を進めます。

 パケット通信は主として文字情報ですがRTTY(テレタイプ)と大きく違うことは漢字が使えることです。これができるのでパケットが日本で根付いた最大の原因だと思います。

 パケットは2局間で交信することもありますが(パソコン通信と同じようにチャットという)、たいていは近くのRBBSにつないでそこから情報を得たり、発信することになります。

 RBBSとはパケット通信のセンター局という表現がよいのでしょうか。RBBSには2種類の局があります。ひとつはその局が単独に運用されているもので、いまひとつはフォワードBBSと呼ばれる転送型のRBBSです。我が国に設置されているBBSの大半はこのフォワードBBSですのでこの使い方の基本を話しましょう。

 フォワードBBSはとにかく便利なシステムです。近くのBBSに書き込んだ情報は日本全国、いや全世界に届けることができます。しかも従来ハムの通信がリアルタイム通信でしたがパケットは自分の好きなときに運用できるのわけですから、この出現でハムの運用形態を大きく変えた正にデジタル革命といってよいでしょう。

 ここでチャーリーの友達のボブの登場です。彼はWindows95のマシンを使ってアイコムのIC-821とタスコ電機のTNC-505とターミナルソフトTW−TERMで運用をはじめています。彼はもっぱら近くのRBBSにつないでいろいろな情報を覗いて楽しんでいます。(B:ボブ、C:チャリー)

B:よくもまあいろんなことが書いてあるなぁ。それだけ今のハムは昔と違って趣味が広いんだな
C:それもあるけど今は機械いじりよりもレジャーの道具としてのハムが増えたということかな
B:フォワードBBSで情報を見ていると意味不明な文字のファイルがあるんだが
C:ははぁ気がついたか、これが面白いんだぞ。今日はこのことを話そうか
 RBBSにはいろんなコマンドが用意されていますが、便利なものをいくつか紹介しましょう。メッセージ・リストを取るためには「LL_50」(_はスペース)とすると最新のファイルが50個表示されます。特定のフィールドのファイルを表示さすコマンドとして覚えて欲しいのは「L>」です。「L>_GAZ*」で画像関連フィールドのファイルがすべて表示されます(図1)

 また特定の局からのアップロードを表示さすための便利なコマンドは「L<_(callsign)」です。このように絞り込むことで必要な関連ファイルを検索することができます。ここに表示しているファイルはJPEGの画像ファイルで、この「辻馬車」という複数のファイルをダウンロードして画像を表示することにしましょう。

 まず「ファイル転送」のダウンロードをクリックしてタイトルを書き込みます。ここでは簡単に「tuji.ish」としておきます。それから<1/13>のファイルを取るために「R_52693」と書き込んで、順番に13個をダウンロードします。混雑しているBBSでは長時間独占できないので数回に分けてファイルを落としてください。分割されて取り込んだファイルはエディターで一つのファイルにつないでください(タイトルなどは抹消せずにそのままでもよい)。

 このようにしてできたISHデータを元のデータに復元する作業をします。Windowsで使えるISH用の単独ソフトが見つかりませんでしたので、以前ここで紹介した「WinFM」を使うことにします。このソフトはMS−DOSのファイル管理ソフトの定番として有名なFILMTNのWindows版です。画像伝送のファイル管理に最適ですのでおすすめのフリーソフトです。このソフトの使い方は95年2月号で詳しく紹介していますので、ここでは画像関連の部分だけ説明します。

 WinFMをインストールして圧縮・解凍機能を使用するためにはLHA.DLLとISH.DLLも必要ですのでこのソフトも一緒に用意します。準備ができましたら起動して先ほどの作成した「tuji.ish」のファイルが入っているディレクトリを表示します。このファイルにカーソルを持ってゆき反転させてから「R」キーを押します。すると「プログラムの実行」というメニューが現れますから、それを実行します(図3)

 すぐ処理がはじまって同じディレクトリに「辻馬車.LZH」というバイナリー・ファイルができています。この拡張子がLZHと、いま一つZIPがついているファイルはいずれも圧縮されたファイルです。それらの圧縮ファイルのもう一つの利点は複数のファイルを圧縮して一つにまとめる機能があるのです。今度は「辻馬車.LZH」にカーソルを持ってゆき、また「R」キーを押して実行します。そうすると図4のファイルが出現しました。これこそ作者が伝送したいファイルの数々だったのです。

 早速「ツジバシャ.JPG」の画像を表示してみました。JP3KEL新名さんが湯布院で写した画像が現れました(右の写真)。画像表示については次回お話ししましょう。

 なおこの「WinFM」の最新バージョンはV2.17でNIFTY-ServeのFQLD1のLib3からダウンロードできます。


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