早いもので筆者がこの欄の前身である「FAX」を担当して今年で丁度10年になります.その間タイトルが「画像通信」となり,1992年6月号から「ビジュコミ」と改称し,4ページとなってカラー化され現在に至っています.
この10年で私たちの環境もすっかり変わってしまいました.シャックには無線機と並んで大きなパソコンのディスプレーが中心に居座っています.これは筆者が以前から予測していた通りで,いまやハム局にはパソコンはなくてはならない存在になってきました.
当時の全盛だったマシンによるFAXにとって代わって,パソコンのFAX通信やディジタル通信が普及してきました.パケット通信はU,VHFから始まってHFや衛星通信をゲートウエイして全世界に情報が駆けめぐるようになりました.それも1200bpsから9600bpsと高速化され,専用衛星によるディジタル通信も実用化されました.
無線通信ではないのですが,昨年からインターネットが急速にクローズアップされてきました.この中でWWWサーバーは文字だけでなく画像や音声も,更に音楽や動画までも自由に送ることができるようになりました.私たちが永年の夢だったマルチメディア通信がついに実現したのです.
今年からはインターネットの普及が進み,今まではかなりの技術がいるダイアルアップIP接続も,パソコンに組み込まれたり,ソフトをインストールするだけですぐに使えるようになりそうです.
アマチュアバンドの周波数使用区別の改正も今年こそは間違いなく実現するでしょう.狭い場所に閉じこめられていた画像通信が電話バンドで自由に使うことができるのです.また衛星の画像通信も再許可になり,AOー13などでSSTVを中心に盛んになることが予想されます.
画像通信愛好家は技術集団でもあるわけで,常に進歩を求めて前進しています.衛星と高速通信を使って新しいシステムが作れないでしょうか,今後はどのような技術が花開くか今からそれが楽しみです.
この欄もまた初心に返り,これから画像通信を始める方のために「新画像通信入門」の連載を始めることにしました.
またビデオプリンターはほとんど昇華式の写真と見まがうきめの細かな出来上がりで,ディジタルカメラとの組み合わせで新しい写真の分野を形成しています.写真2(省略)は会場でデモしていた松下電器のDigicamで撮影して作製された筆者の年賀状です.中でもソニーなど3社の製品は葉書大ながらコンポジット信号だけでなく,パソコン画像のプリンターとして使えるもので価格も6〜7万円で一般ユーザーが手が届く価格になってきました.
画像通信愛好家として気になる商品はディジタルカメラ,ディジタルビデオカメラとビデオプリンターです.ビデオカメラもテープの規格が決まったので主要各社が一斉に新製品を発表して,今までの業務機の性能が家庭用のビデオで体験できるようになってきました(写真は衛星通信で海外に送った画像).
内容はこのコーナーのバックナンバーを見出し付きで掲載するのと,CQギャラリーの画像を見ることができるようにする予定です.それに毎月行っているSSTVのロールコール情報(JA6OAC中村さん編集)や筆者の住んでいる和歌山の観光スポットを画像で紹介することにしています.
またここに掲載するフリーソフトやドキュメントもダウンロードできるように考えています.宛先は「http://www.asahi-net.or.jp/~PT5Y-IWSK/」となる予定です.果たしてどのようなものができるか,あまり自信がないので期待しないでください.
B: よおー,久しぶり,相変わらず元気にがんばっているなあ C: ほんまに久しぶりやなあ,お前も元気やないか.頭が大分薄くなっているけどなあ B: うん,お互いに還暦を迎えるようになったんやから少しは変わるがなあ C: ところでボブ,仕事の方がどうしたんや B: それやがな去年の夏から第一線をしり退いて今は週に一日だけ会社に出向くだけに なったんや C: そうか,お前もようがんばったからなあ B: それで暇ができて当分はボーとしてたんやけど,やっぱり人間これじゃいかんと 思ってね C: そりゃそうや,張りつめていた気分から急に解放されてぽかんとしていたら命が 危ないぞ B: まあそう脅かすなよ,それで昔熱中していた無線のことを思い出したんや C: そうか,また無線をやる気になったんやなあ,嬉しいよ B: しかし全く浦島太郎の気分よ,CQ誌を買ってきて読んだんやけど,これパソコン の雑誌と違うんかと疑うくらい変わっているのでびっくりしたわ C: そりゃ無理もないわ,ここ数年でハムとパソコンは一心同体になったんやから B: そこでずっと第一線でがんばっていたお前にいろいろ手ほどきをしてもらいたいんや
ということでボブの再開局を手伝う羽目になりました.無線機やアンテナを整えて一通りの手続きを踏んでやっと再開局にこぎ着けました.新しいことにもチャレンジしたいとパケット通信や画像通信もやりたいということになり,今度はそれにふさわしいパソコンの購入について相談を受けました.
B: ハムに適当なパソコンを選定してよ C: ボブはパソコンを使ったことがあるの B: うん,仕事で使ったことが少しあるのでキーボードくらいは打てるよ C: それじゃ話が早いわ B: でもDOSとかWindowsとかいう難しいことはさっぱりわからん C: それは使いながら勉強することだな,ハムの場合はフリーソフトをよく使うから 基本がわからないと使えないからね B: それでどのパソコンがいいの C: そんなに急ぐなよ,新しいマシンを買うときが一番楽しいんやからじっくり自分で 選定することだなあ B: 量販店で見てきたけどいっぱい展示しているのでどれがいいのか迷ってしまうわ C: じゃ少し絞ってみようか.無線以外に何に使いたいの B: そうだな,ワープロと住所管理や年賀状の印刷もしたいな C: それくらい? B: いやゲームもやりたいし,それに今新聞で賑わしているインターネットもいずれ やりたいなあ C: それじゃほとんどすべての機能が必要となるぞ B: じゃ高価なマシンを買わないといけないの?,他にも買いたいものがあるので あんまりパソコンだけに投資したくないんだけど C: いや,嬉しいことにここ一年以内に急速に価格が下がり,高性能なマルチメディア・ パソコンが20万円そこそこで買えるんだなあ B: そのくらいだとなんとかなるよ,そのマルチメディアというヤツと普通のパソコンと どう違うの C: うん,厳密な定義がないようだけど一般にフルカラー画像の表示できるグラフィック・ アクセラレーターやステレオ音声が出るサウンドボードやCD−ROMが付属しており, ビデオ画面の取り込みができるオールインワン・タイプのパソコンをそう呼んでいるんだ B: へえー C: それにねえ,この手のパソコンがインターネットにも最適なマシンといえるし,ソフト もいっぱい付属しているからおすすめだよ B: よかった,それじゃそのタイプに決めたというわけでボブがマルチメディア・パソコンを買うことに決まりました.彼に早速指示して販売店でこの手のカタログを片っ端から集めて自分で調べるように話しました.ここからボブの楽しい迷いが始まります.通信販売のマシンもあるので,パソコン雑誌で広告の多いのを買ってきて調べることも指示しておきました.(以下次号)